180万枚を超えた大ヒット曲「それが大事」などで知られる大事MANブラザーズバンドでキーボードを担当していた吉田理恵さん(51歳)が、1月13日に放送されたバラエティ番組「にじいろジーン」(関西テレビフジテレビ系)に出演。現在は特殊な音声製品やセンサーの開発・製造販売を手がける企業の社長を務めていると、近況を語った。

この日、人気コーナー「Happyミラクルチェンジ 輝くオンナの人生劇場」に出演した吉田さん。コーナー冒頭で「ミリオンヒットをかつて飛ばしたバンドのメンバーが起業。高齢者のための製品の開発をしている」と紹介され、「そのときのお金でここを?」と聞かれると、「いえいえ、うち(の事務所は)給料制だったので一律……」と、「それが大事」と起業は、お金の面では全く関係ないそうだ。

吉田さんはバンドの人気があった頃、ホールなどのライブを行う中で気になることがあったという。それは「いつも最前列に車椅子に乗った男性」がいたこと。その姿を見た吉田さんは、次第に「私も彼らのために何かできないかな」と、そして「音楽って、人の心に寄り添って、その方の勇気になることはできるんですけど、その人の病気を治したり、根本的に体を良くできるもの、そういうものを生み出したいと漠然と思った」という。

大事MANブラザーズバンドは1996年、6年間の活動にピリオドを打って解散。吉田さんは作曲家兼ボイストレーナーの道へ進んだが、ある日、友人の紹介で産婦人科の医師と知り合った。そして、医師から「胎児の心音を使って、産まれたばかりの赤ちゃんがよく眠れるような音楽を作って欲しい」との依頼を受け、胎児心音CDを制作したそうだ。

このときの経験が「25、6のときに思った“音で医療”のほうに行くってことに、少し近付いたなって感じた」という吉田さん。これをきっかけに「人の助けになるようなモノを作っていきたい」との夢がまた思い出され、膨らんだことで2006年にハッピーリスを起業。まず、お腹の赤ちゃんの心音が聴診器を通して携帯電話のボイスレコーダー機能で録音できる装置「ケアレコ」を発売した。

すると、「ケアレコ」は妊婦ではなく、意外にも病院に売れたという。不思議に思った吉田さんが問い合わせると、それは“飲み込み音”を録音できるため、嚥下の確認に役立つという、予想もしていなかった返答だった。

そして、ここでも医師から「飲み込み音の確認に特化した商品」の開発依頼があり、高齢化社会に必要と睨み挑戦。4年間、50ほどの試作品を経て、ついに「ごっくんチェッカー」が完成した。「ごっくんチェッカー」に手応えを感じた吉田さんは、介護施設などにも自ら営業。営業先では大事MANブラザーズバンドの話で盛り上がることもあるそうだ。

なお、番組ではヘアチェンジやプロのメイクなどにより大幅にイメージチェンジ。その姿を目の当たりにした母親は「私が産んだ子だと思えない」と感動、変身を見守った社員からは「これをずっと維持していただきたい」とのリクエストも飛んでいた。