国内の漫画家で構成される日本漫画家協会は13日、海賊版サイトの利用者が広がっているとして、これらのサイトを利用しないよう呼びかける声明を発表した。


日本漫画家協会は、漫画などの作り手側からのメッセージとして「海賊版サイトについての見解」を発表。漫画に限らず創作する人間は、「きちんとみなさんの心に届き、感動として実を結んだときに、私たち作り手は充実感とか達成感を感じ、また次の創作に向けて頑張ることができる」と説明。そのためには、「作り手と、作品を利用するみなさんが、きちんとした『輪』のなかでつながっていること」が大事だとした。


しかし、最近は作り手がその「輪」の外に追いやられてしまうことが増え、代わりに「全く創作の努力に加わっていない海賊版サイトなどが、利益をむさぼっている」と指摘。漫画家は「輪」の外では作品を作り続けられないとして、「観たり、読んだりするときに、その『輪』のなかに、創作した人たちがちゃんと一緒に入っているだろうか? と、ちょっと考えてみてくれませんか?」と、海賊版サイトを利用しないよう呼びかけた。


声明の最後には、「このままの状態が続けば、日本のいろいろな文化が体力を削られてしまい、ついには滅びてしまうことでしょう」との懸念を綴っている。


<声明全文>
パソコンや携帯電話など、デジタル技術が発達して、マンガの読まれ方はずいぶん変わりました。
そして以前よりもずっと気軽に、容易く作品を手にしてもらえるようになっています。
本当にすばらしいことだと思います。
私たちマンガ家に限らず、ものを創作する人間は、作品を読んだり、観たり、聴いたりしてくれる人たちに、まずは楽しんでもらいたい、と考えています。
そして、一生懸命作り上げた作品がきちんとみなさんの心に届き、感動として実を結んだときに、私たち作り手は充実感とか達成感を感じ、また次の創作に向けて頑張ることができるのです。


でもそれには、作り手と、作品を利用するみなさんが、きちんとした「輪」のなかでつながっていることが大事です。
残念ながら最近、私たち作り手がその「輪」の外に追いやられてしまうことが増えています。
その代わりに、全く創作の努力に加わっていない海賊版サイトなどが、利益をむさぼっている現実があります。


世の中には、マンガ以外にもたくさんの作品があふれています。
それらを観たり、読んだりするときに、その「輪」のなかに、創作した人たちがちゃんと一緒に入っているだろうか? と、ちょっと考えてみてくれませんか?
私たち作り手は、どんなに頑張っても、その「輪」の外側では作品を作り続けられないのです。


このままの状態が続けば、日本のいろいろな文化が体力を削られてしまい、ついには滅びてしまうことでしょう。
そのことをとても心配しているのです。


平成30年2月13日
公益社団法人日本漫画家協会