「第二東名」とも呼ばれた新東名高速神奈川県区間の建設が進むなか、その新東名高速東名高速に並行する形でもう1本、自動車専用道路の整備計画が進行しています。この「厚木秦野道路」、どのような効果をもたらすのでしょうか。

通行無料 暫定2車線で整備

神奈川県内では2018年3月現在、東名高速(東名)に並行する新東名高速新東名)の建設が進められていますが、これらに並行しもう1本、自動車専用道路の建設計画が進められています。

道路名は「厚木秦野道路」。圏央道の圏央厚木ICから南西へ延び、伊勢原北ICで新東名と、秦野中井ICで東名と連絡、そこからさらに北西へ延び、秦野西ICで再び新東名に連絡するというルートです。なお、秦野中井ICを除く未開通区間のIC名などはすべて仮称です。

どのような道路なのか、事業を推進する国土交通省横浜国道事務所に聞きました。

――厚木秦野道路はどのような道路なのでしょうか?

国道246号バイパスとなる全長29.1kmの自動車専用道路です。現在の国道246号は容量不足により、おもに厚木市内の相模川などをまたぐ箇所や、伊勢原市街地などで慢性的な渋滞が発生しています。現道の通過交通が厚木秦野に転換することにより、混雑緩和が期待されます。

――通行は有料なのでしょうか?

暫定2車線(設計上の規格は4車線、設計速度80km/h)で整備すること、圏央道、東名、新東名など多くの主要道路と連絡することなどから、無料の道路として整備しています。

海老名JCTの混雑緩和へ 早期着工に向け地元も動く

――国道246号の混雑緩和のほかに、どのような整備効果が期待されますでしょうか?

お話したとおり圏央道、東名、新東名を相互に連絡し、各高速道路へのアクセス性が向上することで、企業立地の促進による地域活性化などが期待されます。

――進捗はいかがでしょうか?

全体を大きく5区間にわけ、そのうち3区間を事業化(計画が決定し、具体的に動き出した段階)しています。2001(平成13)年事業化の厚木市中依知(なかえち、圏央厚木IC)から同市飯山(厚木北IC)までの3.6km、1998(平成10)年事業化の伊勢原市西富岡から同市善波(ぜんば)までの4.8kmについては、用地買収を進めています。2014年に事業された伊勢原市善波から秦野市西大竹(秦野中井IC)までの5.2kmでは、調査設計を進めています。

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全体として、まだ着工されている区間はなく、厚木市飯山から伊勢原市西富岡まで、秦野市西大竹から同市八沢までの2区間は事業化もされていません。横浜国道事務所によると、開通時期などは未定だといいます。

地元ではこの道路の整備効果をどう考えているのでしょうか。厚木市の国県道調整担当によると、「国道246号の混雑は、厚木、伊勢原、秦野3市の共通認識」だといい、東名が東西に通り、圏央道ができ南北のネットワークも強化されたものの、「斜め軸」が弱いために国道246号が混雑している側面があるそうです。バイパス整備により交通の分散が期待されるといいます。

そのうえで高速道路については、「東名と圏央道が交わる海老名JCTは、特に八王子方面から東名への流入が混雑しています。厚木秦野道路ができれば、八王子方面から海老名JCTを経由することなく新東名、東名の静岡方面へ連絡できるほか、海老名JCTの交通混雑緩和も期待されるでしょう」とのことです。

また、事業化されていない区間のひとつ、厚木市飯山から伊勢原市西富岡まではほぼ厚木市に属しており、国に事業化を働きかけているといいます。「国としては、現在事業化されている区間を早期に着工させて工事を軌道に乗せることで、おのずと事業化も進むと考えているようです。そのため、事業化区間については市で用地を立て替え取得するなど、早期着工に向けた取り組みを進めています」と話します。

厚木秦野道路の概要。圏央道、新東名、東名を相互に連絡する(画像:国土交通省横浜国道事務所)。