U-18エース中村駿太が奮闘も…長崎総科大付に0-1敗戦、連覇の夢潰える

 試合終了のホイッスルが鳴りいた間、青森山田の選手たちはピッチに崩れ落ちた。それは、選手権連覇の夢が潰えた間だった。しかし、ホイッスルが吹かれる数前、すでにピッチにうずくまる選手がいた。FW中村駿太(3年)だ。

 第96回全高校サッカー選手権は3日、各地で3回戦を行い、青森山田青森)はフクダ電子アリーナ長崎総科大付(長崎)に0-1の敗戦を喫した。

 前回王者でストライカーの役割を担うのは、J2モンテディオ山形の加入が内定している中村。昨柏レイソルU-18から“移籍”した。これまでもユースから高校転入という事例はあったが、ユースチームの絶対的エースを務める選手が高校へと活躍の場を移すのは異例。それは、選手権の舞台に立ちたいという想いが背中を押した決断だった。

「自分はストライカー。点を取ることでチームに貢献したい」。前日、2ゴールを挙げた草津東(滋賀)との2回戦後中村強くそう言い放った。チームに加入して、たった10か。それでも「すぐに温かく迎え入れてくれた監督チームメートには本当に感謝しきれてもしきれない」とる。

 だからこそ、ゴールという結果で青森山田に恩返しすることを強く望んでいた。

ラストワンプレーの後悔「ああいうところで決めなければ、自分がいる意味がない」

 そして、3回戦長崎総科大付戦。後半アディショナルタイムに突入し、0-1のビハインド。敗戦が前に迫る中、必死ボールを追い続ける中村の姿があった。ここで決めれば、チームを助けられる。熱のこもったプレーが、そうっていた。

 ラストプレーの場面。ピッチ中央の中村ボールが渡る。味方にボールを預け、ゴール前へと駆け上がる。ワンツーを狙ったパスは相手選手に当たってしまうも、それが功を奏し、走り込んでいた中村の間に転がってきた。

「自分がこれまで何度も決めてきた得意なコースだった。ファーストタッチ璧。あとは本当に決めるだけだった。だけど、肝心なところで、んでしまった」

 相手DFの対応が追いつかない中、ボックス左に侵入した中村フリーで左足を振り下ろした。しかし──。ボール情にもゴール右へと逸れていった。その軌を見た間、中村は頭を抱えながらピッチに倒れ込んだ。数後、試合終了を告げるスタジアムに鳴りくことになった。

「あの場面が頭の中でずっと繰り返されている。たぶん、しばらくはあの間を、忘れることはできない。ああいうところできっちりと決めなければ、ここに自分がいる意味がない」

憧れの高校選手権で頂点をした10かサッカー人生で一番楽しかった」

 高円宮杯プレミアリーグでは順調に得点を重ね、もが認める青森山田エースに定着してみせたが、選手権の大舞台では、チームを助けることがわなかった。それでも、中村にとってこの10かは、何よりもかしい特別な時間となった。

「ユースでも、いろんな大きな舞台を経験してきた。けど確かなのは、サッカー人生で、この10かが一番楽しかったということ。これだけ世間に注されて、皆に応援されて、モチベーションが高まるような大会は、これまで経験したことがなかった」

 連覇を狙える立場にあったはずが、志半ばで3回戦敗退。満足のいく結末は迎えられなかったかもしれない。笑顔になれる思い出にもできなかったかもしれない。しかし、中村にとって、高校サッカー選手権のピッチを踏みしめることができたことは、何にも代えがたい経験となったことに違いない。(THE ANSWER編集部)

青森山田のFW中村駿太【写真:編集部】