ハロウィンが終わり街はすっかりクリスマスムード。この時期、子どもたちは家族などからもらえるクリスマスプレゼントを楽しみに、12月24日までの日にちを数えるはずだ。しかし何らかの理由で親と離れて、児童養護施設で暮らす子供たちにとっては、クリスマスプレゼントは決して当たり前のことではない。

そんな子どもたちと、人のために何か貢献したい大人を結びつけ、児童養護施設で暮らす子どもたちのサンタクロースになってくれる大人を市が募集する「シークレット・スノーフレーク」というチャリティープロジェクトが、毎年ニューヨーク市によって行われている。

プロジェクトにはニューヨーク市の賛同した企業や個人が、サンタ役として同プロジェクトに登録している。筆者もこのプロジェクトに登録してみた。

市がプレゼントをあげる大人と、もらえない子供をマッチング
子どもたちがプレゼントを受け取るまでの、実際の流れはこうだ。まずニューヨーク市は、市内の児童施設やシェルターハウスに対して、子どもたちのリストと彼らが必要とする物、欲しい物(ウィッシュリスト)の作成を依頼する。依頼を受けた児童施設の職員は、各子どもたちと相談し、ウィッシュリストを作成して市に提出する。

次に、市はサンタクロース役として協賛してくれる企業や個人を募集。企業の場合は、社内でサンタクロース役を担当する社員を募集する。サンタクロースとなった大人には、自分が担当する子どもの情報が、市、または企業内の担当部署から送られてくる。そこには子どもの名前、性別、年齢、服や靴のサイズ、欲しい物などが書かれている。

大人は子どもの情報を参考にプレゼントを購入。ラッピングをして、市や企業内の担当部署にプレゼントを送る。プレゼントを受け取った市は、それぞれの児童施設にプレゼントを配布。子どもたちはクリスマスプレゼントを受け取ることになる。


どのように子どもへプレゼントが届くのか
筆者に割り当てられたのは、ニューヨークブルックリン地区のシェルターハウスに暮らす7歳の女の子だった。欲しいものはバービー人形とのこと。普通に買えそうな物でよかった……(リクエストの作成には施設の職員が間に入っているため、通常は無茶な要求が来ることはないが)。

ここで注意したいのは、リストの中でも特に服や靴などは優先的に購入するように、との要請が市からあること。クリスマスプレゼントと聞くと、一般的におもちゃゲームなどを想像しがちだが、施設の子どもたちの生活環境は、いくらニューヨークであっても一般的な家庭よりは厳しい状況にある。施設の子どもたちにまず必要なのは服なのだ。

プレゼントにかける推奨金額は、25〜40ドル(約2800〜4400円)。善意なので、この金額内に必ず収まらなくても構わない。とはいえ、子どもに喜んでもらいたくて自分からサンタクロースに立候補している人たちばかりなので、推奨金額を上回ることはあっても下回ることは少ない。


筆者もサンクスギビングセール(筆者注:アメリカ11月後半からクリスマスにかけてのサンクスギビングの時期に、年内で一番のセール期間になる)に乗じて、子どもの長袖シャツ、半袖シャツ、上着、レギンス、バービー人形のキットを、無事予算内で購入した。

そして梱包して発送。子どものもとへ届くのを待った。


ニューヨークで広がるチャリティの輪
プロジェクトの参加者は、紹介したようなサンタ役としての形だけではない。同プロジェクトでのプレゼント購入者用に、割引販売を行う企業もある。例えば、ブルックリン地区の書店グリーンライトブックストアでは、子ども向けの推奨図書をプロジェクト向けに割引価格で販売する。またアメリカの大手ケーブルテレビ放送局HBOは、ニューヨーク本社勤務で働く社員のボランティアで、シークレット・スノーフレークの対象となっている児童施設内の子どもたちのレクリエーションルームを改修した。

大金の寄付や毎日をボランティアに費やすことはできないけれど、少しだけれど人のためになることがしたい人、子どもたちに喜んでもらいたいと思っている人は、一定数存在する。同プロジェクトはそうした人たちの受け皿になっている。結果、ニューヨーク市のチャリティに対する試みは、地元企業や個人の賛同を得て毎年規模を拡大。昨年度は1300人以上の子どもたちにクリスマスプレゼントが届けられた。

そろそろ街がイルミネーションで輝き出す時期だ。これからも同プロジェクトが広がり、どのような境遇であれ一人でも多くの子どもたちが、少しでも幸せなホリデーシーズンを、過ごせるようにと願うばかりだ。
(迷探偵ハナン)