2018年2月12日に掲載したIeFSへのインタビューに引き続き,英国eSports団体,eGAMESキーマンに話を聞いた合同インタビューをお届けする。
 eGAMESとは,2016年に発足した英国e-Sports団体で,リオデジャネイロオリンピックと同時期に行われた「Riode Janeiro eGames Showcase 2016」など,さまざまなe-Sportsイベント導している。先に掲載したIeSF同様,今回の「闘会議2018」ゲストとして招待され,そのインタビューには多くのメディアが駆けつけた。

 答えてくれたのは,eGAMESのChief Executive OfficerであるChester Kingチェスター・キング)氏と,Senior Vice PresidentJames Sherston-bakerジェームズ・シャーストンイカー)氏だ。英国日本,同じである両e-Sports事情にはどんな相違点,あるいは共通点があるのだろうか。

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リンクeGAMES 公式サイト(英語)

――まず,自己紹介と合わせて,これまでのご経歴をお聞かせください。

Chester King氏(以下,King氏):
 eGAMESでChief Executive OfficerをしているChester Kingと申します。また同時にBritish eSports AssociationのCEOでもあります。e-Sportsに関わるまでは従来のスポーツ世界仕事をしていまして,著名なサッカースタジアムであるWembley Stadiumの運営に10年ほど携わっていました。そのほかゴルフテニスの分野にも関わっていたこともあります。

James Sherston-baker氏(以下,Sherston-baker氏):
 eGAMESのSenior Vice PresidentJames Sherston-bakerです。私もe-Sportsの前は,従来のスポーツジャンルで15年ほどマーケティングを担当していました。

――英国,またヨーロッパ圏でのe-Sportsの現状について教えてください。

King氏:
 英国において,ビデオゲームスポーツではなく,ただゲームだと捉えられています。チェスブリッジの競技と同じゲームであると。一方ポーランドでは,チェスブリッジスポーツだと考えられていて,ビデオゲームもそれにならってスポーツだと捉えられています。同じEU圏であっても,こうした違いがあります。
 ただ,英国においてゲームは精に良い影を与えるものという認識があるので,その点は々にとって追いだと感じています。

――スポーツとして考えられていないのは,オリンピック競技をすにあたっては逆なのでは?

Sherston-baker氏:
 そういう面は確かにあります。ただゲームとして捉えるにせよ,スポーツとして捉えるにせよ,e-Sportsには商業性がついて回るという大きな課題があります。まずはそこを解決するのが先決だと考えます。

King氏:
 そもそもe-Sportsとはなんなのか,そしてどのゲームを選べばいいのかというのが直近の課題だと思います。例えば「League of Legends」(以下,LoL)であれば,ある程度どこのでも人気があるかもしれませんが,それ以外はによって,てんでバラバラなのですから。

――e-Sportサッカープレミアリーグや,バスケットボールNBAといたメジャースポーツに並ぶには,どうするべきだとお考えですか。

Sherston-baker氏:
 一番大きいのは,メインストリーム――つまり「実際にそのゲームプレイしている人」以外に訴できるコンテンツたり得ているか,ではないでしょうか。現在e-Sports視聴者は,そのゲームプレイヤーを中心とした垂直分布になっていて,メインストリームを掴んでいるとは言い難い部分があります。そういうサブカルチャー的な盛り上がりがないと,規模を大きくしていくのは難しいでしょう。

King氏:
 私としてはe-Sportsには教育的な側面があると考えていて,政府にもそうした面をアピールしています。例えば,チェスを遊んでいて怒る母親はあまりいませんよね。それと同じでe-Sportsチェスの立ち位置に近づけていけば,そこに突破口が開けるのではないかと。ただ,これはによって事情が異なるので,あくまで英国に限った話ではあります。
 また一方で,e-Sports業界にはある種のスターが必要です。英国では,をあるけば皆振り返るようなe-Sportsスターが存在していません。

――サッカーにおけるクリスティアーノ・ロナウド選手のような?

King氏:
  そのとおり。あるいはFaker選手のようなヒーローがもっと必要だと感じます。個人の選手のみならず,英国内には著名なチームも少ないので,もっと増やしていく必要があります。

――e-Sportsには教育的な側面があるとのお話ですが,Call of Dutyシリーズなどの銃撃戦メインゲームであっても,教育的と言えるでしょうか。

King氏:
 そのためにレーティング制度があるわけです。子供にわざわざホラームービーを見せる親がいないように,々もレーティングに沿った正しいゲームを遊ばせる活動を手がけています。

――オリンピックに選ばれることをすなら,そうした題材のゲームは難しいのでは?

