キャプテンMF稲見のゴールで矢板中央が6年ぶり3度目の準々決勝進出

 第96回全高校選手権3回戦の8試合が首都圏4会場で行われ、ベスト8が決まった。浦和駒場スタジアムでは矢中央(栃木)が神村学園(鹿児島)を1-0で下し、第90回大会以来6年ぶり3度の準々決勝へ進んだ。

 前半15分の左CK、DF内田太郎ファポストに蹴り上げ、181センチの長身DF高島が頭で折り返しボールを、キャプテンMF稲見哲行が右足ボレーで合わせ、ゴール左隅に突き刺した。2試合連続弾が決勝点となり、矢中央が失点勝利を挙げている。

ボランチとして常にこぼれ球を狙っているので、ゴール前でも同じプレーをしただけ。(浮かさないように)抑えて打ちました」

 精かんな顔付きの背番号6は、記者の長い問い掛けにも一つ一つ丁寧に受け答えし、軽口は一度も言わずに生まじめな回答に終始。サッカーに没頭している人柄がにじみ出ていた。
 
 後半初めにセンターバックCB)の白井アクシデントが発生すると、稲見はボランチからゴール前の門番を担当。体の栃木県少年選抜チームを数えると、ボランチの他にもCBサイドバック、FWなどGKを除く全てのポジションを経験してきた万とあり、慌てず騒がず、最後尾から守りの揮を執った。後半は守備に追われて9本のシュートを打たれ、耐える時間が長かったが失点に封じ込んだ。

 就任24年高橋健二監督は稲見に最大級の賛辞を贈る。「導者以上のがあり、チームをまとめるリーダーMVPをあげたい」と褒めた。

「全然勝てませんでした」で溢れた涙

 今季、矢中央は結果が出なくて苦しんだ。新人大会は決勝で敗れ、関東高校大会予選は1回戦敗退、全高校総体予選も準決勝で姿を消すなど、今大会予選前までは冠だった。「昨日の2失点から守備が善できた。高橋(大悟)君の決定的なシュートも体をって守れたし、り強く守ってくれた。以降は勝てるようになったが、それまでは栃木で全然勝てませんでした」と言いながら、万感胸に迫るものがあったのだろう、高橋監督は涙を落とし始めた。「よくここまで来た」と言っては、さらに涙が溢れ出た。

 帝京東京)を6度の優勝に導いたアドバイザーである名将・小沼貞雄氏からは、「ベスト8ではまだまだ」と言われたそうで、ここでようやく笑顔が戻った。

 矢中央は昨年8月の第4回全日本ユースフットサル大会で、長岡向稜高校新潟)を破り初優勝した。2年生主体のチームだったが、稲見は一の3年生として出場。中学の時にもフットサルの経験があるだけにお手の物だった。

 チーム過去最高成績は第88回大会のベスト4だが、稲見は「まずは先輩たちの成績をえ、最終標は優勝です。佐野日大が去年4強入りしたのを見て、うらやましかったし悔しくもあった。来年は自分たちだと思っていましたから」と言い、栃木県勢として第29回大会の宇都宮以来となる67大会ぶりの優勝を見据えた。

【了】

河野文 text by Tadashi Kawano

フットボールゾーンウェブ編集部写真 photo by Football ZONE web

 

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