厚労省の「柔軟な働き方に関する検討会」が昨年12月に提案した「自営型テレワーク」に関する新しいガイドライン案について、日本労働弁護団は1月17日、撤回を求める声明を発表した。

問題視しているのは、自営型テレワーカーが法律上の「労働者」ではないことが前提になっていること。労働弁護団は、労働実態に即して、個別事例を客観的に見る必要があると指摘。法的に保護されない就労者らが大幅に増える危険性があると訴えている。

厚労省によると、ガイドライン案は2018年3月までに通達し、施行される予定。

●政府はテレワーカーを増やしたい考え

政府は、働き方改革の一環で、副業と合わせ、子育てや介護と仕事の両立などを目的としてテレワーク(IT等を活用した遠隔地勤務)の推進を目指している。検討会は、これらの労働者が働きやすい環境をつくる目的で、課題の洗い出しなどを行なっていた。

今回のガイドライン案では、在宅に限らず、「自ら選択した場所」で働く人も広く「自営型テレワーク」と規定。クラウドソーシングなどを念頭に、仲介業者が介入する場合も対象にした。また、「募集内容の明示」や「契約条件の文書明示」などの契約条件も示している。

●契約形態を「業務委託」などとして、労働法規から逃れる事例が複数あるのに…

しかし、労働弁護団は「この程度のガイドラインでは到底…保護にならない」と批判する。

加えて、実社会では、実態は労働者でも、契約の形式や名称を「業務委託」などとすることで、企業が労働法規から逃れようとする事例が多く報告されている。

労働弁護団は、ガイドラインができることで、実態は労働者なのに、企業が自営型テレワークの枠組みで契約し、「使い捨て」にする可能性が高まると指摘している。

●現行ガイドライン、そもそも企業や在宅ワーカーの認知度が低すぎる

なお、現行の「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」については、認知度の低さも問題になっている。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの2014年度の調査によると、発注企業29社中、24社がガイドラインを知らないと回答。準拠している、参考にしていると回答したのは、それぞれ1社だけだった。

また、2012年度に在宅ワーカー1239人を対象に調べたところ、78.9%がガイドラインを知らないと回答。契約や仕事内容がガイドラインに沿っていると回答したのは、15.2%だけだった。

弁護士ドットコムニュース

労働法規が適用されない前提の自営型テレワークは「使い捨てを助長」、労働弁護団が国のガイドライン案を批判