第71回カンヌ国際映画祭で、日本映画としては21年ぶりに最高賞であるパルムドールを受賞した『万引き家族』(ギャガ)。監督を務めた是枝裕和氏が政府からの祝意を辞退した一方で、文化庁からの助成金を受け取っていたことが波紋を呼んでいる。

万引き家族』は6月8日から日本での公開が始まり、すでに興行収入5億7800万円を記録。この数字は今年の実写邦画のなかではトップの成績で、まさにロケットスタートとなった。

 また、パルムドール受賞に対しては7日の参議院文教科学委員会で政府が祝意を伝えることを決定、一時は「林芳正文部科学大臣が是枝監督を文科省に招く」と報じられたが、是枝監督は政府の祝意を辞退した。

 その理由について、是枝監督は公式サイトメッセージを掲載。「映画がかつて、『国益』や『国策』と一体化し、大きな不幸を招いた過去の反省に立つならば、大げさなようですがこのような『平時』においても公権力(それが保守でもリベラルでも)とは潔く距離を保つというのが正しい振る舞いなのではないかと考えています」と自らの考えを明らかにした。

「公権力とは潔く距離を保つ」という是枝監督のスタンスに、インターネット上では称賛の声が続出。一方で、是枝監督が「今回の『万引き家族』は文化庁の助成金を頂いております」「しかし、日本の映画産業の規模を考えるとまだまだ映画文化振興の為の予算は少ないです。映画製作の『現場を鼓舞する』方法はこのような『祝意』以外の形で野党のみなさんも一緒にご検討頂ければ幸いです」と明らかにしたことが物議を醸している。

「発言が矛盾してないか?」「お金だけもらって祝意は辞退するとか、ただの失礼な人でしょ」「助成金もらっておいて『公権力と距離を保つ』ってどういうこと? ダサすぎる」「そもそもカンヌ映画祭だってフランス政府が関係しているだろうに。パルムドール文化庁からの助成金を返納しないと理屈が合わない」「きれいごと」といった否定的な声が続出したのだ。

 ただ、是枝監督を擁護する意見もあり、「芸術家サイドがパトロンにあんまりへこへこするもんじゃないだろ」「助成金は政府のお金じゃなくて国民の税金。助成金をもらったからといって政府に気を遣えというのは違うのでは」「助成金をもらったら黙って『国策映画』でも撮っていろ、ということですか?」といった声があがっている。

 是枝監督は政府のプロパガンダに利用されることを危惧したのかもしれないが、その姿勢と「助成金受け取り」という事実にギャップを感じた人が多かったようだ。いずれにせよ、『万引き家族』が大きな注目を浴びていることは間違いなく、近年の日本映画を代表する作品となりそうな勢いだ。
(文=編集部)

『万引き家族』がカンヌ映画祭で最高賞を受賞した是枝裕和監督(写真:新華社/アフロ)