新生活が始まる4月。この時期だからこそ、自宅の災害グッズを見直してみませんか? 震災直後に防災グッズをそろえたものの、定期的に更新しないと「いざというとき使えない」なんてことも。特に非常食は賞味期限がありますし、毎年新しい商品も開発されています。非常食を更新する場合、どんなものをそろえたらよいのでしょう? 実際に人気の非常食を食べ比べ、専門家にアドバイスをもらいました。防災用品というと、一般的には「最低3日分」はそろえるべきだといわれていますよね。あなたはどんな食材をストックしているでしょうか。7年前の東日本大震災の後に水や乾パンカップラーメンレトルト食品などをそろえた人も多いでしょう。でも、もしかしたらそれから一度も更新してない……なんてことはありませんか? 

災害用の非常食、いざというときの賞味期限切れを防ぐために提案したいのが、東日本大震災があった3月を定点として賞味期限1年以内のものを消費し、補充すること。

これから防災用品の更新をする方のために、今補充したい非常用食品を食べ比べてみました! まずは各種の防災ショップランキングチェック売れ筋の商品と総合情報サイト All About「防災」ガイドである和田 隆昌(わだ たかまさ)さんにお聞きした災害食のポイントとあわせて、気になる非常食をいくつかピックアップしました。

これなら平時でも食べたい!?人気の非常用食品を実食!

非常時に役立つ食料のポイントは、和田さんによれば「調理が簡単で栄養が高いもの。加えて災害時には野菜が手に入りにくいのでビタミン・繊維質のとれるものもストックするとよい」とのこと。その観点から選んだのは次の6つの食品です!

井村屋 えいようかんチョコ味)
55gx5本 600円(税抜)賞味期限3年3カ月(※以下、賞味期限は全て製造日から数える)

井村屋といえば肉まん、あんまんや、夏場の定番アイスあずきバー」などでも有名ですよね。その井村屋がようかんを非常食に応用した食品を出しているんです。今回は子どもでも食べやすいチョコ味をチョイスしました。原材料にはカカオも入っていますが、メインは生あんの「チョコようかん」です。

5本入りなので1本120円ですね。パッケージはコンパクト(写真撮影/蜂谷智子)

さっそく実食してみます! 今回は商品の一番のポイントである携帯性を確認するために、あえて外で歩きながら食べてみました。

片手で食べられるので、山登りの栄養補給なんかにもよさそう(写真撮影/蜂谷智子)

確かに片手で持ちやすいですね。カロリーメイトと違ってボロボロ落ちないので歩きながらでも食べられちゃいます。被災時は長距離を歩いて避難しなければならないことも多いはずなので、これは助かりそうです。

味は、ようかんというよりもチョコに近く、あっさりした感じ。子ども時代に食べた「チョコベビー」や「アポロ」の味が近いかもしれません。これならようかんが苦手な人や子どもでも、食べやすいと感じました。食感は一般的なようかんよりも柔らかめでトロっとしています。水無しで食べられるようにする工夫なのでしょう。

これ1本で200キロカロリー。なかなかのカロリーですから、1本食べたらかなりお腹いっぱいになりました。いざというとき持ち出す食材は省スペースなことも大切。その観点からもオススメできます。

ボローニャ 缶deボローニャ
3缶セット 1,500円(税抜) 賞味期限3年3カ月

ボローニャは京都祇園発祥のデニッシュパンのお店。行列のできるパン屋・舞妓さんも並ぶパン屋として人気になり、全国区に。そのお店が非常食を出しているのだから、おいしくないはずがありません。今回はチョコメープルプレーンの3つの味をパッケージしたタイプチョイス

まるで菓子折りみたいな高級感あふれるパッケージ。実際にプレゼントにしてもいいかもしれませんね。箱をあけると、これまた上品なデザインの缶が並んでいます。

まるで菓子折りのようなパッケージ(写真撮影/蜂谷智子)

