エカテリンブルクは改修で人気アップ 「雰囲気が面白いかもしれない」

 第21回目を迎えるFIFAワールドカップ(W杯)は、史上初の東欧開催となるロシア6月14日に幕を開ける。試合会場は既存のものもあれば、開催に合わせて新規で建設する場合もあるが、ロシアでは全11都市に散らばる12のスタジアムを使用。半分にあたる6会場が2018年オープンとなっている。W杯やオリンピック開催で課題となる大会後のスタジアム活用について、ロシア紙「スポーツ・エクスプレス」が取り上げている。

 記事では、「ワールドカップ2018のスタジアム:不要にならないための方法」と題して特集。「新しいアリーナのおかげでロシアサッカーイメージは大きく変わるだろう。しかし、W杯後にどう上手く利用していくかがとても大事なポイントになる」としている。

 最初に挙げられたのは、エカテリンブルクの「エカテリンブルク・アリーナ」だ。地元のプロチームFCウラルの本拠地として1957年オープン。ソ連時代からの装飾がそのまま残されるなど伝統的な建築物として知られているが、W杯のためにサッカー専用スタジアムへの変更、1万人規模の増設と屋根設置を行った(過去に改修工事は数回実施)。

 2017年に再オープンした同アリーナは、今年4月1日リーグ第24節FCウラル対ルビン・カザン戦では1万8218人が来場。記事では、改修前のFCウラル戦平均観客数が4653人だったことに触れ、「新しいアリーナは古くて寒い旧会場より人気がある。観客にとって、最初は試合よりアリーナの雰囲気が面白いかもしれない」と言及している。W杯では6月24日に行われるグループHの日本対セネガルの一戦など計4試合を開催。大会後はこれまで通り、FCウラルの本拠地として使用される。


2部、3部リーグの試合で使うのは「もったいない」

 4月15日オープンしたばかりなのが、ロシア南部最大の都市ロストフの「ロストフ・アリーナ」だ。ロシア1部のFCロストフの本拠地として、同日リーグ第26節のFC SKAハバロフスク戦が開催された。同会場ではグループEのブラジルスイスをはじめ、決勝トーナメント1回戦(グループG1位対グループH2位)も行われる。

 今回W杯のために作られたアリーナがある半分の都市は、ロシア1部のプレミアリーグに所属していないという。建設が最も遅れているとされる「サマラ・アリーナ」は、2部リーグに所属するクリリャ・ソベトフ・サマラの本拠地となる予定。記事では、現在使用しているメタルルグ・アリーナ2000年代に3万5000人を集客したことを紹介し、「サマラは間違いなくサッカー都市。W杯後の心配はいらない。クリリャ・ソベトフ・サマラは2部リーグにいるが、プレミアリーグに戻れるはずだ。宇宙船に似ている新スタジアムは国内リーグ戦でも満席になる可能性が高い」と展望している。

 また、ポーランドリトアニアに挟まれた飛地カリーニングラードのスタジアムも同様のようだ。2部リーグに所属するFCバルチカ・カリーニングラードの本拠地となる予定で、オープン後初の“テストマッチ”となった4月11日リーグ第32節クリリヤ・ソベトフ・サマラ戦では1万5000人近い観客が集まった。

 一方、ニジニ・ノブゴロド・スタジアムは、4月15日に2部リーグFKオリンピエツ・ニジニ・ノブゴロド対ゼニト2の試合がこけら落としとなった。FKオリンピエツ・ニジニ・ノブゴロドはFCバルチカと同じく2部リーグだが、現在15位と残留争いを繰り広げており、3部に降格する危険性がある。また、ヴォルゴグラードのFCロトルも2部16位に沈み、サランスクのFCモルドビア・サランスクに至っては現在3部リーグだ。記事では、今後の課題について指摘している。

「W杯のスタジアムが2部や3部リーグの試合で使われるのはもったいない。FKオリンピエツ、FCロトル、FCモルドビアが大きく発展するためにはお金が必要だ。新しいアリーナは投資家を見つける大チャンスだが、クラブは自分たちのレベルも上げなければならないだろう」


ソチは気候のアドバンテージを生かせるか

 W杯で使用される12チーム中、2014年に冬季五輪が開催されたソチは少々事情が異なる。ソチにはプロサッカークラブがないのだ。かつて3部リーグに所属していたFCソチが2017年6月のFIFAコンフェデレーションズカップ前にスタジアムの「フィシュト」(2013年オープン)でテストマッチを行うも、2017年6月に一年間の“休息”を発表。今季フィシュトを使用したクラブはないが、記事では「フィシュトは大きなアドバンテージがある。ソチは一年中温かく、冬でも試合ができる」と寒さが厳しいロシアのなかでも強みがあるとしている。

 記事によれば、ロシア政府はW杯終了から2年間は、地方スタジアムを財政的にサポートする予定だという。

ロシアW杯のために作られたアリーナは、誰にも必要とされない“コンクリートの怪獣”、2010年大会と2016年リオ五輪のようにしてはいけない。スタジアムがお金を稼げるのは試合だけではない。例えば、カザン・アリーナにはアイスホッケースクール自動車博物館バイクの店舗がある」

 果たして、ロシアW杯は大会後もスタジアムを活用できた“成功例”として名を刻むことができるだろうか。


Football ZONE web編集部)

エカテリンブルクの「エカテリンブルク・アリーナ」【写真:Getty Images】