King氏:
 IOCのThomas Bachトーマスバッハ)氏が,メディアの取材に対し「銃撃戦をするようなタイトルを選ぶことはない」と回答している※ので,現時点ではこの見解が流と言っていいでしょう。
 私自身,現時点でe-Sportsされるタイトル35タイトル確認してみましたが,その中にオリンピック競技としての要件を満たしていると断言できるものは,一つとしてありませんでした。可性があるとすれば,「STEEP」(PC / PS4 / Xbox One)のようなオリンピック用として振り切ったタイトルかもしれません。それがいいとか悪いとかではなく,単に方向性が異なるものだからです。

※正確には,「々は非差別的で非暴力であり,人々の間に平和をもたらしたいという理念を持っています。この理念は,暴力爆発,そして殺であふれるゲームにはそぐわないため,明確な線引きが必要です」(関連記事)。

――オリンピックに関連して,ドーピング問題についてはどうお考えですか。平昌オリンピックでは,このドーピング問題でロシア選手団が参加できないといったことが話題になりました。

Sherston-baker氏:
 英国ではESIC(Esports Integrity Coalition)という団体が,2年前からこうした検を行っています。またドーピングだけでなく,八百長の監視なども行っているんです。とくにアンダーグラウンドで行われる賭博絡みの八百長が問題視されています。

――際的なe-Sports組織について,現在IeSFをはじめ,いくつかの団体が乱立している状況ですが,将来的には一つになるべきだとお考えですか。

King氏:
 IeFSは,ヨーロッパでは認知度が低いですね。ただ,オリンピックなどに絡んでIOCに働きかけるような場合には,代表して現状を伝える団体が必要になると思います。しかし,今現在それに適した団体は存在しないと思います。

――eGAMESがその役割を担うことはありえませんか?

Sherston-baker氏:
 ありえません。々のミッションは,エンターテイメントとしてのe-Sportsを広め,より良いゲームイベントを開くことにあります。なので,そういった業界団体を取りまとめるようなことは考えていません。そもそもコミュニティゲームタイトルごとにばらばらですので,それを全部まとめるというのは相当困難な仕事だと思います。

King氏:
 例えば2022年アジア競技大会で,どのタイトルにどういった選手を送り出すかといったことは,各e-Sports団体――日本ならJeSU,シンガポールならSCOGA(Singapore's Cybersports & Online Gaming Association)――が決めることです。々eGamersはただ大会を運営する団体ですので,そうした団体とはまったく別のものです。

――英国ヨーロッパ圏では,どんなe-Sportsタイトル人気があるのでしょうか。また,e-Sportsはどんな人達に親しまれているのでしょうか。

King氏:
 e-Sportsファン層ということであれば,99男性です(笑)。British eSports Associationとしてもこれは問題だと考えていて,協会が手がけるスクールリーグでは,男女共同でチームを組むなど,できるだけ女性に遊んでもらえるように務めています。
 英国人気タイトルであれば,LoL「Counter-Strike: Global Offensive」(以下,CS:GO),EUまで広げると格闘ゲーム人気があります。最近は「Overwatch」(PC / PS4 / Xbox One)もプレイ人口を増やしていますし,若い層の間では「ロケットリーグ」(PC / PS4 / Xbox One / Switch)がはやっているようです。CoDシリーズも遊ばれていますが,英国ではコンソール版をプレイする人が多くて,私はちょっと問題だと感じています。

――それはなぜ問題なのでしょうか。

King氏:
 際的な大会で用いられるのはPC版であるため,競争が落ちてしまうからです。もちろん強制するようなことでもありませんが,できれば皆PC版を遊んでほしいな……と(笑)

Sherston-baker氏:
 先ほどの話にもつながりますが,によって人気が異なるのはゲームタイトルだけでなく,プラットフォームも分断化しているのが難しいですね。それらを統一して世界大会を行うのは,かなり厄介です。

――コミュニティが現状に満足して楽しんでいるのであれば,それで問題ないのでは?

