今年4月5日ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)に所属するアイドルユニットアンジュルム」のリーダー和田彩花が、「皆さまへ」と題したブログアップし、来年のツアーをもって、アンジュルムおよびハロー!プロジェクト卒業すると発表した。

 2009年に結成された同グループ(当時のグループ名は「スマイレージ」)における一のオリジナルメンバーであり、50名をえる規模のハロプロリーダーも務めていた和田卒業は大きな話題となった。そして、その事実と合わせ、彼女ブログで吐露した思いは実に印的で、ネット上でも多くの反があった。そこでられた思いは、熱く、強く、読む者の心を揺さぶるものであったからだ。

 まず、彼女は問いかける。

「いつまでもみんなと夢を追いかけることはできないのだろうか?」

 ここの「みんな」とは、メンバーのことであり、広くファンの意味合いも含んでいるかもしれない。つまり、アイドルユニットとしていつまでも活動していくことはできないのか、ということだ。

 結論を急ぐなら、答えは「できない」だ。

 理由のひとつは「アイドル」というものが、多くの場合、夢に向かって成長を続ける少女(あるいは少年)たちのその過程を表したものであるからだ。彼女たちが成長し、大人になってしまえば、もうその姿は別なものに形を変えていく。アイドルという存在自体が、限りある時間の中に存在しているのだ。

 そしてもう一点重要なのが、「夢」という言葉だ。「夢がう」と「夢に破れる」。人が生きていく過程で、夢を持つことで結果が出てしまう。

 いずれの場合も、その後に、次の夢を見つけることはできるだろう。しかし、それが複数人で共有するものであった場合、必ずしもひとつの方向を向くとは限らない。こうした矛盾を、彼女は敏感に感じ取ったのかもしれない。そして彼女は、グループの夢ではなく、自分自身の夢に向かい、歩き出す決断をする。それが今回の卒業本質だと思う。

 この「グループの夢」と「自分の夢」については、他にも感じることがある。

 彼女卒業発表とほぼ同じ頃、NHK有働由美子アナウンサーが局を退職したニュースが流れた。全く別の世界で、世代も違う二人の「卒業」劇に、私は何か似たような思いを感じた。

 有働アナは、NHKチーフアナウンサーだった。情報番組『あさイチ』のキャスター3月いっぱいで卒業したものの、局に残れば管理職のも開けていたことだろう。しかし、彼女は「現場取材や勉強をしたいので、組織を離れる」という決断をした。

 つまり、彼女たち二人は、どちらも「全体としての夢」をえることよりも、「自身の夢」を追うことを選んだということだ。

 これは、多くの人が経験することだ。会社の中で組織人として出世するか、専門職として自身のスキルを高めるかの決断はよくあることだし、結婚をして家族を持ち、その幸せを守ることに生きがいを感じる、つまり「みんなの夢」を選ぶ人も多いことだろう。

 もちろん、どちらの選択が正しいということではない。たぶん、幸せはどちらのにだってある。ただ、その選択に至る過程と、自身の心情、それらと向き合い、結論を出すに至った和田の姿は、とてもすがすがしいものだった。だからこそ、このブログには多くの反があり、采が寄せられたのだと思う。

 そして、文章は続く。

「『アンジュルム』は、私がグループから抜けたとき(オリジナルメンバーがいなくなり)本当の意味でアンジュルムになる」

 先に書いた通り、アンジュルムは14年にグループ名をスマイレージから変更した。これは、和田卒業によって、結成時のメンバーがいなくなることを表した言葉だろう。実は、ここにもまた大きな意味がある。ハロプロ歴史、それは変わり続けることの繰り返しであったからだ。

 モーニング娘。をはじめとしたユニットメンバー入れ替えやグループ名の変更、細かいことを言えば、曲調や歌われるテーマの変遷、フォーメーションダンスを取り入れるなどのステージングの進化など、その姿は常に新しいものへと変わっていった。それをここまで大掛かりに、そして継続的にやってきたのは、ハロプロという存在を、生き残らせるためだ。時代は常に清新さをめている、ならばそれに応えるのが、エンターテイメントの宿命だということを実践してきたのだ。

「生き残るのは強いものではなく変化できるもの」そんな言葉通り、アンジュルムは変わっていくことで、引き続き歴史を作っていくことになる。和田は本的にそれを感じていたのかもしれない。

 そして、ブログの終盤で彼女は言う。

「私たちはそのような環境の中で青春を過ごし成長していくのだと思います」
「そう、きっと青春なのです」

 どういうに進めばいいのか、どこへ向かって行けばいいのか、悩み、迷うこと。それこそが青春だと彼女は気付いたのだ。この言葉の意味を説明するのは、野暮なことかもしれない。それでもあえて言わせてもらうならば、自分自身と向き合い、どう生きるかを問いかけること、悩むこと、苦しむこと。後に振り返った時に、それこそが「青春」そのものであったことを知るのだろう。

 アイドルという夢を追い、上をし続ける彼女たちにとって、「青春」と「アイドル」はほぼ同義だ。そのくも魅惑的な時間の中にあっては、なかなかその大切さに気付かない。

 それを彼女が実感したのが、「卒業」というを選んだ結果だというのは、皮なことかもしれない。

 いずれにせよ、卒業まであと一年ある。逡巡の果てに結論を出した彼女に、もう迷いはない。大きな決断と、踏み出した大きな一歩。待ち受ける大いなる未来に進む、彼女を見届けたい。それはきっと、私たちが彼女を通して見ることができる、青春きそのものであることだろう。
(文=プレヤード)

和田彩花 オフィシャルブログより