現地時間4日(日本時間5日)に行われた第90回アカデミー賞授賞式。技術部門各賞の中で最も注目を集め世界中の映画ファンを熱くさせたのは、撮影賞に輝いた『ブレードランナー2049』のロジャー・ディーキンスだ。

【写真を見る】“無冠の帝王”の称号を返上!ロジャー・ディーキンスがついにオスカーに

ショーシャンクの空に』(94)で初ノミネートされたディーキンスは、その後も『ファーゴ』(96)や『ノーカントリー』(07)などでノミネート。また第84回から第88回までは5年連続でノミネートされるなど幾度となく受賞のチャンス恵まれるも、すべての年で受賞を逃し“無冠の帝王”と呼ばれることに。

そして14度目のノミネートとなった今年、SF映画の金字塔『ブレードランナー』(82)の続編で驚くべきヴィジュアルを構築。同作の公開前からオスカー受賞の噂が絶えることなく、ついにその時を迎えた。プレゼンターのサンドラ・ブロックからディーキンスの名前が呼ばれると、会場中の映画人たちは一斉にスタンディングオーベーション。

壇上にあがったディーキンスは頭を掻きながら「自分の仕事がとっても好きです。なぜならカメラの前にも後ろにも優れた人がたくさんいる。この賞は彼ら全員で受賞したものなので、分かち合いたい」と、長年のキャリアに大きな節目を迎えたことの喜びを語った。

また、作品賞と直結すると言われている編集賞は候補者の中で唯一のノミネート経験者だった『ダンケルク』のリー・スミスが受賞。『ダークナイト』(08)以来のノミネートでついに受賞を果たした彼は『バットマン:ビギンズ』(05)からタッグを組むクリストファー・ノーランや、プロデューサーのエマ・トーマスに感謝を述べ「目を見張るような映画だった」とスピーチ

作曲賞ではゴールデン・グローブ賞につづいて『シェイプ・オブ・ウォーター』のアレクサンドル・デスプラが受賞。『グランドブダペストホテル』(14)以来3年ぶり9度目のノミネートで、2度目の受賞を果たした彼は自身の母がアカデミー賞と同じ90歳を迎えることを明かし「喜んでると思います」と笑顔を見せると、メガホンをとったギレルモ・デル・トロに「ありがとうございます。この賞をあなたに捧げます」と感謝を述べた。

そして『シェイプ・オブ・ウォーター』は美術賞も受賞。ノミネート経験豊富な大ベテランを見事に退け、ポール・デナム・オースタベリーシェーン・ヴィーアウ、ジェフリー・A・メルヴィンの3人は初ノミネートでの受賞となった。

衣装デザイン賞は『ファントムスレッド』(5月26日公開)のマークブリッジスが受賞。重要視されていた前哨戦の衣装デザイナー組合賞で『シェイプ・オブ・ウォーター』(公開中)に惜敗したことで不安視されていたが、見事に払拭。『アーティスト』(11)『インヒアレント・ヴァイス』(14)でノミネートされたブリッジスは、3度目のノミネートでついに栄冠を勝ち取った。

視覚効果賞では前哨戦の視覚効果組合賞で圧勝劇を見せた『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』を破り『ブレードランナー2049』が勝利。受賞者4人のうち、ジョンネルソンは『グラディエーター』(00)以来17年ぶり2度目の受賞で、他の3人は初めての受賞。

意外にも史上初めてノミネート5作品が揃った録音賞と音響編集賞は両方とも『ダンケルク』が受賞。両方を同じ作品が受賞するのは第88回の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)以来で、2000年以降では8度目のこと。音響編集賞を受賞したリチャードキングと、録音賞を受賞したグレッグ・ランデイガーは4度目の受賞を果たした。(Movie Walker・文/久保田和馬)

撮影賞と視覚効果賞を受賞した『ブレードランナー 2049』