謹賀筆圧!

2018年がやってきました。

年末年始に帰省して、毎年恒例「いい人いないの?」「○○さんのお嬢さん、結婚したんですって」「私があなたの年齢だったときには、もう2人目の子どもがいたのよ」「孫の顔が見たい」「あ、○○おばちゃんだ! お年玉ありがとー!(甥姪ハトコの声)」スプラッシュを受け、これまた毎年恒例「今年こそは結婚したい...」「やっぱり彼氏が欲しい...」「老後まで一緒にいられるパートナーが欲しい...」と決意をあらたにしたアラサー女性は多いことでしょう。

理想は20代、30代前半でギリギリ、35歳はアウト?

「やっぱり20代のうちに結婚したい。30歳になると途端に婚活でニーズが減るっていうし」

「35歳までに子どもを生みたいから、32歳までに結婚したい。33歳でギリギリかな」

結婚したいアラサー女子は、このような「○歳までに結婚したい」という年齢の希望を持っていると思います。

婚活サービスなどでは「20代女性のニーズはとても高いが、30代になると落ち、35歳を過ぎるとさらに下がる」とよく言われますし、オンオフ問わずたくさんのアラサー女子と話をしていると「20代はセーフ、30代になったら黄色信号、35歳になったらヤバイ。もうニーズがないから結婚できない」と考えている人が多いと感じます。

たしかに、統計上では女性は年齢を重ねるにつれて結婚する率が減っていきます。

だから「結婚したい」と思ったら「年齢的にヤバくなる前に、なるべく早くに婚活をして結婚すべき」と思うのは合理的です。

しかし、周りを見ていると、35歳以上になっても結婚している女性はいるし、その出会いは必ずしも婚活に限りません。

今回は、アラサー女性に広く信じられている「できれば20代、遅くても30代前半までに結婚しないと結婚できない」セオリーに当てはまらない女性たちの事例を紹介します。

ケース1:15年恋愛から遠ざかっていたバリキャリの結婚

広告営業のAさんは、自他ともに認める「なによりも仕事が好きすぎる」バリキャリ。

20代のうちは「結婚したい」とは思っていたものの、目の前にある仕事があまりにも楽しすぎて婚活をする気がわかず、あっという間に30歳を迎えます。

ちょうど30歳になったときに昇進し、部下がたくさんできて新しい仕事のステージに立つことに。

Aさんは年齢を考えて31歳のころに婚活を始めますが、マッチする人は見つからず。それに新しい仕事の負荷が高いし面白いので...1年ほどして婚活をやめます。

「自分は恋愛に向いてないし、ニーズもないとわかった。ちゃんと自分でやって、あきらめがついた」のだそうです。

そのあとは、がっつり仕事に没頭したAさんでしたが、36歳のときに体を壊し、仕事をペースダウンすることに。

ある程度、仕事をやりまくってひととおり満足していたこともあり、仕事量を減らすこと自体は受け入れられたものの、ほぼ仕事しかしてこなかったので暇すぎてこのままではヤバイと思ったAさんは、新しく没頭できる趣味を探すことにしました。

いっそまったく未経験のことをしてみたほうが負荷がかかって真剣に没頭できると思い(ここらへんの思考が真性ワーカホリックだと思います)、みんなで土地を借りて農業をするサークルに入ります。

予想どおり、これまでやったことと違いすぎて、Aさんは完全初心者の状態に。仕事ではベテランとして頼られ尊重される立場だったので、初心者フェーズが新鮮だったAさんは、いろいろな人に教えてもらいながら新しいことを学びます。

一方で、プロジェクトマネージメントや交渉についてはプロなので、自分の特技を生かして作物を使ったイベントを開催するように。

「別に仕事以外でも必要とされるんだ。自分はあまり女らしくないし、仕事以外で自分はニーズがないって思いこんでいたな」「このままこうやっていろいろな人と触れ合っていられたら、独身でも老後まで楽しいかも」と思うようになります。

