悲しむ女性

(spukkato/iStock/Thinkstock)

20年以上前、「地下鉄サリン事件」など数々の凶悪事件を起こした宗教団体・オウム真理教

その教祖、麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚の三女・松本麗華氏(35)はアーチャリーという宗教名で「後継者」と周囲に勝手に目されていた。

彼女が12歳のとき両親は逮捕。その後の人生について、29日放送『ザ! 世界仰天ニュース』(日本テレビ系)が特集し、大きな波紋をよんでいる。

■苦しみ抜いた幼少期

逮捕後、残された姉妹はバラバラに。麗華氏は教団に残ることになったが、その後は壮絶な人生が待っていた。

学校に行きたくても、両親が日本を震撼させた宗教の教祖であった彼女を迎えてくれる学校はない。マスコミに追われ何度も引っ越しを余儀なくされ、存在そのものを危険視され続けた。

離れた姉に久々に会うと、精神を病み、自傷行為を繰り返す姿を目撃。自身も何度も自殺を考えたという。

2000年にオウム真理教が消滅し後継団体が生まれたが決別。親代わりの女性信者のため、自立するよう勉強に励み、中学校卒業の認定を受け通信制の高校に通えるようになる。

■挫折と転機

その後も、素性を知られバイトをクビ、大学合格後も入学拒否をされるなど、「普通の人生」を求めながらも手に入らず、苦しみ続けた麗華氏。

しかし、陳述書を作成し裁判を経て入学拒否を取り消されてから、彼女の人生は劇的な好転を迎える。

1ヶ月遅れで入学したゼミ内では、事前に彼女の生い立ちについて議論を交わし、彼女を「友人」として迎えることを決断していた。はじめて教団以外の友人関係を築き上げられたのだ。

仲間と食事や飲み会に行くこともあったが、それでも「麻原の娘は普通の人にとって『モンスター』だから」すべてを晒すことはできない。

悩み続けた彼女だが「普通の幸せはどこにもない。死にたいくらい辛いなら死ぬ気で生きてみよう」と実名で手記を出版、顔を隠さずメディアに出演するなど「麻原彰晃の娘」として生きていくことを決めた。

■多くの人は複雑な想い

麻原彰晃の娘」だから迫害を受け、苦しみ抜いた麗華氏。榊原郁恵(59)は、VTRを見て「苦労して努力されたんだなとわかるけど、背景に教団や両親が見えるとどうしても拒絶反応はぬぐえない」と、当時を知るからこその複雑な心境を吐露。

視聴者も同様に、「許されない犯罪者の娘」だが「子に罪はない」という事実にさまざまな意見を持っていた。

■批判も多い

しかし、あまりにも非人道的な犯罪行為に走っていた教団だけに、当時を知る者からすれば、子に罪はないといえども彼女をおいそれと受け入れることは難しいようだ。

教団の問題点や犯罪行為に殆ど焦点を当てず、麗華氏側の悲劇・主張を中心にした番組の構成を問題視する声も少なくなかった。

■相手に迷惑がかかるから…

しらべぇ編集部で全国20〜60代の男女1,344名を対象に調査したところ、46.9%が「あまり人と関わらずに生きていきたい」と回答した。

人と関わりたくない性年代別グラフ(©ニュースサイトしらべぇ

「相手に迷惑がかかるから、結婚はあきらめている」とインタビューで語る彼女の姿が印象的だった。人に関わりたいが関われない、関わってはいけない、それが「麻原彰晃の娘」として彼女の出した結論なのかもしれない。

あまりにも悲しい、難しい問題を、彼女はこれからも一人で抱え続けていくしかないのだろうか。視聴者にも重い影を残す放送となった。

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(文/しらべぇ編集部・サバマサシ

【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」 調査期間:2017年12月15日~2017年12月18日
対象:全国20代~60代の男女1,344名 (有効回答数)

オウム真理教・麻原彰晃の娘 「モンスター」と恐れられた壮絶人生に衝撃