ネットラップというワードをご存知だろうか?  ワードだけで検索してもwikiなど見当たらないが、コミュニティがあり、そこにはシーンが存在している。 <俗・びとぶれ!>(以下、びとぶれ)とは東京で隔月で開催されているネットラップのイベントだ。 昨今MCバトルやフリースタイルダンジョンの影響もありRAPが以前より盛り上がっている。巷のラップバトルブームとは別のベクトルで今ネットラップが熱い。 イベントはフェスでもない限り通常1dayで行われるものだが、びとぶれというイベントは恵比寿BATICAというクラブで現在2daysで開催されている。 ネットラップというコミュニティが再び熱い!? イベントの出演者も遊びに来るお客さんも全国各地から、日本だけでなく海外からも集まってくる。今年の1発目のびとぶれは1月7日と8日に開催された。

DEMONDICE

今回のイベントの目玉は何と言ってもDEMONDICEだ。彼女はアメリカテキサス州ダラス育ち。LYRICの殆どが英語詩だが、所々に日本語が散りばめられていたり、ネットラップ界隈のワードも飛び出てくる。日本語の所謂押韻スタイルとはかけ離れていて、細く刻むライミングに怒涛のフローはEminemLogicを感じるものがある。 LIVEでは2nd EPからの曲をメインで演じていた。FREEで配布しているEPもあり、音源でもスキルの高さが伺えるがLIVEもパワフルで可愛くて格好が良い。 [XFD] DEMONDICE- The Red, White and Black EP

NAKAZ TOBAZ

NAKAZ TOBAZは3MC+1DJ+1Penスタイル。この+1Penというスタイルが斬新で、スケッチブックに描かれたイラストやリリックリアルタイムフリップ芸人のネタのように曲と連動して進行していく。 鳥貴族への想いを歌った“とりのうた”というのがキャッチーなフックスケッチブックの動きが加わって初めてライブを見た人でも盛り上がる事が出来る。「早い! 安い! うまい!」鳥貴族チョイスする所もハードコアなRAP業界とは真逆でなんとも庶民的で好感がもてる。

Prefab Sound Pro.

アパレル屋にしてネットラップシーンの裏ボス的なグループ。待望の初のフルアルバムを『Skit』をリリース。 アルバムからの曲が中心のLIVE構成で、中でも「This Night is Still Sour feat. RhymeTube」はクルーの盟友へ故人を偲ぶうたでもあり、男たちの切ないエモさが凝縮された曲で会場も温かい空気に包まれていた。

抹 a.k.a. ナンブヒトシ

オーガナイザーのらっぷびとと共にネットラップを黎明期から支えてきた、a.k.a. ナンブヒトシ。縦横無尽にビートを乗りこなす男。らっぷうまおじさん。FUNKOTビートでENAK高めなRAPをしたと思えば、jazzyなサンプリングビートの上では愛してるありがとうとフローして、超絶スキルでパーティーアンセムから恋愛ものまで饒舌にRAPで語る。

タンノ

ネットラップの曲のリミックスではネットラップスタイルで、パンクの曲のリミックスでは心のうちに秘めたリビドーを開放して、ポエトリーのようでもありパンクのような全力で叫ぶようなスタイルでRAPをする。流行のスタイルやキャッチーな曲を好む人には届かないかもしれないが、人の内面をえぐるように刺々しく訴えかけてくるものがあった。 新世代と旧世代のネットラッパーが入り混じり、RAPするトピックもバラエティに溢れていて、それぞれの人間模様やリアルな一面が感じられる。ネットラップって何だ? <びとぶれ>ってなんだ!?

Mika+Rika

ネットラップのイベントではあるがスタイルは様々で、所謂ネットラップ系譜の演者以外にも今回は一卵性双子姉妹のHIP HOPユニット「Mika+Rika」や、声優ラップユニット「RABBITSBLESS」など華やかな女性達がRAPをしていたり、TWITTERのDMで出演希望を出して参加していた10代の$misthはTRAPスタイルで、XXXTENTACIONやKendrick Lamarのビートジャックをしていて、ネットラップというものが何かわかっていなくても、例えオタクでなくても間口の広いイベントだ。 DJ TIMEは、所謂流行り日本語ラップや、ネットラップ、アニソン、EDM、Future Bass、アイドルソング、J-POP、K-POP etc......オールジャンルが流れる。クラブが1Fと2Fのフロアに分かれていて、2FではLIVEとDJ TIMEが楽しめ、1FではラウンジDJが音楽を流している。1Fと2Fで見たい演者の時間が被り困りはてるのもお客さんの楽しみの一つだ。

お客さんはネットラップ育ちの有名YOUTUBERから陰キャのパリピまで。

今回は新成人スペシャルという事で、会場には新成人のお客さんも沢山いて、2DAYS共に用意されていたシャンパンは、やべー勢いですげー飲み干され、本当にオタク達!? が集うイベントなのかにわかに信じ難い状態であった。 2日間で空いたシャンパンは数十本。 陰キャパリピもSAKEが好き。

らっぷびと

このイベントのオーガナイザーでネットラップシーンの立役者。アニメの曲のビートでラップするアニソンラップを日本で最も広めた男。「目を覚ませば鳴き出した ひぐらし達が泣いてた気がした とっくのとうに涙切らしたんだ 吐き出したい言葉は......」 【俗】びとぶれ!、次回も2daysでやります!! このシーンの物語はまだままだ続くらしい。

Text/Photo by 番犬

EVENT INFORMATION

俗・びとぶれ! 2days

びとぶれ 2018.03.10(土).11(日) 恵比寿BATICA 詳細はこちら

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