さまざまな番組が好評を博し、東京キー局の中でも、局そのもののファンも多いといわれるのがテレビ東京だ。しかし、その勢いにも陰りが見られた。人気特番である『池の水ぜんぶ抜く』が、奈良県の箸墓古墳に隣接する池の水を抜く企画を立ち上げて予告編まで放送したものの、地元から取材NGを言い渡され、この企画の放送が中止となったのだ。

 依頼段階で断られるなら理解できるが予告編まで流してからのNGには驚きの声も上がっている。だが、そこにはテレビ界特有の悪癖が影響していると関係者が聞かせてくれた。

「ロケには関係各所の許可が必須です。今回も地元の許可を取りました。ただ、条件付きだったんです。報道されているように『掃除をメインとし、宝探しのようなことはしない』といわれていたのです。この時点で企画内容と合致しないので、本来なら諦めるのが筋。しかし、番組の第一線にいる制作会社のスタッフは会議で決まった内容を推し進めないと大目玉をくらうので、強行突破することが多いんですよ」(テレビ番組スタッフ

 強行突破とは、どういうことか。

「相手が条件を提示していても、それを会議で報告もせず、うやむやにしたままロケを実施してしまうんです。ロケではたくさんのスタッフタレントが来て、大量の機材も持ち込まれます。そんな大人数を前にして『条件が違う、中止にしてくれ』といえる企業や自治体の担当者は少ない。要は現場の空気で圧倒して相手が受け入れてくれるよう声なき圧力をかけるわけです」(同)

 相手が圧力に屈するのをいいことに、受け入れるつもりもない先方からの条件をのんだフリをしているスタッフがたくさんいるという。

「会議で作家や総合演出が決めたネタを交渉で断られたとなると、制作スタッフの力量不足とみなされることも多いため、強行突破するスタッフは昔から多いんですよ。今回は予告編を多くの人が見ていた上、文化庁からも問い合わせがきたため、強行できなくなったよう。しかし、これまで同じようなケースで泣き寝入りしていた人や自治体が多くあることを考えれば、こうしたケースが表面化したことはよかったと思いますね」(同)

 今回の件によって自浄作用が働くことを願うばかりだ。同時に許可が取れないからといって力量不足とみなす悪しき体質を改善するべきだろう。せっかくの人気番組だからこそ、慎重に制作してほしいものだ。
(文=吉沢ひかる

※画像は、テレビ東京『池の水ぜんぶ抜く』公式ページより

※画像は、テレビ東京『池の水ぜんぶ抜く』公式ページより