なでしこジャパンの高倉監督が見守るなか、浦和L相手に2ゴールマーク

「舞!! 舞!!」

 5月12日に行われた、なでしこリーグ日本女子サッカーリーグ)1部の浦和レッズレディース対INAC神戸レオネッサ戦(2-4)の試合後、視察したなでしこジャパン(日本女子代表)の高倉麻子監督が労いの握手を求めた一人が、2ゴールを挙げてゲームヒロインとなったINACのFW京川舞だった。

 開始1分、敵陣のアタッキングサードボールを奪い、MF仲田歩夢の縦パスをMF増矢 理花がさばき、ペナルティーエリア内の京川の下へ。これに迷わず右足を振り抜いた一撃は、綺麗な弧を描いて相手ゴールに突き刺さった。

 見事なコントロールショットでのゴールチーム、そして京川自身もリズムをつかんだ。セットプレーでの失点で同点とされた直後の前半27分には、増矢、MF杉田妃和とのショートカウンターからゴール前でのこぼれ球をしっかりと詰めて勝ち越し弾。その後、杉田、FW高瀬愛実のゴールが生まれ、4-2と勝利を飾る“下地”を作った。

 2015年なでしこジャパンで、サイドハーフから未知のサイドバックにコンバートされるなど様々なポジションを経験してきた京川だが、年代別代表ではエースストライカーとして君臨してきただけに、本人としてもやはりトップの位置がしっくりくるようだ。

「自分の斜めに動いたり、ゴール前に飛び込むプレーは、今の位置(FW)でやることでより良さを出せているのかなと。1点目は一瞬の感覚が出た感じ。2点目もゴール前に詰めるというのはFWとして常に狙っているからこそのこぼれ球でした。相手の嫌がることが少しはできていると思うし、みんなとも流動的に良い距離感でできているので今はすごく楽しいです」

「岩渕さんが戻ってきたらもっと厳しい争いになると思うので…」

 鈴木俊監督やキャプテンのMF中島依美によれば、オフにベテラン選手が抜けたことで、京川や仲田といった中堅から若手選手に「自分がやらなきゃ」という自覚が芽生えたという。

 5月6日の前節マイナビベガルタ仙台レディース戦(4-0)に続く2試合連続ゴールを挙げた京川だが、さらなるステップアップのためにはもちろん課題もある。浦和L戦の前半36分にはハットトリックチャンスが巡ってきたが、左サイドからのクロスをワントラップしたために、シュートブロックされてしまった。女子アジアカップで大会MVPに輝いたFW岩渕真奈も鼻の骨折から戦列に復帰しただけに、“決め切る力”は試合に出続けるためには必要不可欠となる。

「あの場面はダイレクトで打とうかな、と迷って。やめてトゥーキックで相手が嫌がる感じでシュートを打とうとしたんですけど。考えると上手くいかないので、考えすぎない方がいいのかな(苦笑)。(4月29日リーグ第3節)ノジマ戦では(FW道上)彩花が出て点を決めて、今回は自分が代わって点を決めた。岩渕さんが戻ってきたらもっと厳しい争いになると思うので、ゴールは狙っていきたいですね」

「得点を重ねて高倉さんの目に留まるようなプレーができるように」

 これまで度重なる怪我で伸び悩んだ時期もあった京川だが、ピッチを縦横無尽に駆け回る今の姿には溢れんばかりのエネルギーと躍動感が感じられる。2016年7月21日スウェーデン戦(出場はなし)以来となるなでしこジャパン復帰も頭の中で見据えているという。

「最初、高倉さんがいらしていたのが全然分からなくて(苦笑)。やっぱり(なでしこの試合に)出たいし、常に狙っているところではあります。チームサッカーを楽しみながら、得点を重ねて高倉さんの目に留まるようなプレーができるように、とは考えています」

 同僚の岩渕、FW横山久美(フランクフルト)らなでしこジャパンの現主力の壁を越えることは決して簡単ではないが、京川が日の丸の舞台に戻ってくる日を多くの人が心待ちにしている。(小田智史(Football ZONE web編集部) / Tomofumi Oda

2ゴールを挙げてゲームのヒロインとなったINACのFW京川舞【写真:Football ZONE web】