僕はこちらのコラムでは、しばしば「ガンダム」ネタをほじくり返している。理由は簡単で、僕がオタクであることはもちろんだが、定期的ロボットアニメの話をしないと死んでしまう病気だからだ。今回も例によってガンダムの話をしてみたいと思う。

今日のテーマはラスボスガンダムシリーズの大半の作品では、強力なライバルが物凄く強いモビルスーツに搭乗して主人公の前に立ち塞がる。どのラスボスも大抵強いんだけど、では果たして最強は誰だろうか。(文:松本ミゾレ)

シャアの名前はなし 代わりにシロッコガトーフロスト兄弟が挙がる

先日、2ちゃんねる「ガンダムの有能ラスボスで打線組んだ」というスレッドが立った。スレ主が提示した、ガンダムシリーズの有能なラスボスの一覧が以下のとおり。

遊 フルフロンタル
ニ シロッコ
中 ミリアルド
一 ハマーン
三 クルーゼ
右 ギンガナム
捕 デビルガンダム
指 フロスト兄弟
左 ガトー
中継ぎ リボンズ
抑え グラハム

どのキャラクターも、ガンダムファンなら「ああ、アイツね」とすぐに思い出せるはずだ。「赤い彗星の再来」ことフル・フロンタル優柔不断さがなくなったシャアのようなものなので、活躍シーンも多かった。

シロッコシロッコで、劇中では最終局面でジ・Oが突然動かなくなるまで一切被弾もなかったし、モビルスーツの操縦技術は相当なレベルである。ミリアルドはイケメン補正を差し引いても美味しい役割が多かった。

また、ここでは名前が挙がってないが、他にもソロモンの悪夢ガトーやらギニアス中将、それから黒魔神闇皇帝など、印象的なラスボスは枚挙に暇がない。

「イデオロギータイプ」「技量タイプ」「バケモノタイプ」で分類してみた

ガンダムシリーズには実に多種多彩なラスボスが登場してきた。中には「明らかにこいつ弱くないか?」と思えるキャラもいたし、何ならあまりパイロット適正がないラスボスもいた。

しかし、それでもラスボスとして成立する見せ場があるものだ。ガンダムシリーズラスボスを務めるキャラクターに、通り一遍な様式美は不要といえるのかもしれない。

そこでちょっと頭を使って、本シリーズのラスボスの系統を分けてみることにした。これまでの作品のラスボスを振り返ると「イデオロギータイプ」、「技量タイプ」、そして「バケモノタイプ」の3系統に分けられるように感じるのだ。

たとえば初代ガンダムから登場するシャア・アズナブル。彼の場合はイデオロギーのラスボスだったように感じる。初期においてはジオン公国に名前だけ使われている父、ジオンダイクンの無念を晴らすことを信条としていたし、最終的には地球規模のスケールで思想を先鋭化させていった。

純粋な戦闘力もまあ低くはないものの、どうにも肝心なところでやらかすことも多く、状況に救われることもしばしばあった。

そのシャアの、ある種アップグレード版が「Zガンダム」、「ZZガンダム」に続けて登場したハマーン・カーンなのかもしれない。アステロイドベルトからアクシズを率いて地球圏に帰還したハマーンは、自らを摂政と名乗って、アクシズを思想的にかなり高いレベルでまとめていた。

「ZZ」後半では内乱の憂き目に遭うが、あれは番組の都合上生じたイレギュラー的な路線変更のせいなので、そこを突くのは野暮だ。

次に、単純にMSでの戦闘センスが異常に高い、技量タイプのラスボスについて触れていきたい。

個人的な見立てになってしまうが、「ターンエーガンダム」のギム・ギンガナムや「ガンダムX」のフロスト兄弟辺りは、政治的な動機が希薄であったように思える。しかし、その一方で戦闘能力はかなりの高いレベルを有していて、単機で状況を一変させるシーンもあった。

イデオロギータイプと比べると、どうしてもガンダム作品のラスボスとしてはちょっと印象が弱かったりするんだけど、ギンガナムみたいなネタ方面に走ることで、その弱点を帳消しにしているのは上手いと思う。

パイロットに依存しないデビルガンダムも魅力的

最後にバケモノタイプのラスボスだ。これはもうガンダムF91」の鉄仮面カロッゾ・ロナが真っ先に浮かんでくる。無数の触手と異常なまでの機動性を見せ付けるモビルアーマーラフレシア。そのラフレシアを操るのは、強化改造されたカロッゾで、宇宙空間を生身で移動することも可能というバケモノっぷり。

しかも腕力も強化されているほか、脳波コントロールでの操縦も可能。それだけにF91との決戦では、敗北の直前に「バケモノか!」と恐れおののくシーンが印象的だった。アレは「お前が言うんかい」と突っ込みを入れずにはいられない。

他にも「Gガンダム」のデビルガンダムも、終始スケールの違うバケモノっぷりを見せていたし、ラスボスとしての役目もしっかりと担っていた。パイロットに依存せずに活躍するというのも、唯一無二の魅力である。

と、こんな感じで色々と書いてみたんだけど、ラスボスの魅力はこの程度語ったぐらいでは到底紹介しきれない。機会があれば、また続きを書きたいところだ。