の痛みに対して適切な処置を行うには、その原因を理解することが重要です。そこで、の痛みの原因や症状、関連する病気が痛いときの対処法などについて、吉祥寺森岡眼科院長の森岡清史先生にお伺いしました。

目次

  • が痛い原因
  • の痛みと併発する症状
  • が痛いときに考えられる病気
  • が痛いときの対処法

 

目が痛い原因

目の疲れを感じている女性会社員

表面がヒリヒリ痛む、がズキズキ痛むなど、がどう痛むのか、また、痛みを感じる部分などによって原因は異なります。そもそも、私たちが身体的な「痛み」を感じるのは、人間の知覚神経と呼ばれる「三叉(さんさ)神経」が、何らかの刺情報としてに伝達し、がそれを「痛み」として認識しているためといわれています。「の痛み」を感じるのも同様のメカニズムで、とくにの周辺は三叉神経が多く分布しているため、痛みが現れやすい器官といえます。

目の表面が痛い場合

の表面がヒリヒリと痛む場合は、コンタクトレンズドライアイなどによる燥が原因と考えられます。
 
燥するだけでは痛みは生じませんが、燥によっての表面を保護する涙の量が減り、膜に傷がつくことで、膜の表面にある上皮が剥がれ、ヒリヒリとした痛みを伴うようになります。この症状は、医学的には『膜上皮障』と呼ばれており、代表的な病気に数えられています」(森岡先生

目の奥が痛い場合

にズキズキとした痛みを感じる場合、眼精疲労が原因であると考えられます。
 
「眼精疲労は、眼球を動かす外眼筋(がいがんきん)という筋肉の緊により、血流が悪くなる症状です。にはりや痛みを感知するセンサーである『筋紡(きんぼうすい)』という受容器が集まっていますが、長時間のパソコン作業などで外眼筋を酷使していると、筋紡がそれを痛みとして感受することがあるため、の方で鈍い痛みが生じます」(森岡先生

目の痛みに併発する症状

涙を流す女性

が痛いときに涙が出たり、白目くなっていたりすることがあります。これらは、痛みに対処するための防御反応として現れる症状です。

目が痛いときに涙が出る理由

涙には、の表面を覆って外部の刺からを守る作用があります。
 
「涙には、リゾチームという抗菌作用のある酵素が含まれています。そのため、燥や細菌感染など、外部からの刺が傷ついたとき、の表面を清潔に洗い流し、殺菌する効果があります。涙はの表面を守る役割と、の痛みを悪化させないように守る役割を担っているのです」(森岡先生

目が痛いときに充血する理由

の充血は、痛みの要因を消失させるため、より多くの血液を循環させることで起こります。
 
の充血は、の表面からまぶたの裏側を覆っている結膜を通る毛細血管の血液量が増加することで起こる症状です。燥や表面に傷が生じると、それが刺となって毛細血管が拡し、大量の血液が流れます。血液には酸素や栄養素が含まれているため、異常や疲労回復に必要な防御反応です」(森岡先生

目が痛いときに考えられる病気

眼科で診察を受ける女性

が痛いときに考えられる病気として、代表的なはやり目(流行性結膜炎)、膜炎(膜感染症)、ぶどう膜炎、ものもらい(麦粒腫)について解説します。

目の各部位名称

の各部位名称や場所についてはこちらの図をご参照ください。

はやり目(流行性角結膜炎)

膜が炎症する結膜炎の中でも、伝染性の「流行性結膜炎」は、膜と結膜に炎症が起こり、痛みを伴う病気です。
 
「流行性結膜炎は、場に流行しやすいアデノウイルス膜や結膜が感染した際に、それを排除するための免疫反応として炎症が現れる病気です。の表面にゴロゴロとしたの痛み、充血、やになどの症状が現れます」(森岡先生

角膜炎(角膜感染症)

厚さが約0.5ミリ程度で俗に「」と呼ばれる膜に、微生物が付着して繁殖してしまう状態です。
 
膜の表面は通常、微生物の侵入を防ぐため膜上皮という組織で覆われています。しかし、その膜上皮が何らかの原因で傷つくと、細菌やウイルスなどの微生物が付着して繁殖しやすくなってしまいます」(森岡先生

