「好きな色は何?」と聞かれたら、僕は速攻で黒と答える。黒ってなんか無難だし、コーヒーもブラックが好きだし、仮面ライダーはBLACK世代だった。しかし、唯一この世で嫌悪するブラックというものもある。それがブラック企業だ。(文:松本ミゾレ)

ハローワーク等に一年中求人を出している。常に人が入社しては退職」

僕がこのコラムを連載している「キャリコネニュース」は、企業口コミサイト「キャリコネ」を母体としている。その「キャリコネ」で口コミ検索をしてみると、ブラック企業についての情報も結構ある。今回はその中から、そこそこパンチの効いているものを紹介していこうと思う。

「意図的に法令を無視しているブラック企業と言っていいかもしれない。求人詐欺も働いている。全員契約社員からの採用にしているのに、職安の求人票には正社員採用と虚偽の雇用形態を描いている。何度も職安に通報された結果、最近はタウンワークでの採用にシフトしているが、嘘っぱちの求人広告に騙されてはいけない」(物流サービス業)
ハローワーク等に一年中求人を出している。常に人が入社しては退職を繰り返す為、単に使いやすい単価の安い労働力を求めている可能性がある。配属される部署間で、職務内容と労働環境、労働時間に格差があるため、配属される部署によっては良かったり、悪かったりする。体育会系YESマンでないと生き残りは難しいと感じた」(食品加工業)

こんな感じで、年中人材募集をかけている=ブラックという図式に、ピシャリと当てはまったようなブラック企業への告発の声があった。

やっぱり人材が居付かない企業には、そうなるだけの問題があるということなんだろう。

YESマン以外は生き残れないとか、正社員採用なんかしてないのにそれを明かさないとか、色々とひどい話である。

「社長が毎日誰かしらを怒鳴り散らすため、オフィスの雰囲気が最悪」

ブラックさのバラエティが豊かですね

しかし一口にブラックといっても、程度というものは千差万別。何から何までおかしなことばかりで、特に過度なワンマン経営が行われている、という口コミもある。

「この会社は最低です。まず社長は独裁者、総支配人は七光り、それでもって管理職はただの奴隷です。だれも社長に逆らえない、意見を言えない。言論の自由がありません。こんなブラックな企業が○○県にあるとはとても悲しくなります」(ホテル業)
「ワンマン社長が率いる超ブラック企業でした。パワハラ、モラハラなどは当たり前のようにありました。月に2日休めれば良い方で、勤務時間も毎日長時間。プライベートな時間は持てませんでした。離職率もとても高くどんどん辞めていくのでほとんど教育もなく退職者の仕事が降ってきて残っている社員の負担がさらにますという悪循環がずっと続いていて悲惨でした」(サービス業)
「社長は終始不機嫌で、ドアや机の引き出しの開閉が乱暴。かなり騒々しい。毎日誰かしらを怒鳴り散らすため、オフィスの雰囲気が最悪。掃除を業務時間外に無給で参加させられる。IT技術者派遣業を謳っているがその実、ハロワで募集した未経験者を研修なしで送り込むなど取引先の信用は皆無」(情報・通信)

一言でいうなら、こういう会社は労働者を働きアリ程度にしか認識していないんだろう。労働者の人権なんかおかまいなし。言論の自由もなく、人材の経済的・精神的な安定とも無縁で、当然評判も悪いというのがこの手のブラックの共通点である。

ただ、昔だったらブラック企業の話って表には出てこなかったんだろうけど、こうして口コミとして書かれるというのはまさに時代だなと感じた。