人々に点字(点訳)を導する、点字導士の仕事。「【シゴトを知ろう】点字導士 編」では、館佳子さんに仕事の内容や、学生時代のエピソードについて伺いました。 今回は職業休日でもついやってしまうことや、これまでの仕事の中で、特に思い出に残っている出来事について教えていただきます。

暗闇の中で読書ができる!? 休日でも欠かさない点字の読み書き

――それぞれの生徒さんに合わせた導をするために、気を付けていることや工夫していることがあれば教えてください。

の低下や、視野が欠けたり狭まったりすることにより見えにくさがある方に教える場合など、それぞれの状況に合った読みやすいフォントや字体があるので、できるだけ添えるようにしています。

で読む点字の場合は、マンツーマンで教えるのが理想です。そのためつい熱心に導しがちですが、やりすぎると息が詰まる感じも否めませんので、雑談する時間も大切にしています。また、少しでも取り組みやすくするために、まずはその人が興味を持てそうなことや使う頻度が高い言葉は何か相談しながら、教材作りをするように工夫しています。


――この仕事ならではの「休日あるある」や、ついプライベートでもやってしまうことがあれば教えてください。

基本的に、休日でも点字から離れることはありません。ランチでもお酒を飲む場でも、最後には点字の話に熱中してしまいますね(笑)。よほどのことがない限り、1日1回は点字を読み書きしています。最近は介護のためめに消する必要があり、読書の時間も短くなっていたのですが、「で点字を読むよいチャンス」と前向きにとらえています。少しずつ暗闇の中でも読書ができるようになり、で読む文字世界に思いを巡らせています。

また、テレビ番組を見ていても、時代劇セリフや若いアーティスト名、流行などの点訳に役立ちそうな内容があると、番組の内容に関わらず興味が湧いてしまいます。

日本点字図書館で学ぶ知識が、指導の場でも生きてくる

――日本点字図書館でも働いてらっしゃるとのことですが、そこでの仕事導することに影したり、つながったりすることはありますか?

日本点字図書館では、点字についていろいろなことを学ぶ機会があります。それらの知識を講習会で生かすことがある一方で、少し難しすぎる話をしてしまうことも。また、自身の疑問点や講習の中で受けた質問には、日本点字図書館から回答をいただくこともあります。点字図書館ボランティアセンターを通して講師依頼をいただく機会も多いので、さまざまな面でつながっていると感じますね。

また、導しているある定時制高校では、生徒さんが育て上げたおに点字を添え、日本点字図書館で点字を学ばれている「しおさい」というグループの皆さんへ贈呈しています。10余年ほど続いている、うれしい交流です。

視覚障がい者と受講生の出会いの場を提供する喜び

――最後に、仕事の中で一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。

私が点字を学んだ中で、大変感動した経験があります。それは講習の中で私が書いた点字を、その場で視覚障がいを持つ先生先で読んでくださったことです。「あ、今私の点字を読んでもらっている」と実感した間でした。このときの感動がきっかけで、私の講習会ではできるだけ視覚障がいの方に来ていただき、点字の読み書きの実技やお話などをしていただいています。受講される方は皆かせ、ときには潤ませて、お話を聞いています。視覚障がい者ご自身のお話は、私には伝えられない部分。こうして人と人をおつなぎできた達成感に「これからもこの仕事を続けていこう」という気持ちが湧き上がります。

また、もう一つ印に残っているのが、ボランティアセンターで勤めていたときのことです。ある日「小学生が点字を習いたいと言っている」と電話で相談を受け、私が教師をすることになりました。絵本や歌詞の点訳依頼に点字タイプライター責任を持って応えてくれた彼女も、もう社会人になります。お子さんの気持ちを尊重し、教師をさせてくださったご両親にも、感性豊かに点字と向き合ってくれた彼女にも感謝の気持ちでいっぱいです。彼女が今でも点字を大切に思ってくれていることが、私の誇りでもあります。


点字を学ぶ方には、が見えない方、見えにくさがある方、点訳者になりたい方など、さまざまなの状態、年齢や動機の方がいらっしゃいます。それぞれの事情に合わせ、工夫して導している館さんのお話から、普段から受講者の方とコミュニケーションをとっている姿が浮かんできましたね。

皆さんも中を歩く際は、どのような場所に点字が使われているのかぜひ注してみてください。


profile特定非営利活動法人 日本点字技師協会会員、社会法人 日本点字図書館 点訳奉仕員 館佳子
【取材協社会法人 日本盲人社会施設協議会
公式HPhttp://www.ncawb.org/