海外古典の名作を現代の日本を舞台に焼き直した『モンテ・クリスト伯 ─麗なる復讐─』(フジテレビ系)も次週が最終回。9話での最終回に「打ち切りか?」と思われたが、次回は2時間スペシャルとのことで、ほぼ同じボリューム。視聴率も今回7.4ビデオリサーチ調べ、関東地区)とアップしているので、次週、有終の美を飾ってほしいところ。

 実の罪で投され、後に脱獄、手に入れた巨額の富と知識を武器に、自分をハメた友人らへの復讐に燃える主人公のモンテ・クリスト・を演じるディーン・フジオカは、世間から浮いた雰囲気が見事にハマり、現実感のない胡散臭さがよく似合う。褒めてます。

(前回までのレビューこちらから)

■死んでいなかった南條

 かつて、通報が投されるきっかけを作った南条幸男(大倉忠義・関ジャニ∞)は、そのから奪った最の妻・すみれ山本美月)にがバレたあげく、香港での修行時代に殺人事件に関与していることもバラされ、首をった。これが前回まで。

 しかし今回、その事件の被者の・エデルヴァ(南条幸男のマネジャー江田桜井ユキ)が直後に縄を切り、助けていたことが判明。原作では南条に当たるフェルナンは、真実バラされ、妻と息子ドラマではだが)に出て行かれ自害、という展開なのだが、ここまで原作に基本忠実なだけに、当然今回も展開を予想してくるであろう原作ファンを裏切り、ほくそ笑む脚本家の顔がに浮かぶ。果たしてこの「裏切り」は「裏切り」のままなのか?

 南条を助けたことを復讐仲間仲間というより上に近い)の激怒されるエデルヴァ。ガラスを割るほど昂する

「この間のために生き永らえてきたのではなかったのか!?

 助けてしまった理由は、南条明日からの電話で情が湧いたからということらしく、かつて親を殺された自分に置き換えてしまったのだろう。

 手切れとして100億円(!)の小切手を渡されたエデルヴァが、に問う。

さんは復讐が終わったらどうするつもりなんですか?」

幸せにはなれないんだと思います、人を不幸にしても!」

 に想いを寄せるエデルヴァは、の行く末を本気で心配しているようだ。

 しかし、同じ「傷」を持つエデルヴァに裏切られた(と感じた)は、睡する南条の病室にび込み、殺しかける。

 それに気づいたすみれ必死を止めつつ「どうしても殺したいなら私がやる」と言い切る。

 かつてを待てず南条の元へ行ってしまったという大きな罪悪感が、彼女をそうさせるのだろう。

 は、すみれだけは復讐に巻き込まないようにしていたはずだが、嫉妬の炎に火がついたようで、「そんなに幸男が大切か?」「だったらお前がやれ」と注射器を手渡し立ち去る。

 すみれは「暖にそんなことさせたくないから」と、かつての夫「暖」として接しているが、は以前なら絶対言わなかったであろう「お前」呼びのままで、かなり距離がある。

 結局、すみれはそのを使って幸男を殺しかけるのだが、覚めた幸男はすみれを羽交い締めにして「を殺したいんだな?」とブチ切れ。

 すみれも「明日がいなければね」と本音をぶつけ合う。このまま南条の元に乗り込んでくるようだが、覚めた幸男は前より悪人度が増しているようで、この辺の展開は全にドラマオリジナル。いまいち悪人度が低かった幸男がレベルアップしたことで、次週どうなるのかが楽しみだ。

 

■真海の正体を知って反撃に出る極悪・入間

 残りの復讐相手である警察官僚の入間高橋典)と不動産屋の神楽清(新井浩文)も、かつて自分たちがハメて投した門暖がであることに確信を持ったようで、潰そうと動き出す。原作では、勘づくくだりは一切ないので、ここもオリジナルな展開。