Sherston-baker氏:
 それはに問いかけるのかによって,答えが異なります。もちろんプレイヤー達は楽しくゲームできればそれでいいのだから,分断化で困ることはあまりないでしょう。ですがe-Sportsの認知を広げたい,メインストリームを取り込みたいと考える人にとっては困ったことと言えます。あるいは若年層を取り込みたいスポーツ関係者にとっても。

King氏:
 一方で,民的なヒーローの誕生を願う人もいるでしょう。ですが,究極的には「文化が違うからそれでいいじゃないか」というところに落ち着かざるを得ないでしょう。例えばOverwatchPC版を6vs.6で遊ぶことと,コンソール版を3vs.3で遊ぶことは,もはや同じ競技とは言えないですし,分断化は避けられないことなのですから。

――今回の闘会議では,日本e-Sports組織であるJeSUが本格始動するということで話題を呼んでいます。印はいかがでしょうか。

King氏:
 英国べた場合,JeSUにはパブリッシャ側の人員が参加しているのが面いと思います。々はプレイヤーの側を重視していることもあって,そういう形にはなっていないので。パブリッシャとプレイヤーの双方に向き合いながら,プロライセンスといった取り組みもしている。これは他に先駆けた取り組みになるのではと期待しています。ある種のベンチマークになってくれるのではないかと。

――日本では法的な制限が大きく,高額賞の大会を開催しにくい現状にあります。日本プロプレイヤーが少ないのは,このためだとも考えられていますが,英国ではいかがでしょうか。

King氏:
 英国プロプレイヤーの数で見ると,EU圏で最も少ないといっていい状況です。プレイヤー人口なら300万人ほどいるのですが,プロとなると50人以下でしょう。賞額も,これまでで最大のもので,CS:GOの大会における賞65ポンド(約9700万円)をチームで山分けというものでした。ただ,英国プロプレイヤーの人数ではあまり多くありませんが,実況Shoutcaster)などの人材は豊富で,e-Sports番組の制作は非常に高いと思います。

――その状況を変えるためには,どのような取り組みが必要だとお考えですか。

King氏:
 例えば,今後フォードHSBCといったナショナルクライアントスポンサードしてくれるようになれば状況は変わると思いますが,そのためにはe-Sportsがもっと露出効果を獲得する必要があります。いわば“が先かが先か”といったジレンマです。そういった面では,日本英国は似た状況と言えるかもしれません。
 ただ英国の場合は,幸いなことに政府が手厚くサポートしてくれるので,そこは恵まれていると思います。

――e-Sports番組の制作というお話がありましたが,eGAMESではどのような点にを入れて番組,あるいはイベント制作しているのでしょうか。

Sherston-baker氏:
 eGAMESでは,設立当初からテレビ制作会社と共同で,メインストリーム層に届くプログラム作りをしています。例えばアメフトスーパーウルでは,ハーフタイムショウがヘタすると試合そのものよりも盛り上がりますよね。そうした試みは,一般のスポーツと同じで訴求力があると思います。もちろん必須の要素とは言えませんが,ある種の必然なのかなと。
 またゲームタイトルについても,メインストリーム層に訴しやすいものと,そうでないものがあります。CoD暴力性の問題でゴールデンタイムに流すことは難しいですし,LoLプレイしていない人には伝わりづらいタイトルだと思います。

――では,メインストリーム層向けにはどんなタイトルが向いているのでしょう。

Sherston-baker氏:
 々の考えでは,サッカーゲームレースゲームといった,もがルールを知っているスポーツゲームが適していると考えています。かつ,それを実際のプロスポーツの試合中継と合わせて流すんです。そうすれば,あまりコアではない層にも届けられます。

――英国には現在,どんなe-Sportの番組があるでしょうか。

Sherston-baker氏:
 今現在,定期的に放映されている番組はありません。2018年末には立ち上げたいと思っています。

King氏:
 地上波ではありませんが,ケーブルテレビではe-Sportsの専門チャンネルがあります。LoLをずっと流しているような。

――ハーフタイムコンテンツとして,パフォーマンス音楽などとコラボする場合,どんなジャンルと相性が良いのでしょうか。

King氏:
 それはゲームによると思いますよ(笑)英国にはInsomniaという,7万人程度を動員するイベントがありますが,それはe-Sportsライブというような形式をとっています。それを見る限りは……ポップスが多かったですね。

Sherston-baker氏:
 ヒップポップがいいと思うね(笑)仕事アメリカによく行きますが,そこではゲームヒップホップの文化的な混交がものすごく進んでいると感じたので。

――本日はありがとうございました


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