インターネット上で人気を呼ぶ「ニコニコ生放送」は、配信者と視聴者がコメントを通じてコミュニケーションが取れる双方向型のインターネットサービスだ。自分の意見がすぐに反映されるので、テレビにはない魅力がある。

これまでに数多くの話題が生まれ、多くの視聴者から支持されるような人気配信者も登場。しかし、一方では予期せぬ事故も発生しており、中には事件になったケースもある。運営側はさまざまな制約を設けているようだが、リアルタイムで起きている放送をすべて管理することは不可能と言えるかもしれない。

最近では韓国でも似たようなことが起きている。韓国メディア「ヘラルド経済」は、21日付の記事「扇情的で加虐的な“ひどすぎる”インターネット放送をどうするのか」で、若者を中心に人気を集めるユーザー生放送が過激化していると伝えた。

例えば、ある男性配信者は放送中にヨーグルトを大量に食べ、吐き出す様子を放送した。また、ある男性配信者はラーメンのスープで洗顔する様子を披露し、別の男性配信者は自分が人気配信者であることを利用して、複数の視聴者にセクハラをしたり性的関係を持ったりした。

これらは個人放送サービスを行う「アフリカTV」で行われており、サイトを覗けば毎日このような風景が流れているという。

●生放送が金儲けの手段に?
「ビョルプンソン(星風船)をくれたら、その分だけ露出してあげる」。ある女性配信者は、過激な露出で視聴者から人気を集めていた。女性が言うビョルプンソンとは「アフリカTV」の中で使われるキャッシュのこと。ビョルプンソンは1個あたり110ウォン(約7円)で、視聴者が購入し、面白いと思った配信者にプレゼントすることができる。取り分は、110ウォンのうち配信者が70ウォン、残りが運営会社。ビョルプンソンは現金化することができるため、配信者は多くの視聴者から多くのビョルプンソンをもらおうと放送内容をエスカレートさせる。

最近も、人気配信者にある視聴者がビョルプンソンを16万個プレゼントし、インターネット上で大きな話題となった。16万個は購入すると1700万ウォン(約110万円)相当。2010年のナンバーワン配信者は、ビョルプンソンで月平均900万ウォン(約60万円)の収入があったことを明かしている。人気配信者になると大金が稼げるのだ。

ヨーグルトを吐きだした男性は、視聴者から「もっと早く食べろ」などと急かされていたという。コメント欄には悪口などが入り乱れていたが、男性は注目を集めればビョルプンソンも増えることを知った上で、過激な行動を繰り返していたとみられる。

●対策は今のところ何もなし
過激化する韓国のユーザー生放送だが、今のところ放送を規制するような特別な措置はないという。韓国青少年政策研究員のジャン・ウンヨン研究員は、「ユーザー放送をひとつひとつ管理し、違反社を処罰するのは不可能に近い」とし、「もしそれが可能だとしても、法的な介入は副作用を招く恐れがある」と指摘した。

「ヘラルド経済」は、規制が難しいのであれば、教育を通じたマナーの向上が必要ではないかと論じる。金儲けの手段と化したユーザー放送は、韓国で大きな問題となりつつあるようだ。

※画像:ヘラルド経済/日曜ソウル韓国語

※この記事は、ゴールドラッシュの「朴美奈」が執筆しました。