イタリア代表は国際Aマッチデーでアルゼンチン代表、イングランド代表と対戦した。そこで浮かび上がってきたのが、攻撃面での課題である。イタリアサッカー協会入りしたアレッサンドロ・コスタクルタ氏が「5月20日に新監督を発表する」と明言したことで、いよいよ新生アッズーリを本格的に始動させる指揮官が重要になってくる。依然として候補に挙がっているのはカルロ・アンチェロッティ氏、ゼニトロベルト・マンチーニ監督、そしてチェルシーアントニオ・コンテ監督で、また“橋渡し役”とも呼ばれるルイジ・ディ・ビアジョ監督が続投する可能性も全くないわけではない。その新監督の最初の仕事が得点できるアッズーリ作りとなる。

 昨年のFIFAワールドカップ ロシア・欧州予選のスウェーデン戦2試合と今回のアルゼンチン戦の計3試合で、イタリアは無得点と敗因ははっきりしていた。セリエAでは24ゴールと得点ランキング首位のチーロ・インモービレ(ラツィオ)だが、代表では11試合1得点と全くいいところがない。イングランド戦でも前半にアントニオ・カンドレーヴァからのクロスを頭で合わせたり、エリア外からシュートを狙ったものの、ゴールには結びつかなかった。

 試合のキーマンとなったのは、フェデリコ・キエーザ(フィオレンティーナ)だった。アルゼンチン戦では先発出場し、インクランド戦は56分からプレー。インモービレにチャンスボールを供給したり、エリア内で相手のファウルを受けるなどポイントを押さえていた。特にPKのきっかけとなったシーンは強い印象を残した。このシーンではイングランドの選手たちが苛立ったように3人掛かりでキエーザをマークし、抑えに行っている。

 そしてロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)がPKを決めてドローに持ち込んだ。79にはジョルジーニョからのパスから左足で狙ったいいコンビネーションもあった。しかし、中盤でゲームメイクをする役割は、ジョルジーニョにはまだ荷が重すぎる感がある。それではロベルト・ガリアルディーニ(インテル)はどうか。マルコ・ヴェラッティ(パリ・サンジェルマン)やロレンツォ・ペッレグリーニ(ローマ)らサイドハーフの選手を生かせるシステム作りが必須だ。

 次の国際Aマッチ6月1日フランス、4日にオランダとの対戦が決定している。それに加えてイタリアサッカー協会はもう1試合、サウジアラビアとの親善試合を5月28日に組み込もうと試みているようで、場所はオーストリアスイスになりそうだ。攻撃的MFやFWに駒が足りないわけでもない。20歳のキエーザやアンドレア・ベロッティ(トリノ)らを機能させられる、経験値が高く国際経験豊かな新監督ができるだけ早く決まるよう望む。

文=赤星敬子

新生アッズーリが始動した [写真]=Getty Images