日本のみならず海外でも人気がある漫画『NARUTOナルトー』が歌舞伎として2018年8月、新橋演舞場で新作上演される。うずまきナルトを坂東巳之助、うちはサスケ中村隼人が演じる。4月27日東京都内で行われた製作発表記者会見の様子を写真とともにお伝えする。

うずまきナルトを演じる坂東巳之助(右)、うちはサスケを演じる中村隼人

うずまきナルトを演じる坂東巳之助(右)、うちはサスケを演じる中村隼人

 

NARUTO-ナルト-』は落ちこぼれ忍者の“うずまきナルト”が忍術修行や敵との戦いに挑む、忍者バトルアクション物語で、国内ではシリーズ累計1億4千万部、海外でのコミックス累計発行部数は9500万部以上を誇る超人気作だ。

今回新作歌舞伎として上演されるわけだが、歌舞伎の登場人物をもとにしたキャラクターである“自来也(じらいや)・大蛇丸おろちまる)・綱手(つなで)”による蝦蟇(がま)・大蛇(だいじゃ)・蛞蝓(なめくじ)の三すくみ場面や、九尾封印の謎、うちは一族にまつわる因縁、秘密結社「暁」と仮面の男の野望など、物語全体のテーマに通じるエピソードも盛り込むという。バトルアクションだけではなく、“うちはサスケ”との友情や、ナルトに秘められた父母の試合なども描かれる予定だ。

子どもの頃憧れていたヒーローを演じられる喜び

坂東巳之助

坂東巳之助

 

うずまきナルト役を演じる坂東巳之助は「まだ10歳の頃、祖母の家に遊びに行って、帰る時に駅の構内にある本屋さんで買ってもらった。それが『NARUTO』との出会いでした。20年近い歳月を経て、私がナルトを務めさせていただく。これほど嬉しくて感動的なことはないと感じております」と思い出を語る。

二枚看板である中村隼人については、スーパー歌舞伎ワンピース』のサンジとゾロでの共演のほか、歌舞伎鑑賞教室など「同世代の中では珍しいレベルでの共演が多い」(巳之助)という。「中村隼人と組んで、ナルトサスケという二人の物語が描けることは本当に嬉しく思います。この喜び、感謝の気持ちを忘れないようにしながら、8月を迎え、千秋楽まで大勢のお客様に喜んでいただけるよう精一杯頑張りたい」と決意を述べた。

 

うちはサスケを演じる中村隼人も小さい頃から原作を読んでいたといい、「昔自分が憧れていたヒーローや好きだった漫画を、自分たちが、しかも歌舞伎で上演することができるのは嬉しいです。また、時代の変化なのかなと感じております」と話す。

そして「今回は、巳之助兄さんと二人で看板としてやらせていただくことになったので、僕自身お兄さんから教わることがあると思うんですけど、お互い刺激を与えながら一緒に舞台を務められればなと思っております」と意気込んだ。

頭から最後までナルトとサスケの関係性を全て描く

松竹の安孫子正・副社長/演劇本部長

松竹の安孫子正・副社長/演劇本部長

 

松竹の安孫子正副社長は『ONE PIECE』の歌舞伎上演で様々な反響があった中で、『NARUTO-ナルト-』という作品も国内外で人気が高い作品であることを知った、と述べた。

そして「これからグローバルな世界になるので、古典の歌舞伎を海外で上演することはもちろんありますが、新しい時代の歌舞伎というものを日本で作り上げて、外国に持っていけたらいいなと思っております。大きい夢を持って進んでいきたい。歌舞伎はきちんと古典を守っていくということが大事ですが、同時にその時代にあった新しい歌舞伎を作るという両輪があってこそ。素晴らしい作品を作っていきたいです」とその構想を語った。

脚本・演出のG2

脚本・演出のG2

 

脚本・演出を務めるのはG2。新作歌舞伎『東雲烏恋真似琴(あけがらすこいのまねごと)』で大谷竹次郎奨励賞を受賞し、『嵐が丘』や『ガラスの仮面』の舞台化など、上演が難しい長編作品を巧みな構成と演出力で成功させてきた実力派だ。

