葵わかな主演の連続テレビ小説「わろてんか」(NHK総合ほか)で、北村笑店の跡取り・隼也(成田凌)の恋人を演じている滋賀県出身の水上京香。幼少期からクラシックバレエに打ち込んできたが、小学生の時にある作品に感化され、演技に目覚めたという。

【写真を見る】成田凌に告げられた「わろてんか」撮影現場のルールとは!?

――女優になりたいと思ったきっかけは何だったんですか?

4歳からクラシックバレエをやっていて、コンクールにも出場していましたが、小学生のときにバレエでプロになるのは違うと思ったことがありました。クラシックバレエは早いうちに留学したりしないとプロへの道は拓けないので…。舞台で表現をすることは好きだし、喋ることも好きだったので、お芝居をしてみたいと思いました。

――何かきっかけになる作品があったんですか?

ドリーム☆アゲイン」(2007年日本テレビ系)というドラマで、志田未来さんが反町隆史さんに初めて「お父さん」と言って、その後、隠れて泣くシーンがありまして、小さな体で見る人の心を打つ志田さんが魅力的に感じて、私も何かしなきゃいけないんじゃないかという喝を入れられた気がしました。それでお芝居がやりたい、演技で表現することを続けていきたいと思いました。

――思い立ったら一直線?

そうですね。「オーディションを受けたい」と母にすぐ言ったのですが、当時はまだバレエコンクールに出場する予定があったので、「きちんとやりきってからじゃないといけません」と言われました。母に認めてもらうためにもそのコンクールは頑張りました。オーディションを受け始めたのは中学生からで、なかなか所属事務所が決まらず諦めきれずにいたとき、「演技を勉強できる大学があるみたいだよ」と父に教えてもらい、母にオープンキャンパスへ連れて行ってもらいました。

――滋賀から東京まで!? お母さんすごいですね。

最初は反対していたのに、応援すると決めてからはすごく協力してくれました。実際に見てみたら、一気にここで学びたいと思って、すぐにエントリーシートを書きました。大学に入ってからも応援してくれて、「トップコート 20thスターオーディション」を教えてくれたのも母でした。

――事務所に入ってからは舞台など、いいお仕事に巡り合ってますよね。

最初に深作健太さん演出の「MORSE−モールス−」(2015年)という舞台に立たせていただきました。ステージ上で何かを披露するということは同じでも、言葉を使わないバレエと、言葉を使う演劇は全然違っていて、まだまだ知らない魅力ばかりで、舞台の「生」感に興奮しました。舞台って楽しいって! 右も左も分からないときに、深作健太さんと出会い、ありがたいことにたくさんセリフをいただき楽しい役を演じさせていただきました。深作さんが好きに動いていいよと言ってくださったことで肩の力が抜けたのを覚えています。より自然なお芝居を形作ってくださり、舞台の魅力をより楽しく教えてくださいました。

――そこで演技の礎もできた?

はい。発声もそうですし、体づくりも教えてもらえました。

――そして、去年の3月からは、「Going!Sports&News」(日本テレビ系)の日曜日でお天気キャスターも担当。生放送の経験も大きいですよね。

生放送も緊張しましたけど、上田(晋也)さんに最初にお会いしたときは緊張しました。

――今はどうですか?

皆さん、優しい方ばっかりで、毎週楽しませてもらっています。スポーツの楽しさを伝えるためには私自身も楽しまないといけないと思うので。でも、3月25日(日)で番組を卒業するので寂しいです。

■ 関西弁が飛び交う現場に里帰りをしたような気持ちに

――そして、現在は朝ドラ「わろてんか」に出演。決まったときのお気持ちは?

このお仕事を始めてから、朝ドラのオーディションは毎回受けていましたし、朝ドラに出たいという気持ちが強かったので、とてもうれしかったです。

――作品の途中から現場入りするということで、緊張感はありました?

朝ドラ現場に入ることも、撮影の途中から参加することにも緊張しました。現場には関西の方がたくさんいらっしゃって関西弁が飛び交う現場に里帰りをしたような気持ちになりました。そのおかげで現場には1週間ほどですぐになじめました。

――笑いにあふれた現場だと聞いていますが?

初日が成田さんとの二人の撮影で、成田さんがカメラに背を向けて、その肩越しに私を撮るというカットだったんですけど、成田さんに「この現場は相手を笑わさないといけないルールがあるんだ。これから僕もやるからね」とすごく真面目な顔で言われ、すごくドキドキしながら撮影したのを覚えています。

――通訳として隼也と会った日の撮影ですね。

そうです。ただでさえ緊張しているのに、やめてー!と心の中で叫びました。それは私の緊張をほぐすために言ってくれたようで、本番は何も起こることなく撮影は進みました。「わろてんか」の現場はそういう笑いがたくさんあふれている現場です。

――つばきさんと隼也の恋は怒涛の展開ですよね。

こんなにも展開が早い作品は初めてなので、気持ちを追いつけることが大変です。

――二人の恋は立場が影響したりして、切ない恋ですよね。

はい。つばきは隼也のことが大好きなので、気持ちが揺れます。もっと長い瞬間一緒に過ごしたいと好きな気持ちが高まっていきます。

――この時代に同じアメリカの文化を共有できる貴重な存在ですもんね。

お互いそこに興奮して、もっといろんなお話ししましょうと会うようになるので、その部分が気持ちをつなぎとめているというのは大きいと思います。

――つばきさんは隼也に会ったことで、大胆になりますよね。

私はつばきにとって隼也が初恋だと思っています。それまで恋をする概念とか、同じ日本人で共通した意見を交わせる相手がいなかったので、胸の高鳴りはすごくあったのではないかと思っています。

■ 女性の人生を凝縮して演じています

――その後の展開の速さには追い付いていますか?

正直なところ、追い付けていないです。クランクインが昨年末で、そのときのつばき(の役年齢)は21歳だったのですが、先日31歳になりました。人の10年をこんなに短期間で演じるのは初めてですし、時の流れを感じさせる変化をつけていかないといけないので大変でした。話し方や、仕草、服装も最初はお嬢様でしたけど、どんどん(時代に合わせて)質素になっていきますし、一人の女性から母になるという、女性の人生の中で大きな変化が生まれる時期を凝縮して演じています。

――そういう時間の合間はご自分の中で想像して、埋めていく感じ?

そうですね。服装や髪型、メークも細かく変えているので、そういう部分も助けてくれます。アイメークも最初はまつげを上げるぐらいだったのですが、30歳を過ぎてからはアイラインを入れたりして。

――30歳を超えた自分の顔はいかがでした?

見慣れなかったです(笑)。どう赤ちゃんを抱っこしても妹や弟を抱いている感覚になり、我が子を抱っこしている感覚になるには時間が必要だなと思ったので、息子の藤一郎役の子と遊ばせてもらいました。

――最後に水上さんがこの先挑戦してみたいお仕事はありますか?

アクションに挑戦してみたいです。まずバク転ができるようになりたいので、「わろてんか」の撮影が終わったら挑戦しようと思います。(ザテレビジョン

連続テレビ小説「わろてんか」(NHK総合ほか)で、北村笑店の跡取り・隼也(成田凌)と恋仲になる加納つばきを演じる水上京香