缶の中身はパン。チョコメープルプレーン3つの風味(写真撮影/蜂谷智子)

メープル風味を試食。一般的に売られているボローニャの「デニッシュ食パン」に比べたらしっとり感は落ちますが、メープルの風味も豊かで非常食とは思えません。この味が3年も維持できるというのは、すごいですね。1缶500円と、お値段的にもラグジュアリーですが、災害時にこのパンが食べられたら、心の慰めになると思います。賞味期限が迫って家で食べることになっても、おいしくいただけると保証できます。

朝食やおやつにぴったり(写真撮影/蜂谷智子)

尾西食品 アルファ米「白飯」
100g 280円(税抜)賞味期限5年

ハウス食品「温めずにおいしい野菜カレー
200g 280円(税抜・編集部調べ)賞味期限約5年

簡単に食べられる食事として定番のカレー。今回は、尾西食品のアルファ米にハウス食品の非常用カレーをあわせました。アルファ米は水でもつくれるのと、賞味期限が5年もある点が災害用として優秀。カレーは温めずに食べられるところがポイントです。

どちらも火を使わずに食べられる(写真撮影/蜂谷智子)

まずご飯をつくります。お湯でも水でもつくれるのですが、今回はあえて水を使いました。お米はフレーク状。レトルトと違ってかなり軽いので持ち出すのにも良さそう。まるでオートミールのようで、水を入れるとドロドロになってしまうのではないかと心配に。

フレーク状でカサカサしたお米が……(写真撮影/蜂谷智子)

水を入れてジップを閉め、1時間放置します(お湯なら15分でOK)。するとお米がむくむく膨らんでちゃんと粒が立っている状態に!

水を入れるとかなり膨らむ!(写真撮影/蜂谷智子)

このお米をカレーと合わせれば即一食が完成。カレーは常温でも油が浮いてないところが良い感じ。ですが、個人的に味はちょっと薄めに感じました。カレーは人によって味の好みが分かれるところ。通常のレトルトカレーでも大体1年ぐらいは賞味期限があるので、毎日の生活で頻繁に消費するのであれば、代替できそうです。いつも食べているレトルトカレーを冷えた状態で食べてみて、味を確認しておくとよいかもしれませんね。

アルファ米は持ち出しによし、ストックするにも場所を取らないのが素晴らしい。製造会社である尾西のアルファ米は、味つきご飯やおにぎりなどのバリエーションもあります。

こんな感じで、夕食の一品にもなる(写真撮影/蜂谷智子)

杉田エース IZAMESHI Deli(イザメシデリ) 名古屋コーチン入りつくねと野菜の和風煮
210g 500円(税抜) 賞味期限3年

次はオフィス防災EXPOで「第1回 日本災害食大賞」美味しさ部門のグランプリに選ばれた一品。杉田エース保存食ラインナップが豊富で、今回食べた名古屋コーチンの他にも「トロトロねぎの塩麹チキン」「ごろごろ野菜のビーフシチュー」など、カフェ飯と見まごうようなラインナップ。さすが「IZAMESHI Deli(イザメシデリ)」。ブランドの名前からしおしゃれですね。

まるでおしゃれスーパーで売っていそうなパッケージ(写真撮影/蜂谷智子)

さっそく袋から出してみましょう。和田さんによると「災害時には野菜不足になりがち」とのことなので、根菜がゴロゴロと入っているのがうれしいですよね。化学調味料無添加で、優しい出汁の味がします。冷えたままでもおいしくいただけました。

「非常食」の概念から外れた味。気になるポイントがあるとすれば、価格が少しお高いのと、家族全員の分を備蓄すると場所をとりそうなことぐらいでしょうか。

だしの効いた薄味(写真撮影/蜂谷智子)

カレーと同じアルファ米とあわせて(お惣菜は半量)(写真撮影/蜂谷智子)

