鳥栖から期限付き移籍した元日本代表FW 元神戸のキム・ドフン監督が口説き落とす

 サガン鳥栖豊田陽平が、Kリーグの蔚山現代FCに期限付き移籍することが決定した。期間は2018年12月31日までとなっているが、韓国メディアの豊田に対する見方は様々だ。

 豊田は04年にJ1名古屋グランパスでプロデビューし、07年にJ2モンテディオ山形、09年京都サンガF.C.を経て、10年に当時J2だった鳥栖に移籍した。それから7年連続でリーグ戦二桁得点を記録し、鳥栖のエースとなったが、昨季は5ゴールと不振のままシーズンを終えた。

 それでも蔚山のクラブ関係者は「豊田はJリーグで結果を残した選手。韓国に適応できれば、いい結果を残せると期待している」と話している。

 そもそも蔚山とは、どのようなチームなのか。

 現在の指揮官ヴィッセル神戸プレーした経験のあるキム・ドフン監督で、日本語も堪能。キム監督は豊田に直接電話でオファーを伝えるほど、熱心だった。

 それだけ蔚山は大型ストライカーを欲していた。

蔚山ではかつて家長や増田などもプレー

 韓国のスポーツ紙「スポーツソウル」は、「蔚山は昨季リーグ4位だったが、得点は38試合で42得点。チームの中心選手となるFWの不在がその原因だった。シーズン開幕前にはFWソク・ヒョンジュン(デブレツェニVSC)やFWファン・ウィジョ(ガンバ大阪)を獲得しようとしたが失敗した。17年はそれでもカップ戦優勝などで結果を残したが、今年はAFCアジアチャンピオンズリーグACL)に出場するので、大型FWの加入が最優先の課題だった」と、豊田の獲得理由について説明している。

 蔚山は1996年2005年リーグ制覇した韓国の名門クラブで、12年にはACLを制覇してクラブW杯にも出場している。昨年はFW阿部拓馬(ベガルタ仙台)がプレーし、MF家長昭博川崎フロンターレ)やMF増田誓志(清水エスパルス)も在籍したチーム日本人選手がプレーした実績のあるチームだけに、豊田が蔚山の選手やチームスタッフたちと溶け込むのも時間の問題だろう。

 それでも豊田の成功への近道は、Jリーグと全く異なるKリーグの環境への適応が最も重要となるのは間違いない。

 これまでKリーグでは前園真聖、戸田和幸、高原直泰(沖縄SV)、高萩洋次郎FC東京)など多くの日本人選手がプレーしてきた。そのなかでも同じFWとしてなら、元日本代表の高原のインパクトが強い。10年7月に6カ月間の契約で水原三星に在籍したが、12試合で4ゴールを決めている。そのなかでも印象的だったのは、加入1カ月後に行われた「ソウルダービー」や「スーパーマッチ」と呼ばれるFCソウル戦。この大一番で高原は、2ゴールを決めてファンを熱狂させた。

高萩がKリーグで成功した要因

 また、高萩は15年からの2年間、FCソウルプレーし、16年のリーグ優勝にも貢献しているが、広い視野とパスセンスを武器に中盤の要となり、球際でも強さを発揮してチームに欠かせない選手へと成長した。チームメイト韓国人記者とのコミュニケーションをしっかり取れたことも、韓国側に受け入れられた要素の一つと言われている。

 ある韓国のスポーツ担当記者は、豊田の加入について「32歳になるベテラン選手で、昨季は9月以降ゴールを決められておらず、“エース”という見方とは違うかもしれない」と語っている。期待と不安の両要素があるとはいえ、Jリーグを代表するストライカーとして成長した豊田が、昨季の不振を乗り越えて初の海外移籍となる韓国でどのようなインパクトを残すのか。今季の活躍に注目が集まる一人であることは間違いない。

【了】

金 明昱●文 text by Myung-wook Kim

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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