3月になり、就職活動が解禁された。全員が良い就業先を見つけられるに越したことがないんだけども、世間にはろくでもない企業も多い。中には面接でびっくりするような対応を取られることもあるだろう。

先日、匿名掲示板5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)に「うちはね、即戦力の新卒が欲しいんだよ」というスレッドが立った。(文:松本ミゾレ)

即戦力級の優秀な新卒がいたとしてもホワイト企業にさっさと転職してしまうのでは


即戦力!

スレ主は20年ほど前にこうした言葉を企業から言われたという。残念ながら21世紀になった今も、こういう会社はある。ベンチャー企業の採用サイトなんかを見ると「即戦力として活躍できます」なんて書かれているものだ。

しかしだ。仮に、入社してすぐに戦力になる有能な新卒が職場に登場したとする。当然企業側は、余計な教育の手間がなくなって大助かりするだろう。でも、実際にこういう事例が起きたとしても、それだけでなんとなくスルーされてしまう気がしてしまうのだ。

だって周りを見渡してみたり、過去の出来事を思い起こしてみても、職場でひときわ優秀な人材が、その優秀さを買われて特別に待遇が良かったなんて事、ほとんど思い出せない。むしろ良く働く駒扱いされ、他の人よりも多くの仕事を任されて疲弊していたものだ。

そしてそういう代えがたい人材こそ、早々に嫌気が差してしまいこっそりと転職活動をし、あるときさっさと消えてしまう。優秀な人材は自分の価値をしっかりと俯瞰で理解しているので、現状に不満があればしっかりとステップアップを図る。

要求の多い、劣悪な環境から脱却し、よりホワイトな企業に移動をするのは優秀な労働者に限らず、すべての労働者の権利である。

が、優秀な人材に逃げられた傲慢な企業はそうは思わないようで、憎まれ口を叩いてしまいがち。大した給料も払わずに働かせまくっていたから当然の結果なのに、そこに目を向けないから重大な人材の流出を防げない。即戦力の新卒が欲しいなら、そんな人材を入社後も長期間キープし続けられる環境を整えれば良いだけの話なのに……。

身の丈を知らないワンマン企業の末路 7割の社員が退職してしまい……

ここで、僕が知っている斜陽の企業の話をちょっとだけ触れておこう。その会社の社長は典型的なワンマン。規模はそう大きくない会社のため、面接も社長個人が行っていた。

あるとき、面接を希望する男性に対して、この社長は開口一番「最初は研修期間を設けて給与も少ない。だけどうちに入社したいなら当然耐えれるだろ?」とぶちまけた。当たり前の話だが、この発言を聞いて首を縦に振る者は少なく、いたとしてもさっさと辞めて行った。

その社長の姿勢に反感を抱いていた社員も相当数おり、数年のうちに7割が退職。今では会社は死に体となっている。こんな会社になりたくないなら、企業側も身の丈をしっかりと理解して入社希望者に接するべきだろう。