2017年上半期の均視聴率(4月3日10月1日、週ベース)は、日本テレビホールディングス(HD下の日本テレビ放送網全日(6時~24時)、ゴールデンタイム19時22時)、プライムタイム19時23時)ともトップだった。「視聴率三冠王」で、日本テレビの独り勝ちだ。

 各社がもっともを入れるゴールデンタイム均視聴率は、日本テレビが12.2%で首位、2位日本放送協会NHK)の10.2%、3位が東京放送ホールディングス(TBS)の9.6、4位はテレビ朝日ホールディングス(テレビ朝日)の9.1。5位はフジメディアホールディングス(フジテレビ)の7.7、最下位はテレビ東京ホールディングス(テレビ東京)の6.6ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

 民放キー局の17年4~9月連結決算に基づき、地上波テレビ単体の業績を較してみよう。

 ここでも、日本テレビトップを走る。売上高は日本テレビ1533億円)、フジテレビ1272億円)、テレビ朝日(1183億円)、TBS1075億円)、テレビ東京541億円)の順。営業利益は日本テレビ171億円)、テレビ朝日35億円)、テレビ東京32億円)、東京放送(29億円)と続くが、フジテレビだけが8億円の営業赤字となった。

 テレビ業界は視聴率の低迷から抜け出せず、広告収入が減りしている。視聴率でトップを走る日本テレビHDと営業赤字フジメディアHDは、どこがどう違うのか。

日本テレビの業績を下支えする放送外事業収入

 日本テレビHD17年4~9月期の売上高は前年同期1.8増の2072億円、営業利益は9.4減の202億円、純利益は42.1減の104億円と、増収減益だった。

 日本テレビ放送網は放送外収入の増加、人気映画ドラマアニメが見放題のHuluの会費収入増、前期末にアンパンマンこどもミュージアムを運営するACM連結子会社化したことなどによって増収となった。

 営業利益はHuluコンテンツ原価増、フィットネスクラブティップネス」の新規出店関係費用増などにより減益。日本テレビグループシステム開発や保守管理を行う連結子会社、日テレITプロデュースが、この期に稼働し始めた日本テレビネットワークの減損損失を計上したため、最終的に大幅減益となった。日テレIT49億円の損失を出していた。

 中核子会社の日本テレビ放送網の売上高は1.1増の1533億円、営業利益は1.6減の171億円、純利益は7.5減の133億円と、増収減益だった。

 放送収入は1231億円で横ばい。番組販売収入が3.5増の57億円、事業収入が6.8増の233億円、不動産賃貸収入は4.1減の10億円。放送収入が頭打ちのため、放送外の収入で稼いでいるのが実態だ。

 有料放送ライツコンテンツの販売)、通販、映画イベント海外ビジネスなどの事業収支は53億円。前期より18.5増えた。放送(=広告)収入の伸び悩みを多化事業が下支えしている。

 日本テレビHDの18年3月連結決算の売上高は前期2.0増の4250億円、営業利益は8.6減の480億円、純利益は24.0減の310億円の見通し。冬季オリンピックに向けた大番組の制作で費用が膨らむためだ。

 日本テレビ1月2日17年の年間視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)が、全日(午前6時~24時)、プライム19時23時)、ゴールデン19時22時)の各時間帯で首位になり、4年連続で「3冠」を達成したと発表した。発表によると全日8.2%、プライム12.0ゴールデン12.4だった。

視聴率低迷に止めがかからず

 一方、フジメディアHD連結決算の売上高は前年同期4.8減の3118億円、営業利益は12.3減の116億円、純利益は8.8減の116億円だった。子会社フジテレビの不振で減収減益となった。

 フジテレビ不振の最大の原因は視聴率の低迷にある。凋落は11年頃から始まった。ドラマバラエティの視聴率が低下した。そこで13年、『踊る大捜査線』など数々のヒット作を生み出したプロデューサー亀山千広氏が社長に抜された。

 しかし、大エースも低視聴率を食い止めることができなかった。亀山氏は14年に長寿番組森田一義アワー 笑っていいとも!』を打ち切るなど、番組を大幅に編。バラエティ番組『バイキング』や情報番組『直撃LIVEグッディ!』の視聴率はやや善したが、肝心のドラマなどの視聴率の落ち込みが続いた。

 15年からはテレビ東京が背後に迫っている。テレビ単体の営業利益では、すでに最下位。7~9月期には、とうとう営業赤字に転落した。

 176月BSフジ社長だった宮内正喜氏がフジメディアHDフジテレビ社長に就任した。まずドラマの視聴率の回復をすことになる。

 ドラマ1710月1週~12月2週)の均視聴率ランキングによると、1位テレビ朝日の『ドクターX~外科医・大門未知子~』の20.2%フジテレビは『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』が7.0で9位にとどまった。視聴率の回復作戦は、現時点では不発に終わっている。

 フジメディアHDの18年3月連結決算の売上高は前期1.4減の6446億円、営業利益は5.3増の235億円、純利益は22.3減の213億円の見通し。の放送事業は視聴率が落ち込み、CM収入が減る。都市開発事業のホテル運営は好調だが、それでも補えず減収だ。番組制作費の抑制を進めたことから、営業利益は増える。前期に発生した仙台放送連結子会社化に伴う負ののれんがなくなり、最終減益になる。18年も苦が続くのは間違いない。

 テレビ広告費全体の3割を占めて安定しているが、インターネット広告のような成長性は期待できない。総務省情報通信審議会に地上放送のインターネット同時配信を諮問し、18年6月をめどに最終答申を予定している。

 地上放送の新たなビジネスチャンスと期待される定額制動画配信は、Huluからライブスポーツの英DAZNまで選択肢が増えた。日本テレビは14年にHulu日本事業を買収した。地上波局は、どこでも新規事業に活路を見いだそうとしている。

 市場の評価はどうだろうか。式時価総額(12月14日終値時点)は、1位日本テレビHD5345億円、2位東京放送HD5284億円、3位がフジメディアHD4080億円、4位がテレビ朝日HD2513億円、5位がテレビ東京HD706億円の順だ。

 年末(12月28日時点)には、価総額でTBS日本テレビを逆転した。価は半年先を予見しているというから、18年はTBS日本テレビを追い上げるかもしれない。1位東京放送HD5358億円、2位日本テレビHD5097億円、3位はフジメディアHD4189億円。テレビ朝日HD 2459億円、テレビ東京HD702億円と続く。テレ東スカパーJSATHD1778億円)、WOWOW957億円)より下である。
(文=編集部)

フジテレビ本社ビル(「wikipedia」より)