ぶどう膜炎(虹彩炎(こうさいえん))

や毛様体、脈膜とそれに隣接する組織に炎症を起こす病気の総称を「ぶどう膜炎」と呼びます。房と呼ばれるで満たされている前房と、99からなる硝子体に炎症性細胞が浸潤します。
 
「診断しても原因不明なことが多いものの、免疫異常や細菌、ウイルスの感染などが原因になります。に痛みと充血が現れる、視が低下する、かすんで見える、まぶしく感じる、が飛んでいるように見えるといった症状も起こります」(森岡先生

ものもらい(麦粒腫)

ものもらいは、まぶたの毛根に常在菌であるぶどう球菌や溶連菌(ようれんきん)が詰まったり、細菌が感染したりして、免疫反応が生じてまぶたに炎症や痛みが生じる病気です。
 
「ものもらいになると、痛みとともにまぶたの毛根に細菌が詰まることで炎症が起こり、まぶたが腫れます。炎症が治まると痛みはなくなりますが、の中にしこりのようなものを感じるため、異物感が強くなります。症状が進んで腫れた部分が自然に破れ、膿が放出されれば病状は回復します」(森岡先生
 
もし、上記に心当たりがあるような痛みや症状があった場合、早急病院で適切な処置を受けることが大切です。
 
が痛いときは、基本的にの痛みを起こす原因にアプローチする必要があります。上記で挙げた眼痛に関しては、痛みを和らげるため、抗炎症作用のあるステロイド目薬を使用することが治療の流になっています」(森岡先生

目が痛いときの対処法

仕事中に目薬をさす女性

が痛いときに実践したい、代表的な対処法についてご紹介します。

目薬をさす

目薬をさすときは、に生じる症状や原因によって、目薬を使い分けることが大事です。
 
を酷使したことが原因で痛みを感じているときは、眼精疲労に効果がある目薬を使いましょう。具体的には、筋肉疲労を和らげる効果のあるビタミン剤が配合された目薬です。また、燥やドライアイに悩んでいる場合は、涙の成分と類似の人口涙液が入った目薬、保湿効果のあるヒアルロンが配合されたものがよいでしょう。痛みの原因や使うべき目薬が分からない場合は、薬剤師医師に相談してみてください」(森岡先生

目を温める、冷やす

を温めたり、冷やしたりする行為は、の痛みへの手軽な対処方法ですが、原因によっては逆効果となってしまうことがあるため注意が必要です。
 
「一般的には、眼精疲労による筋肉のこわばりにはを温めること、細菌感染やの傷などで生じた炎症にはを冷やすことが効果的とされています。ただし、痛みの原因がどちらか分からない場合は要注意です。眼精疲労でが痛いときに冷やしてしまうと、筋肉のこわばりを助長する恐れがあります。一方、に炎症が生じているときにを温めると、腫れや痛みを悪化させることがあります。が痛いと感じたら、まずは病院で診察を受け、原因を見つけることが大切です。そのうえで、を温めるべきか冷やすべきか、適切な処置を選ぶようにしましょう」(森岡先生

目を休める

を休めることは痛みを和らげることにつながり、眼精疲労やドライアイへの対策としても有効です。
 
「単純にを閉じるだけでも、から入る外からの刺を遮断したり、筋肉を休めたりするには十分です。その際、可であれば抗菌作用のある『眼軟膏』を塗って眼帯を装着し、そのまま眠りにつくのが望ましいです。眼軟膏とは、下まぶたの内側に塗り、眼をつぶることでの表面に剤を浸透させる塗りのことです。剤がの中に数時間留まるので、睡眠中にじっくりと症状を緩和させることができます。眼軟膏は病院で処方されるものなので、まずは検を受け、医師に相談の上、使用するようにしましょう」(森岡先生
 
ドライアイや眼精疲労などによって引き起こされるの痛みは、めに病院で診察、治療を受けることが大切です。の痛みの原因を理解してから、今回ご紹介した対処法を実践してみてください。

<参照>
「よくわかる最新医学 病気の最新治療 緑内障糖尿病網膜症・内障・斑変性症」杉田美由紀監修(主婦の友社)
 
日本科学
http://www.nichigan.or.jp/public/disease.jsp

photo:Getty Images