2019年春卒業予定の大学生らの就職活動が本格的にスタートした。3月1日に企業による会社説明会が、6月1日に面接などの選考活動がそれぞれ解禁される。

 就活生の内定率は、18年度卒業予定の大学等(大学、短期大学高等専門学校)全体では85.6%(昨年12月1日時点)と、前年比1%増の上昇傾向で近年は“売り手市場”になっている。だが、就活に苦労する学生は依然として多い。そこで、以前の本連載記事に続いて、教授としてこれまで多数の就活生を見続けてきた立教大学経営学部の有馬賢治氏に、結果につながる就活へのヒントを聞いた。

●「自己アピール」と「自己紹介」の違い

 今回、有馬氏が言及するのは就活最後の関門である面接についてだ。

「面接での自己アピールは、選考上重要な役割を果たしますが、就活生のなかには『自己アピール』と『自己紹介』をはき違えている人が多く見受けられます。就活生にありがちなのは、自分を伝えることに精一杯で相手が何を聞きたいのかを想像できていない自己アピールです。これでは、ただの“自分目線での自己紹介”になってしまいます」(有馬氏)

 面接というのは、あくまで自社の採用基準に適合するかどうかを知るために実施されるものであると有馬氏は強調する。

「相手が何を聞きたいのかを最初に考えないと、話の組み立てが採用担当者の期待に添うストーリーにはなりません。その時点で自分がその会社に役立つ人材であることをアピールできる可能性を下げてしまいます。例えば、面接の場で自身のリーダーシップを強調する人もいるかと思いますが、企業は別にリーダー格ばかりを求めているわけではありません。現状の人員配置を補うことができる適材適所の人材が欲しいのです。よく見聞きするキーワードだと思って面接のときだけ無理にリーダーシップがあるようにふるまっても、自分の適性と企業が面接で得たいと思っている材料が想像できていないということになりますね」(同)

●誰も自慢話は聞きたくない

 さらに、悪い例の代表としてあげられるのが、ただの自慢話。

「学生時代にがんばったことを聞かれると、多くの学生は自慢話をしてしまいますが、誰も時間を割いてまで他人の自慢話など聞きたくはありません。学生時代までの成功体験と、社会人としての成功体験は必ずしも一致しないので、これを勘違いしている人は改めたほうがいいでしょう。では、どんな話が期待されているのでしょうか。面接での選考基準としては、その人のストレス耐性や協調性を見極めるケースが多いです。ですから、苦労を乗り越えた話や、仲間と協力してやり遂げた経験談のほうが印象はよくなるでしょう」(同)

 これは、慣れない自己アピールで陥りやすい盲点かもしれない。


●企業が求めるのは“個人戦”に強い人材ではない

 就活自体は孤独な戦いだが、会社に入れば組織で協力し合って成果を上げていくもの。それができるかどうかを見られるのも採用面接だと有馬氏。

集団面接で、他の就活生の発言に興味を示さず、自分が発言するとき以外は知らん顔をしているようでは協調性なしと判断されてしまいます。個性が重視される昨今ですが、その前提の理解も大切です。前提といえば、やはり社会人基礎力はまず身につけておかなくてはなりませんね。最近はメールや電話でのマナーを知らない人が珍しくない、と私も学生と接していてよく感じます。LINEを主なコミュニケーションツールとして育ってきた世代なので仕方がない側面もありますが、挨拶ができる、相手の目を見て話せる、電話応対ができる、メールマナーを知っている、敬語が適切、時間を守れる等の社会人として当たり前の素養は面接でも見られていることを覚えておくべきです」(同)

 スマホネイティブ世代が就活を始めるタイミングということで、ビジネスマナーの面で苦労する就活生も少なくないはず。自分のステージに相手を立たせるのではなく、相手、つまり企業の立場に立つ意識を持つことが就職活動の第一歩なのだろう。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

「Thinkstock」より