戦闘糧食II型 あつあつ防災ミリメシ「牛丼」
210g 1400円(税抜・編集部調べ) 賞味期限3年

東日本大震災の洪水の被害にあった方のお話をうかがったとき「温かい食事ができたとき、やっとほっとできた」とおっしゃっていました。そこで火がなくても温かく食べられる加熱剤つき非常食をお試し! こちらは実際に航空自衛隊でも活用されている、いわゆる「ミリ飯」です。

パッケージ萌え絵(なぜ……笑)ですが、箱を開ければ真面目な仕様。食器も含め必要なものは全て入っています。

なぜか萌え絵パッケージ(写真撮影/蜂谷智子)

なかには具材と白飯、加熱剤や食器など(写真撮影/蜂谷智子)

食べる前に加熱剤で温めます。加熱剤のパッケージを開けて、「サバイバルヒーター」という袋の底に入れ、上に白飯と具材を入れて水を入れます。すると「シュワー!!」と音がして、水から泡が! 「サバイバルヒーター」の穴から熱い湯気が出てきて、“今まさに温めている”ことを実感できます。

20分ぐらいで温めは終了。白飯と具材をお皿に入れたら温かい牛丼の完成! 具材は煮込んだネギがトロッとしていてお肉はホロホロ。少し甘めの味付けで元気がでそう! やはり、温かいご飯はおいしいですね。

水を加えると木炭っぽい匂いがします(写真撮影/蜂谷智子)

屋外でも温かいご飯が食べられるので、ちょっと肌寒いお花見にも最適(写真撮影/蜂谷智子)

非常用ではない調理済み食品も活用できる!

ここまで人気の非常食を食べ比べてみましたが、だんだん非常食と普通食との境目がなくなって来ている印象がしますよね。こういった非常食によって、いざというときにもおいしく食事ができるのはうれしいものです。

一方で、防災の専門家の和田さんによると、非常用ではない調理済み食品も非常食として上手に活用するのがおすすめだそう。

「特別なものをそのために用意する、ということではなくて“日常備蓄”あるいは“ローリングストック”と呼ばれる方法がおすすめです。日常使っている缶詰やレトルト食品を少し多めに用意して、日付の古い物から使って行き、常に補充します。これを習慣化した上で、災害時に特化した非常食を定期的に補充していけば、困ることはないでしょう」(和田さん)

なるほど。非常用の食料は正直いって少し高価ですし、普段食べ慣れているレトルト食品を非常用にも活用できれば無駄がなさそうです。一方で火がなくても調理できるものや、携帯に優れ栄養価の高い食品は非常食ならでは。技術が進化してより高機能なものが増えているので、いざというときのために備蓄しておきたいですね。

「また、保存方法としては“非常袋に入れる物”“と”自宅で避難生活を送るために必要な備蓄食料“にきちんと
わけて用意しておくことも大事です。非常持ち出し袋に大量の食糧を入れると避難の妨げになりますので、携帯性に優れ、簡易に調理できるもの、そして栄養豊富なものに絞りましょう。非常持ち出し袋は玄関付近の目の付くところに用意し、非常時にすぐ持ち出せるようにしておきます。自宅の備蓄食料は、普段でも食べたくなるようなものやレジャー・旅行にも使える物を選んでおき、定期的に入れ替える日を決めておくとよいですね」(和田さん)

最後に和田さんが強調するのは、食料以上に重要なのは水の備蓄だということ。1日1人3リットル(生活用水含む)最低でも3日分以上は準備しておいたほうがよいそうです。また非常用持ち出し袋には500mlのペットボトルを2本程度入れておくのが目安だそうです。

ひとことで非常食といっても、必要なシーンはひとつではありません。それぞれのケースを想定して備蓄用の食料を買いそろえることが必要なのですね。購入の際は、ぜひ今回の食べ比べを参考にしてみてください。

●取材協力
・総合情報サイト All About「防災」ガイド 和田 隆昌(わだ たかまさ)
(蜂谷智子)
写真/PIXTA