子どもYouTubeを見すぎている」というブログ投稿が、1月下旬、大きな話題を呼んでいた。5歳が見る動画が、大人が見ると「大抵虚無すごい」ものばかりで、

暗に付けられた効果音はひたすらうるさく」
「視覚的に美しくなく、聴覚的にも聴きやすさがなく、内容も面くない」

という。ブログの筆者はこうした動画を「虚無動画」と呼んでいた。

記事は大きな反があり、ネットでは「うちもずっと見てる」「わかるー音だけでもだめ」などの意見が相次いだ。虚無動画の例に挙げられていたものを見ると、動画ストーリー性がいことが前提で、その上で「アンパンマン」や「ドラえもん」など子ども人気キャラクターが出てくるものと、おもちゃの開封・実演動画の2種類に分かれるようだ。

動画日本語だけでなく、英語タイトルのものもある。英語が読めなくても、自動再生機や関連動画などでたどり着くのだろう。どれも数100万回、物によっては数千万回といった膨大な再生回数を記録していて、その人気ぶりがうかがえる。

実際に動画を見た母親「得体のしれないものに遭遇した怖さ感じた」


CollapsingCoolingTowerというタイトルの動画の一部。640万回以上再生されています

例えば、「【踏切で】ABCs Song【by Railroad crossing】」という動画2012年開され、今では2400万回以上再生されている。1分ほどのアニメーション動画で、踏切の向こうの線路を、ABCの歌に合わせてアルファベットが通過していく。

このほか、猛スピードがいろんなものにぶつかるアニメーション動画や、複数のメーカー携帯電話バッテリーが切れる前の表示だけを集めた動画など「虚無動画」には様々なバリエーションがある。

2歳4か女の子を持つ父親(33)は、こうした動画を見ている間の子どもの様子を「いくつかの動画はすぐに興味を失って『他のが見たい』と言っていたが、アンパンマン動画は楽しそうというより集中していた。が衝突する動画も、続きが気になってを離せないという印」だったと話す。

同じ年齢の男の子を持つ母親(26)は、

子供達は結構賑やかなタイプだけれど、動画は静かに食い入るように見ていて、どの動画も『もういっかい!』と繰り返そうとしていました。自分が見たことのあるものには『アンパンマン!』『電車!』とを上げていたけれど、それ以外は本当に静かでした」

る。普段の動画視聴は、たまにNHKEテレを見るくらいで、「1歳2かと一緒に体を動かしたり歌ったり、笑ったり驚いたりしながら見ている」が、虚無動画を視聴中は大人しかったといい、「何か感じるものがあったのかな?」と不思議がっていた。

ただ、自身が動画を見た感想としては「ちょっと恐怖感があった。得体のしれないものに遭遇した怖さ。音楽映像がなんとなく怖いなと思いながら見ていました」と、気味悪がっていた。やはり子どもには人気でも、大人にとって面さは感じられないようだ。

コントラストの強い色の繰り返しは「ポリゴンショックのように発作を誘発する可能性」

こうした「虚無動画」に子どもが夢中になる様子を見て、発育に悪影がないか心配する保護者も多いが、教育評論家石川幸夫さんは「特に問題ないと思います。子供が好みそうな内容です」と、分析する。

子どもは単純な繰り返し言葉をすごく好みますから、ストーリー性がなく淡々と繰り返されるものに3歳くらいまでの子どもたちが夢中になるのは頷けます。NHK教育テレビプロが作っていますが、言ってしまえば、こうした虚無動画はそれらの二番煎じです。大人が見て楽しいものではないでしょうね」

最近話題のエルサゲートのように暴力的な描写や性的な描写もないため、「ざっと見た限り、教育的な観点では問題なさそう」とコメント。一方で「ただ、見せ続けることで何が起こるのかは分かりません。あまりに熱中している姿に疑問を感じたなら、親御さんがどこかで一区切りつけさせることも大事です」とも話していた。

横浜市青葉台にあるスマイル眼科クリニック院長の岡野医師は、医師の立場から以下のようにる。

「淡い色使いであれば問題ありませんが、コントラストの強い色がぴかぴるような、強い反復がある映像は見せないほうがいいでしょう。かつてのポケモンショックポリゴンショック)のように発作を誘発する可性があります。子どもビビッドな色を好むので、だからこそ注意が必要です」

そこまで心配はいらないが視聴時間は「1日1時間」が適切

の発育の観点からも次のように懸念を示す。

「立体的に物を見るは使っていないので、立体視を獲得するのには不利です。5メートル以内の動かない物を見るときはピントが変わらないので、画面でも絵本でも同じことですが、そういったものばかり見ていると間での距離がつかみにくくなり、後々、跳びドッジボールが苦手になる可性はあります」

画面から出るブルーライトの影は「睡眠リズムが崩れないようにすれば十分」で、近視への影は「子どもは体も筋肉も柔らかいので、適切な明るさの部屋で適切な姿勢で見れば、そこまで心配いらない」そうだ。動画の視聴時間は「1日1時間以内」が適切だという。

エルサゲートのような分かりやすい過さがないからこそ、見せていいのか判断が難しいところだが、親がある程度スクリーニングし、視聴環境や時間を管理した上で見せる分には、深刻な影はなさそうだ。