「注文住宅でマイホームを建てたい」と思うなら、まずは土地を手に入れる必要がある。ポータルサイト等で土地を検索していると、たまに立地も広さも同じような条件なのに、お値打ちの土地が見つかることがある。安心して暮らせるなら何の問題もないが、事前にチェックしておくべきことがあるのではないか? 一級建築士の佐川旭(さがわあきら)さんに土地のチェックポイントについて教えてもらった。
なぜ、相場より安い土地があるのだろう?

まず、相場よりも安い価格で土地が売り出されるときには、一般的にどんな理由が考えられるかを聞いてみた。

・土地の形がいびつ
三角形や極端に長いなどの土地は、正方形や長方形などの整形の土地より評価額が低くなる

・土地が傾斜している
土地の一部または全体が傾斜している。平らな土地に比べて価格が低く抑えられていることが多い

・建物に囲まれた旗竿地(はたざおち)である
出入口となる通路部分が狭く、その奥に家の敷地となる部分が存在する旗のような形状の土地。日当たりが悪いなどの理由で価格が抑えられている

・接道(土地が接している道路の幅)の条件が悪い
建築基準法による接道義務に準じていない場合、建物が建てられない場合もある。建てられてもセットバック(建築物を道路の境界線から一定の距離だけ後退させること)の必要があり、敷地面積が削られる

・地盤が軟弱である
泥や多量の水を含んだ柔らかい土などからなる地盤。建物の重さを支えきれず、建物が沈下するおそれがある

つまり「地盤の良い整形地で建築基準法に準じた道路に面した開放感のある土地」というのが、一般的に評価が高く、価格も高い土地ということになるようだ。「同じようなエリアに位置していても、マイナスポイントがあることで土地の価格が安くなっているということはあります」と佐川さんは話す。

マイナスポイントは、設計次第でプラスに変えられる!?

それでは安い土地を選んではいけないのだろうか。答えはノーだそう。

「例えば三角形の土地ならば、角の部分を活かして、駐車場にしたり庭にしたりすることができます。傾斜地の場合は、通常の土地に立つ建物では味わえない絶景を得られることもあります。旗竿地は中庭をつくって空からの光を取り入れるなどの工夫で、開放感のある家にすることも可能です。

一般的にはマイナスでも、人によってはプラスに変わることもあります。ピンチチャンスと考えて、設計の工夫で魅力的な家にすることは可能です。逆に欠点を魅力に変えた物件のほうが、唯一無二の住まいが出来上がることが多いですよ」(同)

地盤が心配な場合は、その場所が以前どんな用途に使われていたかをしっかり調べるといいそうだ。「行政のサイトなどで調べることもできますが、加えて昔から住んでいる近隣の方に話を聞いてみるのもいいですよ」(同)。地盤調査を購入前にできることはまれなので、情報を集めておくことは大切だ。

しかし軟弱な地盤の場合も、地盤改良をすれば家を建てられる強度は得られるそう。「地盤改良は100万円程度で可能です。むしろ、どんな土地であっても家を建てる前には必ず地盤調査をします。土地は個々で条件が違うので、きちんと調べて問題があれば改良しましょう。そうしておけば、どんな家を建てるにしても安心ですからね」(同)

建てたい家が実現できない可能性も? 必ず確認すべきこととは

マイナスプラスに変えられるとはいえ、おさえておかなければならないポイントもあるようだ。

「土地には法的な制限があるので、自分の土地だからといって好き勝手に建てるわけにはいきません。用途地域、容積率、建ぺい率、高さ制限や斜線制限など、購入前にチェックするべき項目がいくつもあります。自分が建てたい家が実現できない場合もあるので、きちんとチェックすることをお勧めします」(同)

・用途地域
用途地域とは、住宅地、商業地、工業地など、土地利用を指定した12種類の地域区分のこと。用途地域によって住環境が左右される

・建ぺい率と容積率
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合。容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合のこと。同じ敷地面積でも建てられる建物の大きさが異なる

・高さ制限と斜線制限
高さ制限とは、その土地に建てられる建物の高さの上限を定めたもの。斜線制限とは、道路や隣地に影響する部分の建物の高さの上限を定めたもの。建物の形状や大きさが変わることがある

「これらに加えて、景観を維持するための景観条例や、がけ付近の建築を制限する『がけ条例』などの特殊な制限があったり、都市計画で道路予定地になっていたりする場合などもあります。いずれも家を建てる場合に、頭に入れておく必要がある大切なポイントです」(同)

何はともあれ、「どんな家を建てたいか」を家族で話し合おう

土地を購入する際は、事前に勉強しておきたいことが山ほどある。しかし、それ以前に重要なこともあるようだ。

「まず家族で、どんな暮らしをしたいか、そのためにどんな環境と住まいが必要かを話しあっておくことが大切ですね。自分たちが建てたい家によって土地選びも違ってきます」(同)

気になる土地を見に行くときも1人では行かずに家族で行くことが大切だ。

「朝、昼、晩、晴れた日、雨の日など何回も足を運ぶことを勧めます。同じ土地でも時間帯や気象条件で様相が変わります。音の問題なども時間帯によって変わる可能性があるので確認しておく必要があります」(同)

土地を購入することは人生でそう何度もない。ほとんどの人が家づくりに必要な条件や法規制を知るところから始めるはずだ。今まで聞いたこともない専門用語で頭が混乱してしまう可能性もある。そうならないためにも、まずは家族でどんな家を建てたいのかを話し合い、ある程度の知識を蓄えることが重要だ。そのうえで、可能ならば建築会社や建築士といった家づくりのプロに相談することを勧めたい。

●取材協力 
株式会社 佐川旭建築研究所
(四宮朱美)
写真/PIXTA