グループステージ中に監督3人が指揮を執るも、勝ち点13で首位通過

 浦和レッズは16日に行われたルヴァンカップのグループステージ最終節サンフレッチェ広島戦で1-0の勝利を収め、勝ち点13でC組の首位通過を決めた。今季開幕から不振に陥った浦和は、今大会を3人の監督で2試合ずつ消化する激動の時を過ごしたが、終わってみれば力を見せる結果になった。

 浦和は今季、堀孝史監督の下でスタートした。ルヴァン杯では名古屋グランパスとの開幕戦に敵地で4-1の快勝を収めた一方で、続くホームでのガンバ大阪戦は1-4と大敗した。この間、リーグ戦でも結果が出ずに堀監督を解任。ユースチームの監督も務めていた大槻毅育成ダイレクターを暫定監督に据えた。

 その大槻暫定監督の初戦が、今大会の第3戦となる広島戦だった。オールバックの風貌にベンチから厳しい声で指示を出す姿も話題になるなか、敵地でスコアレスドロー。続く第4節のG大阪戦では、敵地で1-0の勝利を飾った。そして、この2試合を終えたところでクラブはオズワルド・オリヴェイラ監督の正式就任を発表した。

 そして、オリヴェイラ監督に率いられた浦和は第5節の名古屋戦、最終節の広島戦とホームで2連勝を飾った。三人の監督が得た勝ち点は、堀監督が3、大槻暫定監督が4、オリヴェイラ監督が6となり、結果的に4勝1分1敗の勝ち点13で首位の座を手にした。


「監督のやりたいことを明確に落とし込んで選手がピッチで表現できた」

 目まぐるしい戦いとなったが、日本代表DF槙野智章は三人の指揮官が率いるなかでも共通する良い部分がチームにあったと話している。

「どの監督も良かったのは、短い時間、練習する時間がないなかでも選手としっかりとコミュニケーションを取って、監督のやりたいことを明確に落とし込んで選手がピッチで表現できたこと。それが、大崩れしなかった要因だと思います。リーグ戦でチャンスがあまりなかった選手も、このルヴァンカップで奮起してアピールできたと思いますし、リーグ戦に出ている選手に刺激を与えた。監督が代わりながらも、ルヴァンカップで生まれた競争意識があったと思っています」

 その言葉の通り、このルヴァン杯ではFW李忠成とMF武富孝介、DF荻原拓也の三人が6試合全てに出場し、2ゴールずつを決めた。彼らはリーグ戦では多くのチャンスを掴んでいないが、監督が交代していくなかでもルヴァン杯での勝ち残りに大きな力になった。
広島戦で決勝ゴールを決めた李は「リーグでスタメンじゃないので、このルヴァン杯がチャンス。ここで敗退したら、そのチャンスがなくなってしまう」と、今大会に対する思いを話した。もともと選手層ではリーグ有数のクラブだけに、連戦も味方になったのだろう。

 一つの大会、それも2カ月半ほどの期間で三人の監督が指揮する異例の事態になった浦和だが、国内三大タイトルの一つであるルヴァン杯では可能性をつないだ。プレーオフステージでは、J2からの参加チームとして下剋上を狙うヴァンフォーレ甲府と対戦することになる。


(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

ルヴァンカップグループステージ中に、監督3人が指揮を執る激動の2カ月半であった【写真:Football ZONE web】