ホンダジェット」の納入数年間首位獲得で沸くビジネスジェット業界、今後も需要拡大が予想されますが、それは民間利用のみならず、軍用機としての用途拡大も予想されるからといいます。どのように利用されるのでしょうか。

ビジネスジェット市場はさらに拡大? その根拠

航空機製造社協会は2018年2月22日本田技研工業子会社であるホンダエアクラフトが製造する「ホンダジェット」が、2017年に最も多く納入された小ビジネスジェット機となったことを明らかにしました。

ホンダジェットが属する定員10名以下の小ビジネスジェット機では、長らくアメリカセスナ社製の航空機が、納入機数世界1位の座を独占してきましたが、今回ホンダジェットが僅差とはいえ、1年間の納入機数で1位の座を奪い取ったことは快挙と言えます。

新幹線のような交通インフラが発達した日本では、ビジネスジェット機はそれほど普及していませんが、アメリカでは2015年3月末の時点で1万3000機、全世界では2万機以上が運用されています。ホンダジェットのような小機であっても、1機の価格が5億円以上するビジネスジェット機の需要は気に左右されやすいのですが、業界団体や調会社の多くは、今後もビジネスジェット機需要は大きく成長するとの見通しを発表しています。

業界団体や調会社はビジネスジェット機の需要が増える要因として、企業世界展開が進み、企業トップの移動頻度が高くなっていることや、民間の定期便にべてテロの襲撃を受けにくいことなどのほかに、軍用機としての需要が増えていることも上げています。

軍用機としてのビジネスジェットとは?

軍用機としてのビジネスジェット機の歴史は、軍の高官が移動するための輸送機から始まりました。高官輸送機としてビジネスジェット機を最も活用しているのがアメリカ軍で、アメリカ軍と海兵隊ガルストリームエアロスペースアメリカ)の大ビジネスジェット機であるガルストリームVをC-37、ガルストリームIVC-20として導入しています。

アメリカ軍べれば数は少ないですが、航空自衛隊も大ビジネスジェット機のガルストリームIVを、自衛隊の高官や政府要人など要人輸送機のU-4として導入しています。

また航空自衛隊ではU-4のほか、イギリスBAe社が開発したBAe125-800を、UH-60J救難ヘリコプターに先行して遭難者を捜索し、必要であれば援助物資の投下も行なう捜索救難機のU-125A航空機の運航に不可欠な地上の電波後方装置などの点検を行なうU-125として運用しており、まもなくU-125を後継する飛行点検機として、セスナ社のサイテーションラテテュード(680A型)が、航空自衛隊の戦として加わります。このほか海上自衛隊ゲイツリアジェット社(導入当時)製リアジェット36を、護衛艦の対艦戦闘訓練の時に標的を航したり、搭載する電子装置で模擬対艦ミサイル役を務めたりする訓練支援機のU-36Aとして運用しています。

裏方から最前線へ 軍用機としてさらに活用されるワケ

これまで述べてきたように軍用ビジネスジェット機は、輸送や捜索救難、訓練支援といった、どちらかと言えば裏方の役を果たしてきました。

しかし近年では洋上をパトロールして、水上艦艇や潜水艦などを捜索する洋上機、機や大のレーダーを搭載して敵の航空機ミサイルなどを探知し、戦闘機などにどう対処するかを示する早期警戒管制機、搭載したレーダーで地上の敵味方の状況を監視して、地上部隊に示を送る戦場監視機といった最前線に立つ航空機のなかにも、ビジネスジェット機をベースとしたものが現れています。またスウェーデンのサーブ社が、カナダボンバルディア社のビジネスジェット機をベースに開発した「グロバルアイ」のように、洋上機と早期警戒管制機を兼ね備えた航空機も登場しています。

これまでこうした航空機は、ビジネスジェット機よりも大きな旅客機ベースとすることが多かったのですが、ビジネスジェット機の性の向上と、搭載するレーダーなどの電子機器の小化により、旅客機べて取得費も運用費も安い、ビジネスジェット機をベースとする事例が増えています。

シンガポール軍は航空自衛隊も運用している期警E-2Cの後継機として、大ビジネスジェット機のガルストリーム G550をベースに開発された早期警戒管制機、「G550 CAEW」を導入しています。2018年2月に開催されたシンガポールエアショーで、G550 CAEWのクルーの方にお話をうかがったところ、「レーダーによる探知E-2Cと遜色がいし、軍用輸送機ベースに開発されたE-2Cと違って、トイレが標準装備されている点も素晴らしい」と述べていました。

流石にビジネスジェット機をベースとする戦闘機爆撃機が登場することはいでしょうが、今後も軍のビジネスジェット機の活用は、拡大していくものと思われます。

【写真】軍用機から民間転用も? 旅客機化検討のP-1哨戒機

軍用機としても活用されるセスナ社のサイテーション・ラティテュード(竹内 修撮影)。