2位に躍進するチームのなかでリーグ戦3試合出番なし 現在は運動量強化にトライ中

 J1のFC東京は28日のリーグ第11節で名古屋グランパスを3-2で下し、今季二度目の3連勝で2位をがっちりキープ。前節には開幕9戦無敗(8勝1分)だったサンフレッチェ広島に初黒星をつけるなど、長谷川健太監督に導かれて上昇気流に乗ってきた。一方で、シーズン当初に“起爆剤”として投入されていたFW久保建英は、直近のリーグ戦3試合で出番がない。16歳の若き逸材が乗り越えるべき課題とは――。

 FC東京は開幕3試合でわずか1ゴール(その間は1分2敗)だったが、第4節湘南ベルマーレ戦(1-0)以降の8試合で18ゴールを挙げ、総得点19は堂々のリーグトップを誇る。得点ランキング1位を走るFWディエゴ・オリヴェイラ(9得点)がフィジカル&パワー、3試合連続ゴール中の元日本代表FW永井謙佑(4得点)がスピードで猛威を振るう、相性抜群の2トップは相手にとって脅威そのものだ。加えて、二人に関して言えば攻撃だけでなく、前線からの献身的な守備も忘れてはならないだろう。

 そして、好調のFWコンビを陰で支えるのが、サイドハーフのMF東慶悟とMF大森晃太郎だ。両者ともに労を厭わずハードワークを続け、チームに安定感と躍動感をもたらしている。過去の起用法を見れば、久保が出場する場合は2トップの一角ないしはサイドハーフだが、レギュラー4人が絶妙なバランスを保っているうえに、ベテランFW前田遼一アグレッシブさが売りのFW富樫敬真も控える状況でチャンスをつかむのは容易ではない。

 安間貴義コーチ(兼U-23監督)は、「タケは上手い」と久保の卓越したテクニックを認めたうえで、直面している現状について説明する。

「ただ、(大森)晃太郎と(東)慶悟のやっているあのポジションサイドハーフ)は、すごい運動量が必要。今はそれに対してトライしている」

「パスを引き出すくらいはっきり動いたり、信頼を勝ち取らないと」

 大森は今季リーグ戦全試合に先発出場し、平均プレー時間87.8分で走行距離10.549キロ(90分換算で10.813キロ)を記録。東も名古屋戦以外は全てスタメンに名を連ね、平均プレー時間80.1分で走行距離10.407キロ(90分換算で11.687キロ)という高い数値を残している。リーグ戦出場4試合はいずれも途中出場で、20分以上プレーしていない久保との単純比較は難しいとはいえ、プロ2年目の16歳に先輩級の持久力とインテンシティーを求めるのは現実的ではないだろう。

 久保は今、まさに「プロの壁」「J1の洗礼」と戦っているわけだが、安間コーチは「タケにとってはすごく良い時間」だと話す。

ジュニアユース、ユースではどうしてもポジションを与えられがち。でも、たとえどんなに上手い選手に対しても、健太さんはディフェンスや運動量を求める。だから、やることをやらなきゃ試合には出られない」

 安間コーチによれば、運動量や守備以外にも磨かなければいけない要素があるという。現在は前線にD・オリヴェイラという絶対的な存在がおり、チームメイトたちのファーストオプションは必然とブラジルストライカーになる。ある意味で、以前よりも“パスをもらえる確率が低い”状況を打開しなければ、たとえピッチに立っても久保は自分の持ち味を発揮しきれないのだ。

トップチームの練習やJ1公式戦を経験することで、コンタクトも強くなってきているし、運動量も増えてきている。ディエゴ(オリヴェイラ)がいるなか、チームサッカーが速くなるなかで、どうやってボールを受けるか。自分のところにパスを引き出すくらいはっきり動いたり、(周囲の)信頼を勝ち取ることを練習からやっていかないと」

 久保が日本サッカーの将来を背負って立つ才能を秘めているのは周知の事実。目の前の課題を乗り越え、レギュラーを奪取するほどのステップアップを遂げる姿が楽しみだ。(小田智史(Football ZONE web編集部) / Tomofumi Oda

チームは好調を維持するが、久保はリーグ戦ここ3試合で出番がない【写真:Getty Images】