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学生時代、どうにもこうにも勉強が苦手だったという人もいるだろう。学力はあくまで物差しのひとつに過ぎないが、社会がまだ小さい子供の場合はそれが大きな意味を持ち、その後の人生に良くも悪くも大きく影響してしまうこともある。

今、「はてな匿名ダイアリー」に投稿された「アホの子教えるのは楽しかった」というエントリーが注目を呼んでいる。

■「出来ない子」への接し方

投稿者は学生時代にバイトで個人指導の塾講師をしていたと語る人物。「座ってられない&話が聞けない中2」や「アルファベットのaとdとbの区別が付いてなくてbog とかdopple とか平気で書いちゃう中3」など、今で言えば注意欠陥多動性障害や読字障害の可能性もある生徒を教えていた様子。

大変だったんだろうな…と思いきや、投稿者によると「こういう言い方はあまり正しさがないとは思うのだが、アホを普通にする方が、普通を出来るにするよりも賞賛されやすかった」と語る。

というのもそのレベルの生徒たちは「ちょっとした一言というかきっかけが見つかれば変わる」「偏差値27から50超のだいたい普通レベルまでもってくことは、片手間の個人指導の大学生バイトでも割と難しくなかった」のに対し、普通の子は「本人に勉強への自発的意欲があって家庭の協力があれば偏差値60超くらいまではいけたけど、そこから先は元々の素養がないとダメかなぁという感じ」だったからだ。

■取り払うべき「思い込み」

また、投稿者によると勉強が出来ない子に対しては勉強を始める前に「勉強=キライ、怒られる、自分が惨めになるだけ」という思い込みを取っ払ってやる必要があったそう。これまで劣等生だった彼らは勉強を前にすると無気力状態になってしまうのだ。

だからこそ「あなたが間違ってくれないとどこが分かっていないのか先生が探せないから、間違ってくれないと困っちゃう」「なぜその間違いをしたのかを、問い詰めるのではなく一緒に探していこー!」というスタンスで接することが大切で、「なんで間違ったの?」はNG。

そうするうちにaとdとbの区別が付かなかった子がそれらを区別できるようになったり、また数学が苦手だった子が数学の苦手意識をなくしたことでだけで英語や国語と社会など他の教科にも良い影響がある、などの出来事が。

なお、投稿者が面倒を見た勉強が出来ない子供たちは2年間で6人いたが、みな「高校に行けないかもしれない」というレベルだったにも関わらず普通レベルの公立普通科や商業科に進学。現在はそれぞれ会社員などになり、adbの区別の付かなかった生徒は大手のホテルチェーンでフロントをやってるとのことだ。

■共感の声相次ぐ

この投稿に対し、ネット上では「いい先生」「素晴らしい考え方」など共感の声が相次ぐことに。

・子供の気持ちに寄り添える増田は素晴らしい先生だよ

・なんで間違ったの? と聞くのは子供たちにとっては死刑宣告に聞こえるようだった。この人も結局私を救ってくれる人ではない、と思われ閉じられてしまう

・この人は他人が思考停止する所から踏み込んで原因を考えられるし、当事者の立場に立って考える事もできてる。なかなかできる事じゃないと思う

・「勉強」という言葉に付随するトレーニングのイメージが諸悪の根源だと思う。増田が指摘するようなほんの小さなハードルを無視したまま反復の訓練を強制する学校のやり方じゃ、嫌になる生徒が出てくるのは当然だよな

しかし、一方では「公立ではこの教育は難しい」「塾でも行けるお金がある子になってしまう」など現実の難しさを指摘する声も。

・いい先生。現実的には、クラスの人数が多い学校の先生では、こういうフォローはできないんだろうなあ

・この方はすばらしいと思うが、個別指導は学校では無理だし、塾でも行けるお金がある子になってしまうのがなあ

■学歴にコンプレックスは約2割

(©ニュースサイトしらべぇ

しらべぇ編集部が全国20〜60代の男女1,345名に「学歴コンプレックス」について調査すると、5人に1人が「コンプレックスがある」と回答した。

子供のとき、どんな教師に出会えるのか。ある意味、それもひとつの分かれ道なのかもしれない。

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(文/しらべぇ編集部・尾道えぐ美

【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」 調査期間:2015年7月24日(金)~2015年7月27日(月)
対象:全国20代~60代 男女計1345名

「アホの子教えるのは楽しかった」 元家庭教師の投稿に納得の声相次ぐ