 はすぐさま紋から門暖であることを特定、ラデル共和からの脱獄犯として警察の管理下に身柄を置くと宣言。

「復讐ごっこは終わりだよ、お前の負けだ、門暖」

 100パーセント確信犯をハメた極悪人なのに、警察官僚という立場にいるからか、まったく罪の意識なく上から目線で脅してくる

 圧倒的優位から顔をくしゃくしゃにして、を見下しながら笑うの様子は、相当なクズっぷりが滴り出ており、最高。

 しかし、過去が不義の子を庭に埋めた際の撃者(秘書土屋三浦己)がいると告げられると、あっさり形勢逆転、紋の照合結果をもみ消すことに。

 しかも、その子がまだ生きており、その子のである神楽留美(稲いずみ)が現在入れ込んでいる安藤治(葉山奨之)だと知って驚く。留美に安藤は危険だから離れるようにと忠告するが、寺渋川)を埋めてから頭のネジが飛んでしまったような留美は、むしろ及び安藤をぐいぐい引っるほど頼もしく、「第2の人生」を謳歌しているかのよう。

■真海が渡したのは毒なのか?

 一、が心を許しているのは、恩人・守尾英一朗(木下ほうか)の息子一朗(高杉真宙)だけなのだが、一朗が・美井ゆきの)と付き合っていることを知ったは悩んだ末、美を助けようと動く。

 の妻・理奈(山口紗弥加)は血のつながっていない美殺し、血のつながっている長男人(宇都宮太良)に遺産が回るよう狙っている。それを知っているは、解剤らしきものを一朗に渡し、何かあったら美に飲ませるように伝える。

 案の定理奈の入りレモネード(原作と同じ飲み物)を飲まされた美は倒れ、一朗はさっそくに渡された解剤を飲ませる。これで一安心かと思いきや、静かに鼻血を垂らしながら、口から液体を吐き、白目を剥きながら倒れる美。これがなかなか踏み込んだ描写で、エクソシスト並み。

 慌てて病院へ駆けつけ、に後遺症が残ると医師に告げられた失意のに、自分がを飲ませたからだと土下座する一朗。激怒した屋上から一朗を突き落とそうとするが、医師が止めていなかったら本当に突き落としていただろう。美の実のや婚約者(出口)が死んだ時と同じだと言われてるのに、自身の出世のため、またしてもにしようとしない。しかし、その医師アイコンタクトらしきことをしており、どこかから寄贈された古い時計も意味ありげにアップになるなど、またしてもの手の内では……? な展開。

 

■都合良すぎだと感じてしまう展開

 一方、留美にを使い込まれ、に困った神楽ヤミっぽい組織(F&Dファイナンス)からを借りるが、その直後、秘書山(久保田悠来)に頭突きをされ、ヤミ社員にも殴られ、気を失いのような場所に監禁される。

 どうやらこの山もただの秘書ではなさそう。山はドラマオリジナルだが、それぞれの復讐相手が勝手に自滅ぎみの過去を抱えているというのは原作通りで、読んでいて多少「都合よすぎでは?」と感じてしまうのだが、これは根底にキリスト教の原罪に通じる考え方(己の罪に気づく)に沿う部分があるからだろう。

 なので、復讐相手に限らず登場人物はそれぞれに「罪」を抱えており、ドラマでは宗教観に頼らずどう「落とす」かが最終回の鍵となるだろう。

 ドラマラストの元に戻ってきたエデルヴァは、手切れとして渡された小切手を破き、飲み込もうと口に入れるが、飲み込めない。

「ずいぶん贅沢な朝食だな?」と皮を言いつつ、「スープ飲むか? 一緒に」と振り返り微笑む。最高のツンデレ。口から切れをはみ出させ、様に涙しながら笑うエデルヴァ。エデルヴァを許したの心理が、次週どう影するのか?

 今回、・貞吉(雅人)と五十音表を使って会話していた内容も明かされるであろう2時間スペシャル、是非お見逃しなく。
(文=どらまっ子HARUちゃん)

フジテレビ系『モンテ・クリスト伯─華麗なる復讐─』公式サイトより