又吉直樹の小説『火花』が舞台化され、3月30日から東京・新宿の紀伊國屋ホール、5月9日から大阪・松下IMPホールで上演される。

2015年に発表された又吉初の純文学作品『火花』。漫才の世界で結果を出せずにいる徳永と、天才肌の先輩芸人・神谷が出会い、壁にぶつかりながらも自分の道を歩もうとする様を描き、『第153芥川龍之介賞』を受賞した。単行本・文庫本の累計部数は300万部を超え、ドラマ化、映画化もされている。

舞台版のタイトルは『「火花」~Ghost of the Novelist~』。本人役で登場する女優の観月ありさが、『火花』の原作者である又吉に自分の愛と引き換えに『火花』を下さいと申し出て、原作小説の世界と観月によって語られる『火花』の物語の世界を交錯し、クライマックスを迎えるという内容になっている。

観月ありさに加えて、又吉直樹も本人役で出演。さらに物語に登場する芸人・徳永役を植田圭輔、神谷役を石田明(NON STYLE)を演じる。脚本・演出は『ダウンタウンのごっつええ感じ』『笑う犬の生活』など、多くのバラエティー番組の制作に携わる小松純也が担当。

「女優・観月ありさ」役を演じることについて観月は、「女優さんの役は前からやりたいと思っていたので嬉しいです。でも、観月ありさ本人のようであって本人では無い。女優さんの役という不思議なシチュエーションなので、面白く演じられるように頑張りたいと思います」とコメント。

又吉直樹は原作小説と舞台版の違いについて「映画やドラマ、マンガなど、いろいろな形にしていただきましたけど、今回の舞台がもしかしたら一番斬新で、『火花』に新しい光を当ててくれるんじゃないか。これから一緒に作っていくんですけど、より『火花』の内面に踏み込めるかも知れないですね。だから原作を読んだ方も、より楽しんでいただけるのではないかと思います」と語っている。チケットは2月10日から販売開始。

観月ありさのコメント
・小説『火花』を読んだ感想
又吉さんの実話なのかな?と思いました。
あまり売れていない時代の話などはした事がなかったので、いろいろな思いをしながら頑張ってこられたんだなと。
芸人を辞めてしまった方や頑張って続けている方、いろんな方の思いが又吉さんに火花を書かせたのかなぁと感慨深く読ませて頂きました。

・親交のある又吉直樹との共演について
普段もテレビで見ている様子と変わる事無く、落ち着いた様子で飄々とした方です。
でも、やはり作家さんならではの独特な物の見方や主観は面白いなぁと思いながら話させて貰ってます。
義理人情に厚く優しい又吉さん自身の良さが役者さんとしても活かされると思います。

・本人役を演じることについて
女優さんの役は前からやりたいと思っていたので嬉しいです。でも、観月ありさ本人のようであって本人では無い。
女優さんの役という不思議なシチュエーションなので、面白く演じられるように頑張りたいと思います。

・作品への意気込み
ドラマや映画版とは違った舞台ならではの面白さも伝えられるように頑張りたいと思います。

■植田圭輔のコメント
・舞台『火花』への出演について
最初に聞いたときは「嘘でしょ?」と思いました(笑)。
小説から始まりドラマ、映画とそれぞれたくさんの方々が愛情を込めて作りあげてきたこの物語を、今度は自分が舞台で表現できるなんて本当に幸せで、そして責任重大だと感じてます。

・お笑い芸人という職業についてどう思うか
どんな職業でもそうですが、芸人さんは特に「プロの厳しさ」を感じます。
力が無い人は残れない、必要とされない世界。その中で戦っている人は「尊敬」でしかありません。

・先輩役を演じる石田明との共演について
スタジオで写真撮影の際に初対面でご挨拶させて頂きました。
僕がずっと好きだったNON STYLEの石田さん」であり、僕が演じる徳永が心から憧れる「神谷さん」なんだな、と素直に感じました。
石田さんの「神谷」がどんな感じなんだろう、と楽しみで仕方ありません。

・作品への意気込み
スパークスの徳永”として、「火花」の世界の中を必死に生きたいと思います。
日頃から尊敬している「芸人さん」を演じること、これは本当に簡単なことではないと覚悟もしてます。
実際にお客さまが観ている目の前で漫才をするわけですし。
でも自分にしかできない「徳永」を妥協せず、もがきながら精一杯ぶち当たって行きたいと思います。

■石田明(NON STYLE)のコメント
・舞台『火花』への出演について
同期の又吉に迷惑かけないようがんばります。

・演じる神谷の印象
僕とは違う芸人像やからこそ稽古を通じて共通点を見つけたいです。

・芸人役を演じることについて
又吉が描きたかった奥深いところに手が届くようがんばります。

・共演の植田圭輔について
ビジュアル撮影の時、入れ替わりで一瞬だけ会いました。期待することは目の保養です。(普段、隣があいつなので)

■又吉直樹のコメント
・親交のある観月ありさとの共演について
嬉しいというか、光栄ですね。でも、怖さもあります。凄い人ですからね、観月さん。以前に番組で共演させてもらってから、とても仲良くしていただいています。出演するにあたって、楽しみとは言ってくれています。観月さんとはお酒の席で会うことが多いんですよ。なので、今回の話があって、久々に酔ってない観月さんに会いました(笑)。お互いにそうなんですけどね。

・「作家・又吉直樹」役で出演することについて
なるほどな、というか。自分が呼ばれた理由がわかりましたね。凄く面白い仕掛けだなと思いました。これを実現するならば、やっぱり僕が居たほうがいい。ややこしくなるやないですか、又吉役でまた別の役者さんが演じてると(笑)。自分が小説で書いたものを、別の形にしてくれる機会もなかなかないですし、その中で全然違うアプローチの仕方がまだ残っていて。そのアプローチを僕自身が観たい気持ちもあります。そのためには、自分が参加しないと、というところですね。

・小説版と舞台版の違いについて
映画やドラマ、マンガなど、いろいろな形にしていただきましたけど、今回の舞台がもしかしたら一番斬新で、『火花』に新しい光を当ててくれるんじゃないか。これから一緒に作っていくんですけど、より『火花』の内面に踏み込めるかも知れないですね。だから原作を読んだ方も、より楽しんでいただけるのではないかと思います。

・作品の見どころ
観月さんが出てくださるということももちろんですが、僕自身が作者役として出ることで、すでに場の空間が歪んでいると思うんですよ。原作にあるものをみんなが完全に演じるというワケじゃなく、プラスして書いた側の感覚が混ざってくる。でも僕も芸人なので、登場人物とも重なったりする。あと、石田(明)くんは、漫才でチャンピオンになったことのある男なんです。『火花』の中にはチャンピオンが出てこないので、途中の人間を石田くんが演じることも個人的には面白いなと思っていますね。石田くんにもチャンピオンになる前の人生があるので、そういうことを考えていくといろいろな楽しみ方ができるんじゃないかな。いろいろな見方ができる作品になると思います。

又吉直樹