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今日も明日も明後日も。介護施設で働くかたわら、日刊Sumaiに記事を投稿している筆者・とんちんです。

今回は、介護施設で暮らす高齢者の皆さんの「高齢者あるある」をご紹介したいと思います。

これら、決してお年寄りをバカにしたりするものではありません。

遠い、あるいは近い将来、介護が必要になるかもしれない読者の皆さまの参考になれば幸いなのであります

 

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なぜか施設で遭遇率が高い、ちょっと困った「あるある」5選

●1.股引(ももひき)


若い人の間で、スキニージーンズとか、シルエットが細いパンツが流行って久しいですね。

おじいちゃんおばあちゃんは、太ももから下がピチピチ・ぱつんぱつんのスキニーな下着を、もう何十年も前からはいているようです。

それが「股引」。

肌着のズボン下ですが、裾(足首のところ)がきゅっと締まっています。

いまいちイメージできない方は、ヒートテック下着を想像してください。

ただし、股引に使われているのは、ハイテクではない素材・綿100%だったりします。

実はこれ、介護職員にとってはちょっと困りモノなのです。

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足首がキツキツなため、お風呂やトイレ介助の時に脱がしにくい!

ほぼ100%の確率でかかとに引っかかってしまい、脱がすのに時間がかかってしまいます。

無理に脱がそうとすると「いでぇ! なにすんだ!!」と怒られちゃう。

こちらとしては、トイレに間に合わず、股引の中に便失禁してしまった方の二次被害をくい止めるべく焦っていたりするわけです。

二次被害とは、便を触ってしまったり床にデロッとこぼれ落ちてしまうことですね。

介護施設に入居する予定の方には、裾のゆるっとしたものをおススメしたいです。

ストレッチ素材でできた股引があるそうなので、せめてそちらをはいていただければ……。

 

●2.服の防虫剤

昔ながらの樟脳(しょうのう)という服の虫除け剤を衣類ケースに入れている方が多いのです。

懐かしい匂いと感じるのか、それとも加齢で嗅覚が衰えているのか?

ご存知の方は多いかと思います、樟脳の匂い。

ツーンとした刺激臭に、鼻腔をガツンとやられてしまいます。

掃除などでお部屋に入る場合、虫じゃないけど、意識が遠のきそうに……。

今はCMでも無臭の防虫剤を宣伝していますので、施設入居の高齢者のご家族は、ぜひそれを買ってきてください。お願いします!

 

●3.かたい素材の服

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高齢者の方々は、普段着も年代物のシャツだったりブラウスだったりと、何十年も前の服を大事に着ているようなのです。

なので、長い年月を経てもヘタレない丈夫な生地の服が多いみたい。

こちらも、なぜかストレッチ素材ではなく、引っ張ってもぜんぜん伸びない。

介護職員は、寝る時や起きる時に就寝介助、起床介助といった仕事を遂行しなければなりません(介護度によります)。

そこで、脱衣のお手伝いをするわけですが、服の袖が肘に引っかかって、ぜんぜん脱げません。

無理に脱がそうとすると、後手に関節固めをキメてしまい、これまた「いででっ! なにすんだ!!」と怒られてしまいます。

繰り返しますが、伸縮性に富んだゆるめの服をおススメしたいです。心から。

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あと、ポケットにちり紙を忍ばせておくのはやめて……(なぜか、ちり紙収集家が多いのです)。

洗濯物が、細かい紙クズまみれになるんですよ。

 

●4.大音量のテレビ

加齢のせいで耳が遠くなってきたからというのが一番の理由と思いますけど、テレビの音量が半端ない。

日中はまだしも、夜中に目が覚めてしまい、暇つぶしか時間の確認かで、テレビの電源をオンにしてしまう方がいます(そして、つけたまま再度寝てしまう)。

夜勤で仄暗い施設内を巡視している介護職員は、大音量に飛び上がってしまうことになります。

テレビの騒音に苦情が出ないのは、まわりの方がみんな耳が遠いから。

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自宅でおじいちゃんおばあちゃんと暮らしている方は、いかにうるさいかわかると思います。

そして、毎回注意することでしょう。

でも、一人暮らしが長い高齢の方は、どれだけ音量が大きいのかわからなくなっているんですね。

耳元でテレビの音声を聞くことができる、ワイヤレスの「耳元スピーカー」を持参されている方は、自宅にいる時、家族に何回も注意されたり、そのためスピーカーを買ってもらったりしたそう。

たまに「スピーカーが鳴らなくなってしまったんです。どうしよう……」と相談を受けることがあります。

はい、それは電池切れですね。

 

●5.家族の差し入れ

入居中の高齢者の家族が面会に来られる際、おせんべい和菓子、プリン、チョコレート、クッキーなどのお菓子類を差し入れするようです。

居室に花を飾るよりは、食べ物の方がありがたいでしょう。

花より団子、です。

しかしこれ、結果的にその方の健康を損ね、寿命を縮めてしまう原因になるやもしれません。

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夜中に、ベッドで横になりながらクッキーを食べていたりしますから、誤嚥(ごえん=食べカスが気管支に入ってしまう)の可能性があって、危険です。

そして、四六時中お腹が満たされているためか、施設の食事を残してしまうのです。

施設の食事は、カロリーや栄養バランスをひとりひとりに合わせて提供されるものなので、お菓子を食べてお腹がいっぱい、なんてことになると非常に体に良くありませんね。

お年寄りに限らず、おやつはきちんと決められた時間に適量を食べる習慣を身につけておいたほうが、後々いいでしょう。

これは、自分にも言えることですけど!

 

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今現在、施設で生活している高齢者は80歳〜90歳以上ということで、その子どもたちは60代〜70代?

筆者の親を見ていると、いろいろと困った癖があって、介護施設に入居したら大変だろうなぁ(本人も介護職員も)と思います。

世代の違いによるジェネレーションギャップがあるのは仕方がないとしても、若い子に「近頃のお年寄りは……」とため息をつかれないよう、変な癖やこだわりは矯正しておいたほうがよろしいようで。

自分にも言えることですけどね!!

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