あなたはサービス残業、略して「サビ残」はお好きだろうか。聞いておいて何だが、そんな奇特な人はいないだろう。無償で自分にとって一切得の発生しない労働を行うなんて、こんなバカらしいことはない。ところが世間には、サビ残をしょっちゅうさせる職場も多い。

今回も例によって企業口コミサイト「キャリコネ」に寄せられたエピソードから、いやらしい企業の実態をさらしていきたい。さっそく「サービス残業」「サビ残」で検索すると、ひどい職場がヒットした。(文:松本ミゾレ)

電通過労死事件後も減らない仕事 しかし上司は「早く帰れ」

「サビ残当たり前。クレーマー酔っ払いを相手にしなくてはいけない。ボーナスは満足に出ないし、仮眠すらない。夜のフロントは基本ツーマンセルなので、お互いいつもピリピリしている。ほぼ休憩も取れないので身体も壊しやすい」(サービス20代ホテルスタッフ

いつカウンターに降りてもフロントマンが待機しているから「大変だなぁ~」とは思っていたんだけど、それ以上に面倒な客の対応もしているのだから、お疲れ様といいたくなる。せめて収入面で見返りがあればいいが、コメントを読む限りでは過酷という他ない。

またテレビ番組制作会社に勤める20代ディレクターも、サビ残が多く休みが取れないほど激務だが、

「その割に電通の一件があったことを理由に上司は早く帰宅するように促してくる。形だけでもそうしなければ自分の立場がなくなるのは分かるが、仕事の量は増える一方で勤務時間を減らせというのは無理難題である」

と嘆いている。お手本のような時短ハラスメントだ。過労などが原因で電通の女子社員が自殺をした、ああいった悲しい事例があろうとも、現場の雰囲気は簡単に変化しないということか。他にもサビ残によって労働意欲を失った人々の声は非常に多い。

「営業が現場に行かなくなるという理由で、パソコンは課に1台のみ」

ここからはさらに焦点を絞り「退職理由として書かれていたサビ残事例の口コミ」を取り上げていく。繊維製品の代理店に勤める20代営業は、サービス残業というより「サービス出勤」が横行しており、入社後6ヶ月休日ゼロという同僚も多かったという。さらには、

「営業が現場に行かなくなるという謎の理由で、パソコンは課に一台しかなく、若手は先輩方がパソコンを使い終わるのを待っている」

という非合理的で意味不明ルールがある。マンパワーが足りない上に、旧態然とした社内環境が足を引っ張っているというのは、他人事ながら笑えない。また20代サポートエンジニアは相当やばい社長に悩んでいたようだ。

「朝に言った事と夕方言った事が全然違ったりするのが当たり前で、社員は常に振り回される。思いつきで行動してしまうので社内はいつもしっちゃかめっちゃかだ。又、サービス残業をするのが当たり前で、『総合職はボーナスに残業代が含まれている』とかいう謎理論を出している」

よく「ワンマン社長が繰り出す、将来があまり見通せない方針」に辟易する人も見かける。それだけでも勘弁してもらいたいのに方針すら定まっておらず、サビ残と俺様法令が発動するハードな職場環境。総合職はボーナスに残業代が含まれているって、トチ狂っていてポイントが高い。

さすがは退職するに足る理由として吐き捨てられた口コミであって、どちらも「これ以上こんなところで時間を無駄にするのは無理だ!」という叫びが聞こえてきそうになる。実際、退職して正解といっても間違いではないだろう。

ところで常々思うが、結局サビ残なんて、やる輩がいるから蔓延するのではないだろうか。強い意志でもって全員で断れば、馬鹿げた風習は消滅するはずだ。たしかに可哀想だが、僕個人としては「会社に奉仕して搾取されて、それで平気なのか?」と思える部分が強い。