子どもの周りにはたくさんの誘惑があります。スーパーに行けばCMでお馴染みのお菓子があったり、家ではやらせてもらえなくても、友人の家には最新のゲームソフトがあったり等。

叱ってもムダ!?「親を困らせる子どもの行動」子どもの本音とシーン別解決策

でも、「ダメ」と禁止されればされるほど欲しくなるものですね。

こんなとき、親はどう対応したらよいのでしょうか。

『「テキトー母さん」流子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話しします。

“禁止する教育方針”は大きなストレスを与えることも

例えば、

・虫歯になるから甘いお菓子は一切禁止
・添加物を排除した無添加菓子か、ママの手作りお菓子しか口に出来ない
・CMのお菓子はNG
・ゲーム禁止
・キャラクターが付いた服は趣味が悪いから着てはいけない

「砂糖は体に悪い」と考える人もいますし、それも当たっている面もあるかもしれませんが、過度な方針は子どもの楽しみを奪い、知らず知らずのうちに大きなストレスを与えていることがあります。

反動?こんな行動も…

飴をこっそり食べていた子

「市販のお菓子や甘い物を食べさせない」方針の家庭がありました。保育所では毎回手作りではなく、市販のクッキーゼリー、プリンを出すこともありましたが、その子には家庭が用意した持ち込みの『ちくわ』『枝豆』『煮干し』『小さなおにぎり』を与えるしかありませんでした。

ところが、その子はひどく友達のものを欲しがり、友達のお皿に手を出していました。

お小遣いをお菓子に使い果たす子

これは筆者の話です。私は幼い頃、好き嫌いが多く偏食でした。食べる量も少なかったので幼稚園、小学校低学年時代のあだ名は“鶏ガラ”。クラスで一番体重も身長も低い子でした。

心配した母が決めたルールは「お菓子は食べてはいけない」ことでした。3時のおやつを食べることでお腹が一杯になってしまい、夕飯を更に食べなくなるのが理由でした。たまに出される間食も昆布、アーモンド入り煮干といった類のものでした。

母は “比べる病”のタイプでしたので、体格の良い他の子どもと比べてしまい、相当悩んでいたようです。

けれども私は「あれを食べてみたい」「お友達の家はいいな」と思っていました。抑圧された心は我慢の限界がきてしまい、親が見ていない友達の家では食べまくり、小学生になってお小遣いをもらうようになってからは、これらを文房具などの学用品にではなく、すべて駄菓子につぎ込んでいました。

この2つの例のように、家庭内で「食べたいものを我慢させられる」といったある種の抑圧を受けると、子どもは親の目が届かないところでストレスを発散しようとすることもあります。

スーパーでの誘惑

スーパーに行くと誘惑が一杯、色とりどりのお菓子が並べられています。お菓子コーナーには子ども用の小さな籠まで置いてあったりします。

“親子でお買い物体験”用なのかもしれませんが、それはスーパー側の平和な解釈で、「お菓子を買う、買わない」の親子喧嘩の火種になっている光景を目にします。

更に、レジ横にはガムや飴が並べてあります。こんな風にたくさんの誘惑が外出先にはあります。ここでも子どもの心は葛藤します。

我慢させることも必要…どうしたらいい?

お菓子が食べたい子どもには、どうすればよい?

子どもが欲しがるままお菓子を与えては、栄養が偏り身体にもよくありません。また、「世の中、何でも自分の思うようになる」と思わせてもいけませんし、我慢もさせなくてはなりません。

でも、子どもの「ほしい、食べたい」という欲求を一切押さえつけるのではなく、次のようにするのはどうでしょうか。

・土曜日、日曜日はクッキーやケーキを食べてもよい
・食前ではなく食後に量を少なめに
・親が「これなら許せる」と決めた範囲内の市販のお菓子の中から、子どもに自由に選ばせる

少しだけ要求を聞いてもらったことで、我慢をすることも出来るようになります。

ゲームをやりたがる子どもには?

周りの友達がゲームを持ち始めると、「ゲームやりたいな。買ってほしいな」と思うのは当たり前です。

ゲームを禁止されて育った結果、興味を持たない子どももいる一方、禁止されたためゲームをやり放題の友達の家に行くと入り浸ってしまい、誰とも遊ばずゲームにむさぼりついている子どももいます。

確かに際限なくやらせるとご飯も食べず、寝る間も惜しんでゲームを優先する生活、“ゲーム依存症”になってしまいます。ですから、大人の関与は必須です。

ですからゲームは、

・1日1時間のみ(2時間した場合は翌日はゲームを出来ない。これで自ら時間管理をする習慣がつきます)
・土日はOK

など、各家庭でルール決めて制限をかけてやらせましょう。

キャラクター物の服を着たい子には

子どもがテレビアニメのキャラクターがプリントされたTシャツやトレーナーを着たがっても、「趣味が悪いからダメ」と禁止され、大人のような洒落た服しか着せてもらえないケース。

確かに美的センスが磨かれるかもしれません。でも、子どもは“自分がキャラクターと一緒にいたい”のです。

ということで、このような場合は

・週末は好きなキャラクターの服を着ても良い
・小さなワンポイントならばOK
・靴だけはOK

など、全部とは言いませんが少しだけ許してあげましょう。

何事も“ほどほど”に

「何事も中庸、ほどほどに」の姿勢も必要です。どれもこれも禁止してしまうと、子どもの「~したい」という欲求と楽しみを奪ってしまうからです。

小さいうちに我慢させられたことで、お菓子やゲームに興味関心を持たないまま育ってくれる場合もありますが、逆もまたしかりなのです。

極端に禁止されてしまい、友達の家で出された大量のスナック菓子に飛びついたり、ゲームにむさぼりついたり、幼い頃に親の好みの洋服を押しつけられた反動で、思春期にとんでもなく派手なファッションをするケースもあります。

親の理想を追い求めた結果、子どもの喜びや楽しみが減ってしまったら…。そのほうが良くない影響を及ぼすこともあるので“適度なさじ加減”もありだと思うのですが…。

皆さんはどうお感じになりますか?