そんなとき、同じサークルにいた30歳の男性から、「付き合って欲しい」と告白されたAさん。

ここ15年、恋愛から遠ざかっていたAさんにとって告白は完全に想定外だったので「私はアラフォーだし、あなたは若いんだから、もっと別の人にしたほうがしあわせになれるのでは」と反射的に断るものの、男性は「年下の自分にもいろいろ質問してくれて頼られていることがうれしかったし、逆にイベントでは自分じゃ絶対できないマネジメントぶりを見てかっこいいと思った。年齢とか関係ないです」と押されて付き合うことに。

「やっぱり年上すぎて幻滅されるのでは? いつ振られるんだろう?」と怯えながらも付き合っていたら、その年にプロポーズを受けて結婚しました。

「一緒に作業をしていたからお互いの考えかたや動きかたがわかっているし、これからの人生で協力し合えると思った」

「仕事ではバリバリやっていて弱みを見せたら立場がなくなると思い込んでいたけど、初めてやったことで自分の壁を取っ払って自然に振る舞えたから、この人相手なら固くならずに振る舞える」

というのが理由だそうです。いい話だ。

ケース2:10年来の趣味友だちと友情婚

45歳女性・Bさんと35歳男性・Cくんは、読書会で知り合って以来、10年続く趣味友だち。

フリーランスライターと美容師でお互いに職種はぜんぜん違うし、年齢も一回りほど違うけれど、ふたりともマイナーな小説家が好みで、周りに趣味の話をできる人が一切いないので、よく会っては趣味の話をする関係を続けていました。

お互いに恋愛感情はゼロ。

Bさんは30代のときに結婚するも、数年で離婚したバツイチで、「もう私には恋愛は無理」派。

Cくんは「女性の女っぽさがめちゃくちゃ苦手だし、ひとりでも趣味友がいるし仕事もあるし楽しいから、別にいらない」と、ずっと「結婚願望ゼロ」派。

やがてお互い30代と40代になって周りがどんどん結婚していくと、「お互いに結婚の予定がない、気楽に誘える独身友だち」として、ふたりは会う回数が増えていきます。

そんな折、ふとしたときにCくんがBさんに「再婚する気あるの?」と聞くと、Bさんは「ある」との答え。

C「え、再婚する気あったの!? 忙しいから休みは数少ないのに、俺とばかり会ってたら相手を探せなくない?」

B「まあそうだねー」

C「え、だめじゃん。会う回数、減らそうよ」

B「いや再婚する気はあるけど、私ぜんぜん一般受けするタイプじゃないし。むしろよく1回結婚したなって思うぐらいだし。もう1回できたらいいなと思うけど、失敗した人間だからさ。それよりCくんと一緒にいることが楽しいから別にいいんだよ」

C「え、じゃあ俺と結婚する? そしたら再婚できるよ」

B「え!?!?!?」

と、なぜか再婚のための婚活を勧められた5分後にプロポーズを受けた、という謎ロマンティックな展開に。

「じつはCくんはずっとBさんのことを好きだった...」「じつは結婚願望があった...」という恋愛漫画みたいな展開かといえば、本気でそんなことはなく、「別に結婚はどうでもいいけど、Bさんが再婚したいのに俺と会ってて再婚相手が見つからないなら、俺ができることってプロポーズじゃない? 10年ずっと友だちでお互いの趣味も性格も把握してるし、家も近いし、ここ最近はずっと一緒にいるし。結婚してもしなくても変わらないけど、Bさんが再婚したいなら俺は付き合う」ということだそうです。

謎だけどかっこいい、けどやっぱり謎です

お互いに恋愛感情はないけれど「パートナー」としてやっていける、ということで、いわゆる「友情結婚」を決めたふたり。

私がこの報告を受けたのは、ふたりの初デート(さんざん会ってるけど、「デート」という名目で出かけたのは初めてだったらしい)日でした。いい話だ。

何歳になっても、一緒にいて気持ちいい女性たち

もうだいぶ長いのでふたつのケースだけ紹介するにとどめますが、ほかにも35歳以上で「もう自分は年齢的に結婚は無理だろう」と思っていたころ、思いがけない方向で縁があってスポーンと結婚した、という話を最近5、6件ほど聞いています。

