晴れた寒い冬の朝、パン好きが朝から長い行列をつくっていた。12月9日東京国際フォーラムで行われた「2017全日本パンフェスティバル」だ。

オシャレな人気店から大手メーカー、さらにご当地パンまで、有名パン屋さんが一堂に会するパン好き垂涎のイベント。会場内はパン好きたちの熱気でいっぱいだった。


「昆布パン」「クリームボックス」……ご当地パン勢ぞろい!
気になったものを端からチェックしてみたので一気に紹介したい。
まずは、さわや食品(富山県)の「昆布パン」。実は富山県は世帯あたりの昆布の消費量が日本トップクラスで、昆布を使った商品も多い。食べてみると、昆布の主張が想像以上に強く、磯風味が豊か。富山県産米粉を使ったモチモチ生地もクセになる味わい。

同じさわや食品の「コーヒースナック」も、懐かしいパッケージにそそられた。コーヒー味の食パンにコーヒークリームをサンドしたもので、想像より甘さ控えめの大人テイスト。50年前からパッケージやレシピはほぼ同じだとか。

コーヒーモノではほかに「ESPLAN(エスプラン)」(神奈川県)の看板商品「珈琲あんぱん」も美味。エスプレッソを混ぜたこしあんと生クリームが入っている。「食べるアイス カフェ・オ・レ」というキャッチフレーズだが、まさにそんな味わいだった。

福島県の「クリームボックス」は、最近コンビニでの扱いもあり、人気も知名度も上昇中。郡山発祥のご当地パンで、ボックス型に見えるパンの上にミルク風味のクリームがのっている。酪王カフェオレを使用した「カフェオレボックス」もある。

グルッペ・石渡食品(静岡県)の「みしまフルーティキャロット」はユニークなニンジン型。

三島人参を使ったフルーティなゼリーダイス状にカットして中に入れてある。三島市内では地産地消の観点から給食で出ることもあるそうだ。

「高岡製パン」(熊本県)が出品していたのは、ストレートなネーミングにそそられる「ネギパン」。生地にネギが練り込んであり、中にはかつおぶしマヨネーズなどで味付けたソース入り。食べていると、なんとなくお好み焼きを思い出した。

富士製パン(静岡県)の「ようかんぱん」は、つぶあんこしあんバニラクリームという和洋3つの甘みがひとつになった55年の歴史を誇る地元のソウルフード。やさしい甘さで子どもウケも抜群。

姉妹品には10~2月限定の「白いようかんパン」も。さくさくのクロワッサン生地に白ようかんをかけてあり、中にはくるみ入りの白あんが入っている。


人気ベーカリーには長蛇の列
オシャレパン屋で一番人気だったのは「Zopf(ツオップ)」(千葉県)。

CENTRE THE BAKERY(セントル・ザ・ベーカリー)」(東京都)ではこの日限定の「ゆめちからロールパン」を販売していた。

この日限定の「返金保証宣言!」という粋なサービスをしていたのは「コッコパン」(千葉県)。超有名店が多いなか、お客さんの目を引いていた。


ローレル」「サンミー」「ポルテ」が復刻
大手メーカーコーナーも充実していた。

ヤマザキ「ランチパック」コーナー。一番人気はピーナッツだが、それ以外にもさまざまな味がある。

来年100周年を迎える神戸屋では「ローレル」と「サンミー」の復刻版を2018年1月に発売するそう。

第一パンの「ポルテ」も70周年を記念して今年9月に復刻していた。

給食サンプルに「懐かしい」の声
会場の一角では、歴代のパン給食のサンプルも展示され、「こんな立派な容器だったっけ?」「先割れスプーンって、懐かしい!」などの声が。


もともと同イベントは国産小麦の現状やパン給食への理解を深め、全国のさまざまな“今”のパンに触れながらパンのおいしさや楽しさを知ってもらうことを目的に、パン食普及協議会と全日本パン協同組合連合会が主催している。

アンケートに答えた人には国産小麦を使った揚げパンの配布も。

パン技術者が指導する「親子パン教室」も盛況。多くの親子がパンづくりに挑戦していた。

毎日のように食べているパンだが、あらためてそのラインアップに驚かされた同イベント。みなさんはどんなパンが好きですか。
(古屋江美子)

給食パンといえばやっぱり揚げパン!