20年前のユベントスインテル戦で疑惑判定の“被害者”となったユリアーノが当時を回想

 イタリアで20年前に起こった“疑惑の判定”を、地元紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」紙が改めて特集している。今季からイタリアリーグ戦でビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が導入されているが、ユベントスなどでプレーした元イタリア代表DFマルクユリアーノ氏が、「もし当時にVARがあったら……」と当時を回想した。

 1997-98シーズンのセリエAは、シーズン終盤にユベントスインテルが激しい優勝争いを繰り広げていた。その直接対決となった4月26日、PKを巡る判定が今でも語り継がれている。

 当時インテルのエースFWだった元ブラジル代表ロナウドが、左45度の位置からペナルティーエリア内にドリブルでカットインした際、遅れて入ったユリアーノが思い切り体を抑え込んでしまった。“正面衝突状態”でロナウドは背中から倒れ込んだが、PKの笛は鳴らず。さらに、ユベントスがカウンターを仕掛け、元イタリア代表FWアレッサンドロ・デル・ピエロが倒されてPKが与えられた。これには当然インテルが猛抗議した。

 結局、デル・ピエロはPKを失敗したが、前半に決めていたデル・ピエロのゴールが決勝点となってユベントスが1-0で勝利した。今でもインテルのサポーターからは、「スクデット(リーグ優勝)が盗まれた瞬間」と呼ばれ、この判定も“疑惑”として語り継がれている。

「VARは結局のところ人間が判断する」

 そして、ユリアーノ氏を直撃した同紙は、「もし、当時にVARがあったら、あのプレーはどう判定されたと思うか」と投げかけた。

「どうなるかは分からないが、非常に疑わしいプレーだったと言うことができる。忘れてほしくないのは、あの映像を今日になって見たとしても、VARは結局のところ人間が判断するものなんだ。結局、メディアで大きく議論され、リーグ機構が制度を批判される。その構造は変わらないね」

 ユリアーノ氏はこう話し、映像があっても結局は最終判断を人間が下す以上は議論が起こるものだという見解を示した。過去に、同様の取材を受けた際に同氏は「僕は他に悪くないプレーもキャリアでしてきたはずなのに、このワンプレーのことしか聞かれないね」と告白。ある意味では、映像が残ることで20年間に渡って“悪役”になっているとも言える。

 それでも、記事によれば最後に「こうやって、僕は歴史に名前を残したわけだ」と笑ったという。一つの判定が20年に渡って議論されるというのは、それだけリーグ優勝の価値が高く、その直接対決が重要なものだったということを示しているのだろう。

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

「もし当時にVARがあったら……」 イタリア伝説の“疑惑の判定”、当事者の回答は?