国内最後の壮行試合で課題噴出 本田、香川らも不発

 日本代表にとって西野朗監督の初陣となった国際親善試合ガーナ戦は、拭いきれない不安感を残す完敗となった。ロシアワールドカップ(W杯)メンバー23人の発表前日となる30日に行われた国内最後の壮行試合は、前後半のそれぞれ10分までに失点して0-2で敗れた。

 日本はこのゲームで3バックシステムを導入。主将のMF長谷部誠が中央に入り、DF吉田麻也とDF槙野智章が両脇を固めた。前線ではFW大迫勇也が1トップに入り、MF本田圭佑とMF宇佐美貴史が2シャドーに入る3-4-2-1システムでスタート。背番号「10」のMF香川真司とFW岡崎慎司はベンチスタートになった。

 日本は前半開始からわずか13秒で右サイドを崩され、あわや失点という場面を作られた。しかし、逆に自陣から宇佐美とのワンツーで抜け出したDF長友佑都が、大迫への正確なクロスを通してシュートにつなげる形も作り、双方がゴールへの意識を強く見せた。

 そうしたなかで、日本の失点はセットプレーから訪れた。同8分、ゴール正面の約20メートルで与えたFKを、ガーナMFトーマス・パーテイが直接狙った。GK川島永嗣の視線を確保するために空けていたMF山口蛍とMF大島僚太の間をインサイドで丁寧に狙って抜けてきたボールは、川島の手を弾いてゴールへ。名門アトレチコ・マドリードで今季リーグ33試合出場3ゴールとレギュラーを張る男の一撃が、日本の壁の作り方の問題も相まって先制ゴールとなった。

 その後は日本が、より攻撃的な姿勢を見せ、ガーナ陣内に入る場面を増やした。同33分には、ゴール正面約25メートルから本田が狙った直接FKが相手GKのファインセーブに阻まれ、そのプレーで得たCKから再び本田にシュートチャンスが訪れたが、GKの足下を狙ったシュートも弾き出されてゴールとはならなかった。

 流れの中から決定機と呼べるほどの場面を作り出せなかった西野ジャパンは、初陣の前半を0-1のビハインドで終えた。


後半途中から4バックに移行するなど手を尽くしたが…

 後半から西野監督は右サイドのMF原口元気に代えてDF酒井高徳宇佐美に代えて香川、大迫に代えてFW武藤嘉紀とシステムはそのままに3枚の交代枠を使った。すると開始1分で香川から左サイドに展開した攻撃が逆サイドに流れ、酒井高がつないだボールをMF山口蛍が中央に入れ、武藤がヘディングで狙うというチャンスを作り出した。その後も3分の間に香川がペナルティーエリア内で二度シュートに持ち込むチャンスを作ったが、ゴールにはならなかった。

 しかしその直後、最終ラインの背後に出たボールで長谷部が後手を踏み、飛び出してきた川島は相手FWに先にボールを触られたところを倒してしまいPKの判定。これをFWエマニュエル・ボアテングに冷静に決められ、同6分に0-2とビハインドが広がった。さらに1分後には自陣でボールロストし、パーテイに決定機を献上。これはシュートが枠外に飛んで事なきを得た。

 西野監督は同14分に本田に代えて岡崎、山口に代えてMF柴崎岳を投入し、同31分には長谷部に代えてMF井手口陽介を投入して4バックにスイッチした。しかし、ゴール前での際どいシーンは増えず、得点の匂いを感じさせない時間が流れ続けた。

 ベンチ入りを含め17選手でこの試合に臨み、大半の選手が2日前、2選手は前日に来日したガーナに対して運動量で優位に立った日本は、ボール保持率を圧倒的に高めたが得点にはつながらなかった。結局、課題が噴出するばかりになる厳しいゲームは、このまま0-2で終了した。

 4月7日にバヒド・ハリルホジッチ前監督を解任し、急きょ立ち上がった西野ジャパン。これが初陣とはいえ、3週間後に迫った本大会の初戦コロンビア戦に向けて拭いきれない不安感ばかりを残す国内最終戦になった。


Football ZONE web編集部)

日本代表、W杯前の国内最終戦は、ガーナ相手に0-2敗戦【写真:Getty Images】