もちろん「その人たちはたまたま運がよかっただけ。35歳以上の女性にとって、やはり結婚は厳しい」と言うこともできます。

しかし、彼女たちにはいくつかの共通点があります。

・仕事や趣味など、自分の好きなものを持っている
・好きなものがある自分を誇りに思っている
・好きなものについて話せる男友だちがいる
・周りと自分を比べて「自分はダメだ...」とあまり言わない(たまに言うけどいつもじゃない)
・年齢や立場を気にせず、フラットに人と付き合える

これらの特徴をまとめると「自分の軸を持っている」「人と自分を比べない(自分を見下したり、他人を見下したりしない)」 = 「自己肯定感がある」と言えると思います。

友人として付き合っていても、彼女たちは魅力的です。

私を含めた年下の人間をまったく年下扱いしてこないし、「私みたいになると危ないわよ」「若いっていいわねーいまのうちだけよ本当に」といった自虐もしないし、仕事や趣味の豊富な経験を使ってマウンティングもしません。

もちろん落ち込んでいるときもありますが「落ち込んでるんだよねーなぐさめてー」と素直に言ってくるし、もちろんこちらの相談にも乗ってくれるし、一緒にいて気持ちいい人たちばかり。

「一緒にいて気持ちいい」と同性の人間が思うのだから、同じことを男性が思うのもまったく同感だし「よくわかるよフレンズ」と肩をたたきたくなります。

逆に、「私は35歳を過ぎても結婚できなかったダメ女だ」と自分を見下したり、「あの女は私よりブスなのになんで結婚できてるの?」と他人を見下したりして、自己肯定感が下がっている女性、「結婚すればしあわせになるはずだし、みんなにも認められるから、どうしても結婚したい」と結婚を「自信をつけるための手段」として考えている人は、呪いオーラが撒き散らされていて、一緒にいるのがつらいです。そしてやっぱり、そういう人たちからは結婚報告を聞きません。

期限は大事。でも期限が呪いにならないように

「○歳までに結婚したい」と期限を決めて目標を立てて行動すること自体は、いいことです。気合いが入るし、計画に具体性が出ます。

でも注意しなければならないのが、目標が達成できなかったとき、「期限 = 年齢」が呪いになってしまうこと。

目標はあくまで目標なので、当然ながら目標達成できない人はたくさんいます。

このときに「この年齢になってしまった自分はダメだ」「もう女として必要とされてないんだ」と自分にダメ出しをすると自己肯定感が下がり、「自分よりしあわせな人間が許せない、下の人間を見ていないとダメだ」「親のせいだ」と呪いをまき散らすようになったり、「私をしあわせにしてくれるなら誰でもいいから誰か助けて」と周囲の人を「自分の不安を解消する道具」扱いするようになります。

こういう人は、一緒にいると楽しくありません。呪いをまきちらしていたり、自分を「不安解消のための道具」扱いしてくる人と結婚したい、と思う男性はほとんどいないでしょう。

結婚はふたりでするものですから「この人と結婚して一緒に生活したら楽しそうだな」というハッピーな妄想を"お互いに"できることが前提です。

自分のハッピー妄想にしがみつくあまり、相手がぜんぜんハッピー妄想できないぐらい呪いをまき散らしていたら、まあ難しいだろうな、と思います。

なので、「今年こそ結婚したい!」「○歳までに恋人を作りたい!」というアラサー女性の気持ちはよーくわかるし応援します。

でも、「年齢制限」をガッチガチに設定して焦り、自己肯定感をガンガン下げて「呪い女」にならないでほしいと思います。

今回紹介した女性たちのように、「結婚は難しくなる」と一般的に言われている年齢でも、結婚する人たちはちゃんといます。

目標は大事! でもダメなときもある! うまくいかなくても自分にダメ出しをしすぎない! 呪い製造機にならない! 自分も相手もごきげんに! を合言葉に、ぜひ今年の目標をガンガン立ててPDCAを回しちゃいましょう!

目標設定の立てかたはこちら

撮影(トップ、2、4、5、6、7枚目)/出川光 撮影(3枚目)/田所瑞穂 文/ぱぷりこ



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