たまこラブストーリー』や『聲の形』など、劇場版では思春期の男女の恋模様を、繊細に描いてきた、京都アニメーション山田尚子監督。『リズと青い鳥』では、女子高生同士のもどかしい関係にどう迫ったのか。制作について語ってもらったインタビューが、410日(火)発売の『アニメディア5月号』に掲載される。そのインタビューのなかから、冒頭を先行解禁。「超!アニメディア」読者だけにお届けしよう。


女の子の心情の解像度を上げた

“ふたりの女の子”の物語になりました

――はじめに、TVシリーズではシリーズ演出として携わっていた山田さんが、本作で監督を担当されることになった経緯を教えてください。
 『響け!ユーフォニアム』の映画を作る企画を進める段階で、原作の続編を読みました。そこには、久美子たちが関わる物語はもちろん、みぞれと希美のエピソードもすごく魅力的に描かれていました。「削ってしまうのはもったいないのでは」ということになり、みぞれと希美にフィーチャーした映画を作ることになりました。石原立也監督は、久美子たちの物語で忙しいということもあって「じゃあ私が」と(笑)。

――山田監督が手がけられた『聲の形』のスタッフ陣が集まっていますが、打ち合わせではどんなことを話しましたか?
 1本の独立した映画を作りましょう、というお話をさせていただきました。私はTVシリーズに関わっていましたから、スピンオフの作品として、大事に制作したいという思いはあり、そこはスタッフみなさんに信じていただいた形ですね。

――メインスタッフのみなさんとは、お付き合いも長いですよね。
 そうですね。脚本の吉田(玲子)さんは、もう10年近くの付き合いになります。いい意味で、つかず離れずの関係なのかなと思いますね。ただ、いまだに吉田さんと仕事をするときは緊張しています。「私と仕事をすることをどう思っているんだろう」と感じて、お会いするたびに愛を確認しようとするのですが、めんどくさがられているんじゃないかと不安です(笑)。

――キャラクターデザインの西屋太志さんとは、『聲の形』が初めてですか?
 そうですね。実際にご一緒してみると、絵の力のすごさに気づかされました。しかも、フィルムになって動き始めると、さらに胸を打たれるんです。西屋さんの心配りや気配りが線1本からにじみ出ていて、完成が楽しみなんです。

――牛尾憲輔さんが作られる音楽には、どんな魅力を感じていますか?
 音楽自体が映像になっているところが、すごく大きな魅力ですね。浸透率がすごいんです。自分が演出を始めたときから、ずっと牛尾さんのソロユニット「agraph」の音楽を聴いていて、勝手に自分の演出作法に近い印象を抱いたんですね。ですから、一緒にお仕事をすることになっても「話さなくても通じる」みたいな気がしています。

 みぞれと希美の関係性について、そして物語の鍵となる「リズと青い鳥」という楽曲についてなど、しっかりと語ってくれた山田監督のインタビュー全文は、2018年4月10日(火)発売の『アニメディア5月号』で!

 また、「超!アニメディア」の4月の描き下ろしTOPイラストはリズと青い鳥』のみぞれと希美。みぞれ役・種﨑敦美と希美役・東山奈央との特別対談前編も公開中だ。こちらもあわせてチェックしてほしい。

▶【インタビュー】『リズと青い鳥』みぞれ役・種﨑敦美×希美役・東山奈央スペシャル対談[前編]-「台本を最後まで読み切ったときは泣いてしまうほどでした」


<映画『リズと青い鳥』情報>
421日(土)より全国劇場で公開

◆あらすじ  
北宇治高校吹奏楽部に所属するオーボエ担当の鎧塚みぞれフルート担当の傘木希美。2年生のころ、退部していた希美が部に戻り、ふたりは3年生になった。そんなふたりが出場できる最後のコンクールの自由曲は「リズと青い鳥」。オーボエフルートのソロの掛け合いがあるこの曲に、希美は「自分たちのようだ」と屈託なく告げる。しかしみぞれは、「リズと青い鳥」のようにいつか来る別れを恐れ、ふたりの歯車は噛み合わなくなっていく。

◆スタッフ
原作:武田綾乃(宝島社文庫『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』)
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
キャラクターデザイン:西屋太志
美術監督:篠原睦雄
色彩設計:石田奈央美
楽器設定:髙橋博行
撮影監督:髙尾一也
3D監督:梅津哲郎
音響監督:鶴岡陽太
音楽:牛尾憲輔
音楽制作:ランティス
音楽制作協力:洗足学園音楽大学
吹奏楽監修:大和田雅洋
アニメーション制作:京都アニメーション
製作:『響け!』製作委員会
配給:松竹

公式サイト
http://liz-bluebird.com/

公式Twitter
https://twitter.com/liz_bluebird

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会