睡眠時に、「息苦しい」「急に心臓がドキドキして寝れない」ことがあるという人は、不安症のひとつであるパニック症で、過呼吸を起こしているかもしれません。「ドキドキして寝れない」「息苦しくて寝れない」と感じたときに考えられる原因や対処法について、いそべクリニックの院長で精神科医の磯部潮(いそべうしお)先生にお聞きしました。

目次

  • 過呼吸とは?
  • 「過呼吸で寝れない」ときの原因
  • 「ドキドキして寝れない」「過呼吸で寝れない」ときの対処法

過呼吸とは?

息苦しさを感じる女性

過呼吸とは、過換気症候群とも呼ばれ、強い不安感に伴って起こります。まずは過呼吸になるメカニズムについて解説します。

過呼吸のメカニズム

過呼吸あるいは過換気症候群は、「息を吸いすぎて、息を吐きすぎることで呼吸が苦しくなる」状態です。
 
平常時よりも速くて浅い呼吸を繰り返すことで、血液中の二酸化炭素が大量に排出され、血中酸素が多くなります。すると、酸素と血液中のヘモグロビンに通常よりも強力に結合し、ヘモグロビンが酸素を離さなくなります。それによって、細胞に酸素が行き渡らず、酸欠状態になり、息苦しさを感じるようになります。

過呼吸の症状

過呼吸になると、息苦しさだけでなく、以下のような症状が現れます-

  • 頭や身体がふらつく
  • めまい(周囲が回るような感覚)
  • 自分の身体が自分のものではないように感じる
  • 心拍数が増加、脈拍が速くなる
  • 手足や顔がビリビリする
  • 身体中の筋肉がこわばる
  • 手のひらに汗をかく
  • 口の中が渇き、うまく話せない
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過呼吸とは?|過呼吸の正しい対処法

→過呼吸の原因やメカニズムを解説します。

「過呼吸で寝れない」ときの原因

不安に悩む女性

「ドキドキして寝れない」「過呼吸で寝れない」ときは、パニック症の可能性があります。ここでは、パニック症について説明します。

パニック症とは

パニック症は、「このまま死んでしまうのでは」「気が狂ってしまう」など急に強い不安に襲われる精神疾患です。以下ではパニック症の症状を説明します。

パニック発作

前述した過呼吸の症状が、前触れなく突然起こります。

胸痛、胸部の不快感

鼓動が速くなったり、息苦しさが出てきたりすることで、「胸が痛い」「胸が苦しい」という感覚が現れます。

強い不安、死への恐怖

パニック症のさまざまな症状によって、その症状が継続的に続くような不安感が生じ、ぬことへの恐怖感が出ます。

「ドキドキして寝れない」「過呼吸で寝れない」ときの対処法

呼吸を整える女性

「過呼吸で寝れない」と感じたときの対処法として、症状が出ているときにできる呼吸法や薬物療法と、症状が出ていないときに医療機関で行う治療があります。

呼吸コントロール

パニック発作で起きる過呼吸には、呼吸のコントロールが有効です。呼吸を安定させ、血液中に酸素が多すぎる状態を解消します。

  • 安静な環境に身を置く
  • 10秒間呼吸を止める
  • 口あるいは鼻から3秒息を吐く
  • 口あるいは鼻から3秒息を吸う

 

呼吸困難は、肺炎などの別の病気が原因である可能性もあります。コントロールできない息苦しさを感じた場合は、医療機関を受診しましょう。

薬物療法

過呼吸の症状を引き起こす元となる不安、緊張、抑うつ、睡眠障害などの症状を緩和するためには、ベンゾジアゼピン系と呼ばれる抗不安薬が有効です。抗うつ薬であるセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)も、パニック症の治療に使われることがあります。薬は医療機関で処方してもらいましょう。

認知行動療法

症状が出ていないときに行う治療として、医療機関で行う認知行動療法があります。医師との対話によって、不安を引き起こす状況や不安の対象に対するマイナス思考を改め、不安が起こらないように導くものです。認知行動療法は、考え方のゆがみを治していくという治療法です。
 
睡眠中に急におこるパニック症や過呼吸は、特に不安な気持ちになりがちですよね。不安は症状をひどくしますので、「パニック症や過呼吸で死ぬことはないのだ」と考えて、まず気持ちを落ち着かせ、呼吸法や脱力法などの方法で緊張を取り除きましょう。

photo:Getty Images