秋から冬に花をつける「早咲きの桜」にも、いろいろな種類がある。一重咲きで優しいピンクに色づく「河津桜」もそのひとつだ。開花に合わせて開催される「河津桜まつり」には、毎年約80万人も来場するなど、年々その注目度は高くなっているという。「河津桜まつり」は、どのようなきっかけで始まったのか。河津桜の歴史も含めて、河津温泉郷(静岡県)にある河津町観光協会に話を伺った。

■偶然発見された「河津桜」の原木

そもそも、河津桜とはどんな桜で、どのような経緯でこの町に根付いたのだろう。

河津桜は早咲きオオシマザクラ系とヒカンザクラ系の自然交配種と推定されています。1955年昭和30年)頃、河津町田中の飯田勝美氏(故人)が、偶然発見した桜の原木を植えたのがはじまりです。1966年昭和41年)から開花が見られるようになり、淡紅色の花が1月下旬頃から約1カ月に渡って咲き続けました。その後、伊東市に住む勝又光也氏が、この桜を増殖し普及していったのです」(河津町観光協会)

偶然発見された1本の桜は、その後、町の名物となり、多くの観光客を呼び寄せるようになったのだ。

「この特徴ある早咲きサクラについて、県有用植物園(現農業試験場南伊豆分場)、賀茂農業改良普及所、下田林業事務所(現伊豆農林事務所)や河津町などが共に調査をしたところ、河津町に原木があることがわかりました。そして1974年昭和49年)に『カワヅザクラ(河津桜)』と命名され、1975年昭和50年)には河津町の木に指定されました。同じ年に、『河津桜を多くの人に見てもらおう』と観光協会が中心となって、河津川河口付近や伊豆急行河津駅付近に約200本の植裁を行ったのです」(河津町観光協会)

その桜が成長し、満開の桜を咲かせるようになった1990平成2年)に、『第1回河津桜まつり』が開催されたという。

■河津町内を薄紅色に彩る桜の宴

偶然の発見によって町のシンボルとなった「河津桜」だが、町をあげて祭りの開催に努力したことが、今日の隆盛につながっているという。

「『河津桜まつり』は、1990年のスタート以来、県の内外から多くの観光客を集める一大イベントになりました。今では、河津川沿いに咲く約850本、町内でも約8,000本を数える桜が楽しめます。期間中は『桜並木・名木のライトアップ』をはじめ、『B級ご当地グルメ』『ナイトウォーク』『お花見特設ステージのパフォーマンス』『伊豆の踊り子との記念撮影』『伊豆の踊り子体験』など、いろいろなイベントを開催し、より一層の盛り上がりをみせます」(河津町観光協会)

まつりの主役となる河津桜は、毎年2月上旬から開花し始め、3月上旬頃まで見ることができる。さまざまなイベントも開催される「河津桜まつり」は、見て、体験して、味わって楽しめる晩冬の風物詩といえそうだ。

■今年の見ごろは2月下旬

間もなく始まる「河津桜まつり」だが、おすすめのスポットやお土産はないか聞いてみた。

「今年の見ごろは2月下旬になりそうです。人気の撮影スポットは豊泉の橋から上流になります。また、桜祭り期間中は夜桜ガイドのときに、『かわづふるさと案内人』が紙芝居で、『河津桜の由来』についてご説明しています。よろしければご覧になってください。お土産としては、『河津桜羊かん』『地場産品の野菜や果物』『河津桜の酒』『わさび肉まん』『あんバタわさこ』がおすすめです。また、町営の日帰り温泉『踊り子温泉会館』は、露天風呂から近くの川沿いの桜並木を眺められると評判ですよ」(河津町観光協会)


晴天の桜、夜桜を満喫し、露店やお土産で舌つづみを打ち、イベントを楽しむ。「河津桜まつり」で、一足早い春を楽しんでみてはいかがだろう。河津桜まつりの詳細や、河津町観光の情報は、下のサイトを参考にしてほしい。

河津桜まつり
河津温泉郷 宿泊予約サイト

また、「教えて!goo」では「春と聞いて思い浮かべるものは?」という質問によせられた回答を公開中。皆さんは春と聞いて何を思い出すだろうか……?

●専門家プロフィール:河津町観光協会
伊豆の踊子河津桜の里、河津町の魅力を発信している。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

「河津桜まつり」ってどんなお祭り?