北欧ジャズヴォーカルを代表するデンマークレムヴィ出身の歌姫シーネ・エイが約1年ぶりにビルボドライブ大阪に登場。2003年、自身の名前を冠したアルバムSinne Eeg』でデビュー2007年の『Waiting For Dawn』と2010年の『Don't Be So Blue』でデンマークで最優秀ジャズヴォーカルアルバム賞を受賞。ワールドツアーも度々行い、今やデンマーク内のみならず世界で注されている彼女。今初めより横浜、盛東京金沢名古屋鈴鹿日本各地でコンサートを行い、この日が日本での最終演となった。

シーネ・エイ ライブ写真(全5枚)

 拍手と歓の中、チャーミング笑顔を浮かべ、手を振りながらステージに立つシーネ。まずは来場への感謝の意、そしてこの日が日本における最後のであることを告げる。2年ぶりのアルバムDreams』を携えての登場となる今回は、これまでアルバム制作を支えてきたピアニスト、ヤコブ・クリストファーセンとのデュオ編成。ステージにあるのは、歌とピアノのみ。シーネの織り成す、ハスキーなベルベット・ヴォイスと、表情豊かにピアノを奏でるヤコブの伴奏。シンプルな編成だからこそ、二人の歌唱演奏の素らしさがダイレクトに伝わってくる。

 スタンダードカバーの「Happy Talk」では、ピアノスイングに合わせて、マイクを手に軽やかに歌うシーネ。更に間奏ではヤコブの演奏笑顔で見つめる姿も。そしてヤコブもまた、シーネが歌う背中笑顔で見守りながら、鍵盤の上でを走らせる。長年共に音楽を奏でてきたからこその、絶対的な信頼感とリスペクト。それこそが二人のステージの根底にあるものなのかもしれない。

 昨年リリースされた『Dreams』からは「The Bitter End」が披露される。叙情的なピアノの旋にのせて、どこまでも伸びる甘い歌マイクを離れ、優に宙を舞うメロディを紡ぐ合間、れ落ちる吐息。そんな彼女の所作のひとつひとつまでもが、音楽を奏で出す。

 終盤では、彼女自身も好きだという映画サウンドオブミュージック』より「My Favorite Things」のカバー演奏原曲イメージを覆す情熱的なピアノプレイと、愁いを帯びた艶やかな歌が、フロア空気をグッと濃密なものに変えていく。曲間の伴奏でピアノに手をかけ、遠くを見つめるシーネ。その端正な横顔に、円熟しつつある女性の美しさと、可憐な少女のようならしさという両面を見た気がした。「Time To Go」では、「Don't be shy…」とフロアに呼びかけ、静かなハミングのコールレスポンス。会場から、そして自身の唇から紡ぎ出される哀愁のメロディが、別れの予感を色濃く滲ませて、切なさで胸が締め付けられる気がした。

 「明日はもうデンマークへのフライトがあるから」と、2週間近く滞在した今回の来日演を惜しみつつ、登場したときと同じように、チャーミング笑顔を浮かべ、手を振りながらステージを去るシーネとヤコブ。ビタースイートな歌と、色彩豊かなピアノが生み出すハーモニーに心奪われただった。

Photo by Kenju Uyama
Text by 杉本ゆかり

情報
シーネ・エイ with ヤコブ・クリストファーセン Duo

ビルボドライブ大阪
2018年6月11日)※終了

詳細:http://www.billboard-live.com/