JR総武本線の終点駅の「銚子駅」(千葉県銚子市)。2018年3月末に、犬吠崎の灯台をイメージした真っ白な新駅舎にリニューアルした。その構内に5月19日から、無料で誰でも自由に弾ける「ピアノ」が常設される。

公共の場など、街なかに突如置かれたピアノは、「ストリートピアノ」とも呼ばれ、日本各地を含め、世界中で出現している。ピアノの音で道行く人の心が和んだり、知らない人同士がセッションするなどして人の輪が広がったりと、音楽が街を明るくする取り組みとして、話題を呼んだ。

Jタウンネットは、今回、銚子駅にピアノを設置する合同会社ハーモニーに問い合わせ、その経緯を聞いた。


有名音楽プロデューサーが発案

取材に応じてくれたのは、代表の向後功作さん。きっかけは、同社のもうひとりの代表で、音楽プロデューサーの山﨑進さんが、オランダ・アムステルダムの駅にあるストリートピアノの映像をテレビで見たことからだったと言う。

山﨑さんは、歌手の久保田利伸さんなど、数々の大物アーティストや人気アニメーションレコーディングを手がけてきた銚子出身者だ。

「最初に、『銚子駅でもストリートピアノやってみたい』と相談されたのは、今年の4月。さっそく、新しくなった駅を見に行ったら、内装が板張りでピアノの音がキレイに響きそうな空間が広がっていました」

すぐに駅長に相談したところ、「地元の方や観光で来た方、銚子駅を訪れるすべての人たちに楽しんでもらえるなら」とトントン拍子で話が進んだ。駅に置かれるのは、山﨑さんが高校生のころ両親に買ってもらったアップライトピアノで、場所は、コンコースからイベント広場に抜ける通路を予定している。5月19日午後4時からは、ピアノの設置を記念したミニコンサートが開かれる。

「地元で活躍しているアーティスト根本奈緒子さんによるピアノと、佐竹文子さんによるサックスの演奏のほか、みんなで歌うコーナーも予定していますので、多くの人に楽しんでもらいたいです」
銚子は音楽とのつながりが深い

誰でも自由に使えるといわれても、いざとなると尻込みしてしまいそうだが、どんな使い方が想定されるのだろう。

「待ちあいの時間にとか、ふらっと立ち寄る感覚で使っていただければと思います。奏でるのは、『ネコふんじゃった』でも『ドレミの歌』でもなんでもいいんです。上手くなくてもいい。ピアノの音が響く空間を、みんなで気持ちよく楽しんでもらいたいですね」

銚子の人たちは音楽とのつながりが深いと向後さん。

「以前、銚子市の中学や高校は、吹奏楽部の活動が盛んで、全国大会の常連校が多かったんです。その影響もあってか、個人でバンド活動をしたり、音楽サークルがいくつもあったりなど、音楽を楽しんでいる市民が多いように感じています」

実は、向後さん自身も、学生のときは吹奏楽部で、全国大会に出場した経験があるそうだ。

今回の「駅ピアノ」の設置を発表すると、さっそくライブやってみたいという問い合わせが来た。

「音楽をきっかけに、点が線になり、やがて面になるように、人々の交流が深まって町が元気になってくれればと思っています」

向後さんと山﨑さんは、今後も「音楽を通じて町を元気にする」取り組みを続けていく。

銚子駅に設置されるピアノ(画像提供/合同会社ハーモニー)