G2は「全72巻という膨大な長さだが、1ページ1ページに岸本先生の情熱が込められており、読み返せば読み返すほどそれが伝わって来ます。今後の歌舞伎界を背負うであろう若いお二人が活躍し、同時に大先輩方の力を存分なく発揮する舞台を作ることを考えますと、正直プレッシャーですが、ものすごく楽しみです。絶対にいいものが作られるにちがいないと期待感に満ちております」と自信を見せる。

上演箇所については「全部です。頭まで最後まで、ナルトサスケの関係の全てを描いていくことを目標にしています。歌舞伎のけれんも含めつつ、原作の持つドラマ性やキャラクターの深さも深めて、何よりも人と人の絆というテーマがくっきり浮かび上がるようにしたいです」と話した。

「『ワンピース』を超えてみせる」

会見では、うちはマダラを演じる市川猿之助と片岡愛之助の短いビデオメッセージが放映された。猿之助は「二人の前には『ワンピース』という非常に高い山がそびえ立っております。見事に超えてください」、愛之助は「お二人とも全力でかかってきてください。私も全力で立ち向かいます」と話し、それぞれに激励した。

それを受けて、巳之助は「『超えろ』と仰ってくださることがすごく嬉しく思います。超えてみせます。お二人が、マダラという敵役で出てくださること。こんなに嬉しくありがたいことはございません」と宣言。

隼人も「このお二人が出演してくださると聞いた時は驚きました。愛之助兄さんは優しくて大きい方で、新作にも慣れている。いろいろなことを吸収しながら、(役として)倒しに行きたいと思います。猿之助兄さんはずっと近くで勉強させていただいた。超えろというのは恐れでもあるけれど、よじ登ってよじ登って超えたいな思います」と話した。

岸本斉史「なんの迷いも不安もない!思うがままに演じて」

うずまきナルトを演じる坂東巳之助(右)、うちはサスケを演じる中村隼人

うずまきナルトを演じる坂東巳之助(右)、うちはサスケを演じる中村隼人

 

会見では、原作者である岸本斉史からのメッセージが代読された。

 坂東巳之助さん、中村隼人さんおふたりにお会いしてとても嬉しかったのは、お二人共がナルトサスケの両方を知って頂けていて、そのキャラクターの差というものを理解してくださっていたことでした。その後驚いたのは巳之助さんのナルトと隼人さんのサスケ、その両方の新ビジュアルの全身を後で拝見した時でした。

 僕の描いた歌舞伎用のナルトサスケカットキャラクター共に、新ビジュアルのおふたりの立ち姿と足の構えが偶然にも一致したのです。

 それはつまり、おふたりと僕の中のナルトサスケキャラクターに対する捉え方にズレが無いと言う事です。

 たった1枚ずつのシンプルな立ち姿にすら、そこにはちゃんとナルトサスケの差があり、2人のキャラクターがいました。シンプルな立ち姿も芝居、キャラクターを理解して頂けていなければそのポーズは出ない、その事がなによりも嬉しかったです。巳之助さん隼人さんが演じられるナルトサスケになんの迷いも不安もありません!そしてカッコいい衣装!歌舞伎と驚くほどマッチした『NARUTOナルト−』の世界観!思いっきり思うがままに演じてください!

 

和楽器バンドによる楽曲提供も決定

坂東巳之助

坂東巳之助

 

また、詩吟・和楽器ロックバンドを融合させた新感覚ロックエンタテインメントバンドの『和楽器バンド』が本作に楽曲提供をすることも発表された。和楽器バンド鈴華ゆう子からのコメントも代読された。

 歌舞伎とのコラボレーションはとてもやりたかったことでしたので、この度お声がけいただき大変光栄です。和楽器バンドサウンドが必要だと仰っていただき、相思相愛が実現した形となります。またこれまで海外を訪れる度に『NARUTOナルト−』の人気の高さを実感しており、日本を代表する作品に私たちが音楽で関われることに、昔から『NARUTOナルト−』が大好きなメンバー一同興奮しております。多くの皆さんに楽しんで頂けたらと思います。

 坂東巳之助さん!中村隼人さん!

 歌舞伎×和楽器バンドで魅せる今まで誰も見たことがない唯一無二のエンターテインメントの世界を作り上げましょう!沢山愛される作品となることを心より願っております。舞台見に行きます。

坂東巳之助

坂東巳之助

うずまきナルトを演じる坂東巳之助(右)、うちはサスケを演じる中村隼人