青函トンネル区間用の電気機関車JR貨物EH800形が関西エリアに初出現。大勢がその到着を待ち受けた京都鉄道博物館で、期間限定展示されます。コンテナへの乗車体験なども行われます。

新幹線・在来線共用の青函トンネル区間のための機関車

京都鉄道博物館JR貨物は、同博物館でJR貨物EH800形交流電気機関車を展示することになり、2018年1月20日(土)にその搬入を行いました。

EH800形は、青函トンネルを含む海峡線貨物列車を牽引している電気機関車です。青函トンネルは、2016年3月に北海道新幹線が開業するまでは在来線で、開業後も線路幅1067mmの在来線1435mmの新幹線が両方とも走れるよう、レールが3本引かれています。一方、架線電圧や運転保安設備は新幹線用のものへと変更されたため、在来線の車両はそのままの設備では走行することができません。そのため、双方の設備を持つ機関車としてEH800形が製造されました。

この機関車の特徴は、短い車体をふたつつないでいるという点。それまで青函トンネルを走っていたEH500形や、中央本線などで活躍するEH200形も同様の2車体連結方式を採用しています。この方式は、1両あたりのパワーを大きくすることができるなどのメリットがあります。また、車体片側の裾が膨らんでいるのも独特。ここには青函トンネルを通過するために必要な無線設備のアンテナが収納されています。

珍しい機関車、大勢に見守られ京都鉄道博物館の館内へ コンテナも展示

その役割から、走行区間が青函トンネルを含む東青森~函館貨物ターミナル間に限定されているEH800形。これ以外の区間で見られることはほとんどありませんが、今回は京都鉄道博物館で展示されるのに伴い、関西方面へ初めて乗り入れました。ただし、EH800形は交流方式のため、直流区間である関西エリアでは自走できないことなどから、ほかの電気機関車に牽引されての回送となりました。

搬入作業は、1月20日(土)の開館中に行われました。関西エリアでは滅多にない、EH800形が見られる絶好のチャンスということで、朝から大勢の来館者が詰めかけました。

午前10時30分、EH800形はDE10ディーゼル機関車に押されて、外部と線路がつながった「車両工場ゾーン」にゆっくりと入場。同時に展示される、コキ107形コンテナ貨車の横に停車しました。公開が開始されると、あたりはたちまち人だかりが。多くの鉄道ファンが、正面からの姿や、列車が北海道から回送されたことを表す「車票」などを熱心に撮影していました。

EH800形とコキ107形の展示は、1月28日(日)まで実施。EH800形にはオリジナルヘッドマークが取り付けられているほか、コキ107形には、北海道エリアを中心に運用されているコンテナが搭載されています。また1月20日(土)と21日(日)の2日間は、コンテナ内部への乗車体験や、子ども制服(JR貨物)での記念撮影会、JR貨物グッズの販売(数量限定)なども開催されます。

中央が京都鉄道博物館手前の引込線で待機するEH800形電気機関車(2018年1月20日、伊原 薫撮影)。